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第105話 北方領域 後編

前回のあらすじ

ブラダマンテ登場

 

 その後、ブラダマンテの案内でアストルフォの故郷であるクリスタルの街へと辿り着いた。

 街と言っても、フランソワ王国の地方都市、そのまた更に辺境の小ぢんまりとした寂れた街程度の規模しかない。


 ちなみに、ミルトはもう降ろしていて、自分の足で歩いてもらっている。


「まずは、この街の領主でありここら一帯の地域を治めているワタシの父に面会して頂けますか? 流石に、その……そちらの女性――」

「ヒルデの事?」

「……そうですね。ヒルデさんの処遇はワタシには決めかねる事案なので」


 ヒルデというのは、ミルトの偽名だった。

 ミルトの実名はフランソワ王国では言うに及ばず、近隣地域でももしかしたら有名かもしれないと思ったから偽名を名乗ってもらう事にしていた。


 ヒルデなんてありふれた名前の一つだから、偽名には持ってこいだったっていうのもある。


 そうこうしている内に、領主の屋敷……屋敷か?

 一般的な二階建ての一軒家を二回りくらい大きくした程度の規模の家に着いた。


「……本当に領主の屋敷なの、ここ? ちょっと大きい程度の一般住宅じゃ……」

「これでもこの辺りじゃ大きいんですよ。それに、建物を大きくするより軍備に資金を投入するのが北方領域の常識と言っても過言じゃないので」


 僕の疑問に、この街出身のアストルフォが答えてくれた。

 確かに常日頃から戦闘している環境なら、居住環境の整備は二の次になってもおかしくはない。


 ブラダマンテに連れられ、この屋敷の応接室へと通された。

 彼女は「父を呼んできます」と言って、一旦応接室から出て行く。


 ソファーにはミルトだけを座らせ、僕達はその後ろに控えるようにして立つ。

 すると五分ほどして、ブラダマンテと壮年の男性が応接室に入ってくる。

 もしかしなくても、この街の領主なのだろう。


「お待たせして申し訳ない。私がこの街の領主のベオウルフ・フォン・クリスタリアです」

「初めまして、クリスタリア卿。わたしはミルト・サクレ・フランソワと申します」


 ミルトは立ち上がり、余所行きの態度でベオウルフさんに優雅にお辞儀する。

 僕達もミルトに倣い、軽く会釈をする。


 ベオウルフさんはミルトの向かい側のソファーに腰掛け、手でミルトに座るよう促す。

 ミルトがソファーに座ったのを見計らって、ベオウルフさんが口を開く。


「まさかミルト姫が我が領地にお越しになられるとは夢にも思いませんでした。何故、我が領地にお越しに?」

「それは僕から説明させて頂きます」


 そう口を挟み、ベオウルフさんに簡潔にこうなった経緯を説明する。

 それと、もうフランソワ王国を出ているから、この街に滞在する旨も合わせて伝える。

 これは僕の独断だけど、何か問題があればミルトが口を出してくるだろう。


「なので、しばらくの間僕達が住める住居を提供していただけると助かります」

「……すぐには準備出来ないが、それまでの間この屋敷に滞在するのを許可しよう」

「どうする、ミルト?」

「シャルに任せるわ。こういうのわたし詳しくないから」

「分かった。……ではそれでお願いします」

「任された。……私からも一つ質問しても良いか?」

「……? 何でしょうか?」


 そう聞き返すと、ベオウルフさんは僕とミルトを交互に見た後に僕に向かって尋ねる。


「キミとミルト姫はどのような関係だ? 先程のやり取り、ただならぬ関係だとは思うが……」

「ただの幼馴染っていうだけですよ。それ以上でも以下でもありません」

「なるほど」


 ベオウルフさんが納得するのと同時に、応接室のドアが激しく叩かれる。

 ブラダマンテがドアを開けると、憔悴し切った様子の騎士風の身なりの人物が立っていた。


「どうかしたの?」

「北の領の奴等が宣戦布告も無しに突然攻めて来ました! こちらも応戦してますが、突然の出来事で防衛線を維持するので精一杯でっ」

「なんだと!?」


 その報告を聞きベオウルフさんは勢い良く立ち上がり、ブラダマンテはベオウルフさんの方を振り向く。


「パパ!」

「ブラダマンテは先に防衛線に向かってくれ! 戦力を集め次第、私もすぐに向かう!」

「分かったわ!」


 ブラダマンテは頷き、報告に来た人物と一緒に走り去って行く。


「……すまないが、貴女方には屋敷に留まっていただきたい。ここならば比較的安全ではあるので」

「こういう事って日常茶飯事なんですか?」

「戦闘はほぼ毎日と言っても過言じゃないが、今回のような宣戦布告も無しに攻め込まれるのは初めてだな」

「なるほど……ローラン、アストルフォ」

「ああ、良いぞ」

「はい、大丈夫です」


 二人は僕の意図をすぐに汲んでくれて、即答してくれた。


「ベオウルフさん。その戦い、僕達にも協力させてください」

「うん? いや、だが……」

「これからお世話になるんですから、これくらい協力させてください。それに僕達、王国の騎士だったので戦力として申し分無いと思いますけど、どうですか?」

「……では、力を貸して貰えるか?」

「お任せを」






今の所恋愛要素ゼロ。

えぇ……(困惑)。




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