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初めましての方法があるはずだった

少女は嘆いた

この世界に私の良さなんてわかられない

少し鼻につく言葉で目前に演劇を繰り広げている。

「これはいつ終わるんだ?」

茶番が目の前から消えない

それはそうだ【腹が減っている状況】でドアの前で逃がしてくれない

家の中には食べ物どころか調理器具すらない

大家さんの飯だけが生命線なのに目の前にいる

【自称、天才声優】様が折れるまで舞台から降りない。

徐々に目から光が消えていく中で

意識まで眠りこけそうになる

【お遊戯会】を超えられない演劇のせいで……

ドサッと音がした辺りで記憶がない

音と言うか衝撃かなという記憶があった。


静かな一軒家

ほんとに命の気配がそこまでしない

朧げな意識の中で温かい何かが頭を撫でている。

「うぁっ……」

「あら? 起きたのね?」

温かい何かはこの声の誰かがやっているのだろうが

口調と温かさがギャップを実感させては

微妙な違和感が演技染みているあたりが気持ち悪い。

「ここは?」

「私の家よ?」

「もしかして新手の誘拐をする妖怪かなんか?」

いつもの癖が口をついて出てしまい

慌てて正気になろうとするが間違っていないという

謎の自信が頭の中に溢れている。

「ひどいわね…… 私の専属【脚本】の癖に」

おかしな発言を今、すごく近くで強制された気がしたが

気のせいだよな。

「あなたは何が得意なの?」

「は?」

「とぼけないでよね? しっかり探偵を数名も雇ったのよ?」

数名の探偵というワードで少し心当たりがある

謎の親戚を名乗る女性とその家族が来たとかを

大家のおばさんがボヤいていた。

天涯孤独をあざ笑うかのような嘘つきに辟易していたが

雇い主が相当に面倒なのは戦慄すら感じる。

「ストーカーだな」

「ええ、あなたの【グラッドバラッド】が大好物よ」

昔に書いた小説の名を言われ

驚いたというより相当なマニアなのかを勘ぐるのが勝った。

「で? なにが目当てだ?」

「さっき言ったんだけど……」

脚本という言葉が不意に再浮上すると

声に聞き覚えがあると記憶が主張する。

「まさかと思うが【一人舞台】じゃないよな」

「よく知ってるわね? だけど【一人舞台ソロクラス】というのが一般ね」

一人のクオリティでしかないが

声が少し良いそれ以外には褒めたくないという

謎の評価しかない珍種の類で

いつも顔を見せないことでも有名な少女の名が

一人舞台ソロクラス】であった。

「私の顔はどう?」

暗がりの中でも蓄光のような透き通る輝きが

微かな光でも際立たせ、それと同時に

浮き上がった輪郭と配置は

もはや女神のような美少女そのもの

そして軽い調子で言う。

【私の物語になりなさい】


この無理やりなスカウトがやがて

未知数を超える物語のプロローグになろうとは誰も思うまい。

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