とある拳銃の記憶〈メモリー〉
このお話はTwitterでのやり取りをしている常連さん達との合作です、
なお、この話に出でくるククアナ王国は実在しません。
私が愛してやまない小説、ソロモン王の秘宝から抜粋した架空の王国です。
ヘンリー ライダー ハガード
貴方は偉大な、アフリカを愛した作家です。
全ての人達に感謝を。
その拳銃はタイのパッポン・ストリート、連れ込み宿が並ぶ歓楽街の裏通りにあった。
華僑の老婆が店番をするその中古の銃砲店は、中古専門のいわく付きの商品ばかり扱う店で。
今から強盗に入るチンピラが強盗に使う使い捨て拳銃から、第二次世界大戦の錆びた骨董品まで置いている廃物処理の様な店だった。
雨の日、その日本人は何時もの様にその店を訪れていた。
ドアを開けると老婆が歯の無い口で、愛想笑いをしながら来客の挨拶をする。
「いらっしゃい…最近ご無沙汰だったじゃ無いか」
それを聞いて男は愛想笑いをしながら
「しばらく日本に帰ってたんだ…生活費がカツカツでね」
そう言うと、何か出物はある?、そう老婆に聞くと。
アンタに見せたい物がある、そう言うと奥から拳銃を出してきた。
それはコルト38スーパーだった、年代物で銃全体が丸みを帯びて、刻印も薄くまるで金属が長い間の酷使で痩せて来た、そんな感じの姿だった。
「………買うよ」
男が言うと、老婆は満面の笑みで微笑んで。
「アンタなら買うと思ったよ…売りに来た奴も助かったね」
なんでも白人の軍人上がりの雰囲気の男が売りに来たらしい。
「出稼ぎに行く前に、嫁と食事をしたい…そう言ってたよ」
そんな古いスーパー38なんて買う奴なかなか居ないからね、老婆はそう言うと紙袋に入れて渡して来た。
男は紙袋に入れた拳銃を持って、タイに来たら住んでいる倉庫に帰ってきた。
男は日本では期間社員の機械工をして金が溜まるとタイに来る、その繰り返しだった、倉庫に入ると電気を付ける、水銀灯に照らされた室内はまるで町工場だった、ドリルや旋盤、ボーリングの機械が並ぶ中に、ベットにソファ、テーブル、冷蔵庫など、この部屋の中で全ての事が出来るようになっていた。
男は38スーパーの画像をデジカメで撮ると、何時もの様にパソコンに画像を取り込み、Twitterに上げた、しばらくすると常連達から反応が帰って来た。
〈待ってました、今日の中古銃情報〉
〈38スーパー?ツンツルテンやね〉
〈歴戦の古参って感じ〉
そんな中で1人が
〈下のフレーム、38スーパーじゃ無いんじゃ無い?〉
そう言うとスペインのスター社製の、拳銃の画像を上げて。
〈トリガーの所にピンがある、多分スターBだと思う〉
そう画像を上げて来たので。
〈情報感謝、じゃあこれニコイチやね〉
そう送ると
〈画像探して来ただけですから(^_^)
でも、なんでニコイチに?〉
そう送って来たので。
〈なんでかね〜w後で中とか見てみます〉
そう送ると、なんでニコイチになったんだろうと、想像の翼を広げ出した。
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コルト38スーパーの記憶
コルト38スーパー、その原型はコルトM1911A1。
その名の通り、1911年にデビューしたこの拳銃は銃器開発の天才、ジョン・ブローニングが設計した。
彼の設計理念は、簡単な構造、壊れない頑丈さ、そして優美な姿
ジョン・ブローニングの作った銃は小は拳銃から大は重機関銃までデビューして一世紀経っても、今なお現役である、
本物は消えない、語り継がれる。
正にその通りの結果である。
その拳銃はアメリカの工場で生産されアメリカ軍人が購入した、デビューの地はベトナムだった。
ベトナム戦争、アメリカが始めて負けた戦争、フランスから引き継いだその戦争は始めて尽くしの結果は散々だった。
M16はデビューしたが故障続きで兵に人気は無く。
F4ファントムがミサイル戦でデビューしたが戦績は芳しく無く。
戦場にテレビのメディアが入り込めば、テレビに映るのは、負傷した兵士、戦いに巻き込まれた民間人、南ベトナム兵は目の前で捕虜を撃ち殺し、その様はテレビで世界に流されて、反戦運動の末にアメリカは戦場から撤退した。
38スーパーもその持ち主と共にアメリカに帰った、そしてそれから月日は流れ。
38スーパーの持ち主は米国、陸軍士官学校の校長になっていた。
その年、陸軍士官学校は例年に無い自体に戸惑う事になる。
首席で卒業した士官、その士官が国籍が米国国籍では無い為、士官として卒業出来ない、そんな事になっていた。
校長室に呼ばれたその首席の男は、校長と向き合って居た。
「どうしても米国国籍はいらんと?」
そう校長が言うとその学生は、校長の方を見て微動だにせず。
「はい校長、私は自分の国に愛着があります、別の国の国籍は遠慮させていただきます」
そう言うと学生は校長の方を見て。
「陸軍士官学校に来たのも、自国の戦争の為であります、校長」
そう…学生の出身地は100年前から戦争をしていて、そして今なおそれは続いていた。
アフリカ大陸の中央部に位置する国、ククアナ王国、その国の歴史は遥かに昔、ソロモン王朝の時代に遡る。
ソロモン王朝の時代にダイヤモンドとして開発されたこの国はその後、大英帝国に植民地として支配され、ダイヤモンドの原石を大英帝国に供給して来た。
その後おおよそ100年前にククアナ人による独立軍か立ち上がり、今なお内戦が続いていた。
自国の戦争の糧になる方法を求めこの男はここ陸軍士官学校に来た、そして首席であるにもかかわらず、自国の国籍を捨てない、首席の士官は本来なら米軍の中心的な人物になり、将来も約束されているにもかかわらず、ブレずにただ自国の為に身を粉にするこの士官に校長は好感を覚えた。
校長は自分の机の下の引き出しから、化粧箱に収まっている拳銃(38スーパー)を取り出すと、士官に手渡した。
「餞別だ…受け取りなさい」
士官は化粧箱を受け取ると、ケースの蓋を開いた、中にはコルト38スーパーが予備マガジンと共に赤い布の中に収められていた。
よくよく見ると、新品では無く細かい傷が入り、金属も何度も手に取ったのか全体的に痩せた印象だった。
士官は校長に。
「この拳銃は?」
そう聞くと、校長は。
「私が戦場に出た時に使っていた物だ…ベトナムからずっと使っていた」
そう言うと、君に貰って欲しい。
そう言って校長は笑顔になると。
しっかりな、そう言って士官の肩を叩くと、士官は。
「ありがとうございます」
そう言って校長室を出て行った。
その後、卒業式を経て士官はククアナ国の戦場に帰る事になった。
士官の名はグットマン、代々ククアナ国の大英帝国軍の将校の家系に生まれた男はククアナ国に戻って行った。
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スペイン製 スターBの記憶
全ての銃には特許があり、その期間は約50年。
50年が経つと人気がある銃ほど他所の国で生産される。
元はコルト社のコルト38スーパーもこの特許が切れて、スペインのスター社で、スターBと言う拳銃に生まれ変わった。
スターBの特徴はマシンピストルとして使える用に引き金の近くにセレクターレバーが作られ、レバーの切り替えでセミ・フルの切り替えが出来る用になっていた。
軍や警察の特殊部隊用に作られた為に民生品にはこの機能は無く、代わりにピンが埋め込まれて居た。
そのスターBはスペインのバスク解放同盟の兵士に流れて来た、民生品からピンを抜き、代わりにセレクターレバーを取り付けたその拳銃はもちろん違法である。
兵士はバスク解放同盟の資金を調達する為に、これから銀行強盗をする所だった。
覆面をして銀行のカウンターに行き、バックを放り込むと天井に向かって引き金を引く。
タタタタっと軽快な音がすると、その後に天井から天井の耐火ボードが落ちて、悲鳴が上がる。
「金を詰めろ…早くしろ!!」
兵士はそう言うと、銃を銀行員に向けた。
銀行員が金を詰めたバックを引ったくる用にして銀行を出ると、パトカーがサイレンを鳴らして止まる。
警官が車から出て、
「動くな!」
そう言ってリボルバーを兵士に向けるとお互い撃ち合いになった。
兵士は残りの弾を警官に向けて吐き出した。
パパパと軽快な音を立て、残弾がパトカーのボディにめり込む。
警官はリボルバーの357マグマムを撃つと兵士の腹にめり込む。
その衝撃で持っていたスターBは手から離れて、アスファルトの上をカラカラと音を立てて滑っていった。
その後、現場検証が行われて鑑識官がスターBを回収すると、証拠品を入れるポリ袋に収められ。
スターBは長い間、警察署の地下の証拠保管庫に眠る事になった。
そして数年経ち、証拠品の保管期限が切れるとスターBは他の銃器と共にコンテナに詰められ、海を渡った。
期限が切れた武器は民生品として業者に渡った、フルオート機能を封印し、セレクターレバーの代わりにピンを打ち込まれたスターBもまた、民生品として競売に出された。
そして民間の商店を装った武器商人がコンテナに詰めた武器は海を渡り、アフリカの地に運ばれる事になる。
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コルト38スーパーの記憶
アフリカ大陸の中央部に位置するククアナ国。
その国の大英帝国軍にグットマンの姿があった。
幾多の戦闘を経験したグットマンは大佐に昇進し、あるダイヤモンド鉱山の警備に付いていた。
夜な夜な、独立解放軍の夜襲に悩まされ、グットマンは憔悴していた。
独立解放軍の司令官はアフリカ大陸の古代語で。
マクマザーン〈夜寝る時も目を開けている男〉 油断をしない男。
そう言われている男で、油断も隙も無い黒人の老人で、もう数年間も独立解放軍の司令官をしていた。
マクマザーンが司令官に変わってから独立解放軍の戦い方は明らかに変わった。
奴らは弓矢と投げ槍を黒く塗り、夜陰に紛れて散発的に攻撃する。
こちらに負傷者が出るとすぐに引いて、後を追わせない。
深追いすれば、さらに追撃されて、被害は拡大した。
さらに噂によると、独立解放軍が、占拠した土地からダイヤの鉱脈が発見されたと噂が流れた、ククアナ国の大英帝国軍の装備は古く、未だにリー・エンフィールドライフルなどボルトアクションの小銃が現役の小銃だった。
「奴らが戦車で来たら……………
負けるな…」
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スペイン製 スターBの記憶
スターBを乗せたコンテナーはアフリカ大陸に貨物船で運ばれた。
その貨物船を港で白人の老人が待っていた。
生活日用品、そう書かれた書類を持って老人はコンテナを受け取ると、税関に袖の下を渡して、素通りしていく。
コンテナは老人を乗せてサバンナを疾走する。
やがて枯れ井戸のある場所に着くとそのまま停まった。
しばらくすると、サバンナの蜃気楼の向こうからトラックが見えた。
ボロボロの日本のメーカーのそのトラックか着くと、ホロの貨物室から人が出て来てコンテナーを囲んだ。
トラックの助手席から1人の黒人の大男が降りて来た、インクブ(像)と呼ばれるその男は白人の老人に。
「ジャンボ!(こんにちは)」
そう声をかけると、老人も
「ジャンボ!(こんにちは)」
と返す。
老人がコンテナの封印をワイヤーカッターで切る、封印を回収すると、扉を開けた。
中は小火器と弾薬の山だった、拳銃からRPG(ロケット砲)まである。
インクブはそれらを確認すると、胸のポケットから袋を老人に渡す。
老人はその場で袋を開けると、中にはダイヤの原石が入っていた。
「毎度どうも、金さえあれば戦車でも調達出来るが?」
老人がそう言うとインクブは豪快に笑いながら
「独立したら戦車からジェット戦闘機まで頼むわ、爺さん」
そう言ってコンテナーの中身をトラックに移すと、また蜃気楼の向こうに帰っていった。
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コルト38スーパーの記憶
明らかに独立解放軍の火力は上がっていた。
これまでの倍以上の火線にこちら側は手が出ない。
そして極め付けは、時折聞こえるロケット砲の轟音。
RPGー7 ロシアの代表的な携帯火器。
この対戦車榴弾発射機は弾道の種類によって目的が変わる。
戦車の装甲を切り裂く徹甲弾。
そして
対人榴弾は決められた距離を飛ぶと自動的に弾道が破裂し破片が人の身体を引き裂く。
M60の機関銃座に集中して攻撃すると敵は、塹壕に隠れている兵士を標的にして来た。
そしてここ、司令部も標的にされていた。
そのうちの1つが司令部の塹壕の近くで爆発した時、グットマンは破片の一部を胸に浴びた。
「…司令!!」
近くに居た副官が衛生兵を呼ぶ声を聞きながら、グットマンの意識は暗い溝の底に沈み込んだ。
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スペイン製 スターBの記憶
コンテナの中から出されたスターBは独立解放軍のRPGー7の射手の助手に渡された。
独立解放軍は大英帝国軍が守るダイヤモンド鉱山の警備をしている部隊に襲いかかる。
ククアナ国は不毛の大地が殆どで、綿花くらいしか育たない、そのため食料などは、ほぼ
輸入に頼っていて、ダイヤモンド鉱山はその生命線だった。
独立解放軍は岩を盾にしながら前に進み、RPGー7を次々と打ち込んでいく。
しかしRPGー7は発射するとその火炎で射出の現在位置がバレる。
その時も発射した後に大英帝国軍の狙撃手に発見され、RPGー7の射手が被弾した。
慌てて装填手がRPGー7に対人榴弾をセットすると、狙い撃ちした狙撃手に狙いを付けて発射する。
RPGー7は火線を引きながら狙撃手の近くに行くと、時限信管が作動して破片が刺さる。
破片が司令部の中にも入ったのを確認した装填手はその次の瞬間に、大英帝国軍の機関銃座から飛んできた7・62ミリ弾に身体を穴だらけにされていた。
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コルト38スーパーの記憶
グットマンが気が付いた時は野戦病院のベットの上だった。
グットマンが気が付くと直ぐに副官が呼ばれた。
「司令、身体の調子はどうですか?」
グットマンは起き上がろうとして胸の痛みに顔を顰めた。
副官が、慌てて。
「肋骨が折れてるそうです…寝ててください」
副官はグットマンが寝ているベットの隣に置いていた、コルト38スーパーのホルスターを取り出すと。
「大佐がこれを胸に吊るしてたんで、破片がこれに刺さって命拾いしたそうです」
見ると皮のホルスターは蓋が千切れていた、コルト38スーパーを取り出すと、グリップの所に破片が刺さっていた。
「………コイツはもう使えんな」
グットマンがそう言うと、副官が。
「記念品なんですか?…大事にしている見たいですが」
そう言うとグットマンが。
「米国の陸軍士官学校で校長から卒業記念に頂いた物だ、自身もベトナムで使われてたらしい」
それを聞いて副官が。
「少し………お預かりしてもよろしいですか?」
そう言うと、独立解放軍の装備品に似た物があったので、修理してみる。
そう言うと副官はコルト38スーパーを持って、独立解放軍の武器を鹵獲した場所に向かった。
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スペイン製 スターBの記憶
戦闘が終わり、大英帝国軍は戦死者の処理を行っていた。
そのまま置いておけば伝染病の恐れがある為、身に付けている武器を鹵獲しては、遺体を穴に入れて石灰を被せる。
最後に重機で土を盛ると、作業は終わった。
鹵獲した武器を建物の中に入れる、その中にスペイン製 スターBもあった。
副官はコルト38スーパーを持って独立解放軍の鹵獲した武器のある部屋に入る。
拳銃ばかり置いてある場所に行くと似たような拳銃を探す。
スペイン製スターBを見つけたが、スターBは機関銃座の弾を受けてスライドが壊れていた。
スターBを取りマガジンを抜くと、マガジンの底にある刻印を確かめる。
Colt38super
そう刻印されているのを確認すると。
コルト38スーパーと
スペイン製スターBをフィールドストッピングし出した。
プラグを抜いて、スプリングを取り外す。
マガジンを抜いて、スライドを少しずらす。
スライドストップピンを抜くと、スライドがバネと共に前にずれてスライドが外れる。
両方をそこまですると、コルト38スーパのスライドと、スペイン製スターBのグリップ部分を合わせて組み上げて行く。
まるで最初から1つの拳銃の様に2つの銃のパーツは噛み合った。
まるで双子の兄弟の様にしっかり収まると、副官はマガジンを入れて、スライドを引くとスライドストップがかかり、スライドがホールドオープンの状態で止まる。
マガジンを抜くと、空のマガジンに38口径の実包を7発込める。
ニコイチになった拳銃にマガジンを挿すと、マガジンストップをリリースして薬室に実包を送ると、安全装置を親指でかける。
コルト38スーパーもスペイン製スターBも。
グリップセフティは無い。
安全装置をかけるか、ハンマーを戻すしか無い。
外で試射して問題が無い事を確かめると、グットマン司令の元に向かった。
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改造銃の記憶
グッドマンはもう何回目になるかわからないほど、司令部から来た電文を読んでいた。
〈現状のまま待機せよ、戦闘も最小限に抑える事〉
そして極め付けは補給が来ないと言う知らせだった。
武器弾薬はおろか、医療品も食料も来ない。
そしてそれから何日かして、突然大英帝国からのニュースが飛び込んで来た。
〈ロイター社からのニュースです。
初めに大英帝国からのニュースを、お伝えします。
大英帝国政府は今日の朝、大英帝国が植民地として支配している。
アフリカ大陸の中央部に位置するククアナ国。
この国の植民地政策から撤退すると発表しました〉
まさに寝耳に水だった。
そして司令部から来た電文に目を疑う事になる。
〈大英帝国軍は武装放棄した後に新生ククアナ王国軍に投稿する事〉
そう書かれた電文が来た翌日、白旗を掲げた独立解放軍、今はククアナ王国軍の使者が来た。
使者によるとここにいる大英帝国軍は武装放棄したのち、バスで空港まで送迎されてククアナ王国から出国、大英帝国に向かうと言われた。
次の日、ククアナ王国軍がバスと共に来ると代表が挨拶に来た。
その老人は背の低い白髪の黒人で、隙が無く常に周りに目を光らせていた。
間違いなく、写真で見た人物。
独立解放軍の指揮官、今はククアナ王国軍参謀、マクマザーンその人だった。
マクマザーンはグッドマンを見ると。
「貴方が指揮官ですかな?…自分はマクマザーンと言う者です」
そう言うと、これからの事を説明し出した。
大英帝国軍は武装放棄ののち、空港まで送迎されて飛行機で大英帝国に帰国する。
グッドマンは了承すると、1つだけ聞かせて欲しい、そうマクマザーンに言った。
「大英帝国が撤退した訳………それが知りたい…」
グッドマンがそう言うとマクマザーンは少し考えてから。
「あんた方が守っていた鉱山なんだが………
もう鉱石が殆ど無いんじゃよ………」
そう言うと、独立解放軍が占領地で見つけた鉱脈、そこの埋蔵量が豊富な事から、大英帝国は方針を変えた。
「掘るのはククアナ王国に任せて、ダイヤモンドは大英帝国に売る、元々この国は輸入に頼ってるから、ダイヤモンドを掘って売るしか無いからの」
そう言うとマクマザーンは。
大英帝国はダイヤモンドが欲しい。
ククアナ王国は食料が欲しい。
お互いにWIN-WINな関係になった訳じゃ。
それに。
「今時、植民地政策とか流行らんしの、大英帝国は他の先進諸国から、突き上げを食っておったしの」
そう言うと、これも時代の流れかの。
そう言うと、話は終わった。
そう言うと、大英帝国軍の武装放棄から始まった。
グッドマンはポケットから改造銃を出すと、それを見たマクマザーンが。
「そいつは私物かの?…ならええわい、持って帰りなさい」
弾だけもらっとくわい、そう言うとマクマザーンは少し微笑むと。
「あんたは…しぶとかったよ、狡猾な獅子…そんな印象だった」
そう言うと、実はあんたに逢いたい、そう思って来たんじゃ、そう言うと。
「周りはヒヤヒヤして辞めてくれって言いおったが…好奇心には勝てん、この歳になってもな」
そう言うとマクマザーンは。
「国に帰れ、大英帝国軍の獅子」
そう言うと司令部の方に向かった、護衛も付けて一緒に向かう。
バスに乗り込むと、窓側に座って外の景色を、サバンナの蜃気楼を見ながら、空港に向かった。
空港に向かうと大英帝国軍の輸送機が待機していた、グッドマン達が乗り込むと輸送機は発進した。
これからの予定を聴くと大英帝国の空港で家族と合流してからタイ行きの飛行機に乗り換えるらしい。
「大英帝国は我々の受け入れは?」
そうグッドマンが聴くと、輸送機の乗務員が。
「申し訳ありません、大佐………大英帝国は貴方方の受け入れを………拒否しました」
話を聴くと、ククアナ王国で生まれたグットマン達は大英帝国人とは言えず。
ククアナ王国からの亡命者扱いになると。
「タイも一旦受け入れしただけです………貴方方は………難民になります………」
それを聞いてグットマンは心の中に闇を抱えた、大英帝国の為に戦って来た結果が、これかと。
無言のまま、妻と合流した後にタイに向かうと。そこでも不幸は止まらなかった。
妻が発病した………十万人に1人の発生率で、治療方法は無かった。
悲嘆に暮れるグットマンの元に、ある男近づいて来た。
ある企業のリクルーターと名乗る男はトランプのジョーカーの用な顔をした男で、作り物の笑顔を顔に張り付かせて、こう言った。
「私共がある場所で、開発している薬なのですが、奥様のご病気に効くかと」
そう言うと、妻を最終試験の患者として治療する用意があると言い。
「そのかわりと言っては何ですが、私共の会社に入って頂いて、その施設の警備をお願いしたい」
グットマンの戦歴を調べての転職の誘いらしい。
グットマンは了承すると、妻と最後になるかも知れない食事に行くために、ある場所に赴いた。
タイの裏通りのガンショップ、そこに入ると老婆が店番をしていた。
グッドマンはニコイチの拳銃を出すと、買取を頼む、そう言うと老婆は金額を提示した。
「もう少し色を付けてもらえないか?…妻との外食の資金なんだ」
そう言うと老婆は少し考えてから、再度提示した。
グットマンはそれで良いと言うと、金を掴んで、雨の中を妻の元に向かった。
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このお話を書くにあたり、協力してくれたTwitterの皆様、ありがとうございます。
このお話は自作作品。
異世界開拓地〈フロンティア〉シリーズに出でくる人物がおります。
グットマン自身もこれから書く最終章に出でくる人物ですので。
そちらの方もお読みくだされば幸いです。
全ての人達に感謝を、貴方方のおかげでこの作品は完成しました。
ありがとうございます。