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セフィーロ神聖教国 



「リアー! これも仕舞っておいてくれっ!」


 ノアがそう言いながらドンっと甲板に大きな魚の魔物を乗せる。


「こっちも頼む! ノアー! 引き上げてくれっ!」


 今度はネージュが魔法で魔物を仕留めたらしく、空を飛べるノアに引き上げるように頼んだ。


「はいはい」


 教国へ向かう間、昼間はずっとこの繰り返しだ。


 こんなに狩って食べきれないよ! と言いたいところだけど、ノアとネージュなら食べ切ってしまうだろう。


「もうそろそろ着きそうだよ」


「ウィルフレッド様もそう言っているし、これが最後ね」


「「えぇーーー!」」


 そう言ってノアとネージュが並んだのよりも大きい魚の魔物をアイテムボックスにしまって陸の方へと目を向ける。


「うわぁ! 綺麗……!」


 教国の建物は主に石灰を使って作られており、船上から見える白い街並みがとても美しい。


 ……けど、ピカピカの鎧が残念……。


 聖女の出迎えとして港にはピッカピカに太陽の光を反射し輝く鎧を纏った集団が。


 せっかく海から真っ白な街を眺めるチャンスだったのにっ!

 反射が眩しいっ! 惜しいっ!!


 「なんだあれは。 眩しくて仕方ない。 森の奥にいるシルバーバグにそっくりだ」


 「あの銀色の虫か。確かに似ているな。吹っ飛ばしていいか?」


 「だめー!! あれはこの国を守ってる騎士なんだよ! 国際問題になっちゃうよ!」


 ノアもネージュも相当眩しいようで、目元に皺を寄せ港を睨みつけている。

 けれどこのピカピカの鎧もこの国の聖騎士の証であり、みんなの憧れなのだ。シルバーバグと一緒になんてしたら大変なことになってしまう。


 「クッ……、クククッ……」


 どうやらウィルフレッド様のツボには入ったみたいだけどね。


 「クッ……、ふぅ……。さて、それじゃあ下に降りようか」


 ウィルフレッド様は息を整えるとエスコートするように肘を差し出した。

 さすが皇太子殿下。立ち直るのも早い。


 「聖女様、皇太子殿下、お迎えに上がりました! 私は聖騎士団団長のダーヴィットと申します!」


 「ヴィルフレッド・ラルージュだ」


 「オレリア・アールグレーンと申します」

 

 というか、私は王国の公爵令嬢で皇太子殿下の婚約者。なのに皇太子殿下より先に私を呼ぶなんて本来あってはいけないことなんだけど……。


 これは、教国からしたら皇太子殿下よりも聖女の立場が上だということなのだろう。


 チラリとウィルフレッド様を見るが、ウィルフレッド様は微笑みを浮かべるだけ。

 あまり気にしていないらしい。というか、教国からしたらそうだよね、という感じだろうか。

 

 「さ、聖女様も殿下も馬車にお乗りください」


 でも一度ここで言っておかなくては。


「騎士団長様。私はまだ聖女であると証明されたわけでも任命されたわけでもございませんので、どうぞアールグレーンとお呼びくださいませ」


 「いえいえ! 聖女様のお力はセサル様に聞いております! セサル様が聖女であると言うならば間違いないはずです!」


 いや、ダメでしょう。 教国にとって聖女って重要な存在じゃないの!? そんな簡単に認めていいもの!?

 

 そう思うが、団長の後ろに並ぶ団員たちも不思議には思っていないようだ。それどころかむしろキラキラとした瞳で見つめてくる。


 キラキラなのは鎧だけでもうお腹いっぱいです……。


 そして団長と、いえいえ……! いやいや……! というやり取りを何度も繰り返した結果。


 負けた……。


「いやぁ、聖女様っ! お待ちしておりましたっ!」


 そして現在は宮殿でその元凶と対峙している。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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