取次の話
※弱小書店の書店員の一意見の為、全ての書店員が同じ考えという訳ではありません。
さて、本題の前に軽く、書店に本が並ぶ流れを書いてみたいと思います。
出版社→取次→書店
はい、以上です。とても軽く簡単な説明ですね。
そして、書店と出版社の間に居る「取次」という存在は、最近知っている方が増えてきたな、という体感がありますので、きっとトー●ンとかニッ●ンとか、知ってるぞーという方もいらっしゃるかな、と思います。
そして、この「取次」がとても重要です。
というのも、書店に入荷する新刊配本数、決めているのはこの取次なのです。
書店員じゃないの? と思われるかもしれませんが、一部書店やジャンルによっては、書店員が入荷希望数を出版社や取次に出している事もありますが、基本的には取次の采配によって新刊配本は決められます。
その配本の決め方は、かなり機械的で、街の小さな本屋さんが淘汰される原因として、よくやり玉にあがっています。
どこから説明すればいいのか……そうですね、まず、前提としてすべての書店にすべての新刊書籍が配本される訳ではありません。
一日に出版される本の種類は、聞いた覚えはありますが、ぶっちゃけ忘れたので、まぁ百あるかな? という感じですかね。
そんな大量の本が毎日入って来たら、毎日店頭の大変更が発生するので書店員は軽く二回ぐらい死ねます。もちろん、新刊をほとんど網羅するようなマンモス書店もあるかもしれませんが、そういう所はそれだけ書店員の数も多いのでなんとかなるのでしょうが……。
では、どうやって書店に入れる本と入れない本を決めるの、というと、取次は各書店にランクを付けます。そのランクはほぼ売上で決めていると思って大丈夫です。
そして、新刊書籍にもランクが発生します。書籍の場合は初版の刷り部数で概ねランクが決められますね。
で、その書店と書籍のランクで配本が決まります。
のちのち「予約の話」で書こうと思いますが、この配本数は書籍なら二週間前か一週間前に確定します。雑誌が二週間前で書籍が一週間前だったかな、あれ逆かな? とりあえず二週間前ぐらいに決まる、と思ってオッケーです。
この取次が配本を決めるメリットは、先にも書いた通り日々百冊ぐらいの本が出版される中で、書店員が全てを把握して配本数を決めたりするのは不可能だという事です。
時々お客様の中で、書店員は全ての出版社の新刊を把握している、と思っている方がいらっしゃいますが、無理です。超大物作家なら把握していますが、それでも月三十冊ぐらい、把握していたらすごい方かな?
私が昔コミック担当をしていた時は全てのコミックタイトルをチェックしてはいましたが、覚えていたのは十冊無いぐらいなので、相当記憶力に自信のある書店員以外は不可能です。
また、取次が配本を決めない場合、書店員はそれこそ星の数ある出版社一社一社と商談して配本数の希望を出さなければいけないのです。
うん、現実的ではないですね。
では、取次が配本を決めるデメリット、それは売上が悪い書店は再起を図るのが難しいという事です。
売上によって配本が決まるため、売上が悪ければ新刊書籍の入荷数は減っていきます。人によっては発売日から遅れてもいいや、と思う方もいらっしゃいますが、ほとんどは「この書店にないなら、他の書店で買おう」となると思います。
そうすれば、どんどん書店の売上は落ちていく一方になります。
これが小さな街の本屋さんを苦しめる原因です。
そんな小さな書店を応援するなら、是非事前に予約して購入するのをオススメします。先で書いた様に、発売二週間前ならちゃんと発売日に入荷できます。
予約の話については、また後で。
さて、取次が配本を決める、という事を書きましたが、この取次に働きかけてなるべく多くの書店に書籍を配本してください! とお願いするのは不可能です。また、編集さんに初回刷り部数ガンガン刷ってくれ! とお願いするのも難しいでしょう。
じゃあ、刷り部数が少なかったり、小さな書店さんには自分の本を並べてもらえないの……? と悲しい気持ちになってしまった作家様、安心して下さい、並べられますよ。
あくまで、取次が決めるのは“新刊”配本数です。つまり、発売以降は書店員の裁量によって書籍の追加発注が行われます。
そして、書店員の追加発注は、チェーン店なら他店舗での売り上げやネットでの反響など、書店員独自に日々模索して行われています。
この、書籍発注をしている書店員にアプローチする方法、を書きたいと思います。