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プロローグ
朝日が半分ほど顔を出した頃、一人の少女が目を覚ました。その少女は、大きの荷車の荷物の中に埋まっていた。
「ん…。ふあぁ~あ。あ?…お、おぉ~!高い城壁、高い建物、いっぱいの人、あ、あの、もしかしてここが…?」
「ん?あぁ、そうだよ。ここがヴァリエ。んで、あそこの高い建物が、自由冒険ギルド」
「おぉ~!」
ここヴァリエは、首都にも引けを取らない大きな街で、外には強いモンスターがいるため、冒険者が最初に登録をするために来る街としても有名だ。そして、この少女もまた、冒険者になるためにこの町へと来た。
「あの、ありがとうございました。これ、少ないですが…」
「おう、どうも」
荷車が遠ざかっていくと、少女は一際高い建物、自由冒険ギルドへと向き合った。
「…よし!」
少女は拳を握りしめると、ゆっくりと中に入っていった。
この少女の名はアンナ。後に最強の賢者と呼ばれることになる。