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我、家族と会話をする。

 さて、気づけばヴァーリスとの結婚式が迫ってきていた。準備はもう万端である。とはいえ、我はそこまで準備をしていない、ヴァーリスが我よりもずっと多く動いていたと思う。

 我は甘やかされている気がする。我が嫌がることはやらなくていいのだと、ヴァーリスはいつも我のことを甘やかしている。我はこんなに甘えていていいのだろうか、そう不安に思いもしたが、ヴァーリスは甘えられた方が嬉しいとにこにこしていた。

「もうすぐ我らの結婚式があるのだの」

「うん! アーシェナが俺のだって皆に自慢するんだよ」

「そうか」

「うん!」

 ヴァーリスは我と結婚式を挙げられるのが嬉しくて仕方がないという様子で、その様子を見ていると我も何だかこう嬉しい気分になっている。

「アーシェナ様、お客様がいらっしゃってます」

 ヴァーリスとのんびり過ごしていたら、お客様ですと声をかけられた。

 客だなんて、誰だろうと思ったのは当然であった。我が疑問に思いながら、ヴァーリスと共に客が来ているという場所に向かえば、そこにいたのは久方ぶりに見る顔ぶれだった。

「母に父に、ガヒはないか。久しぶりだの」

 我が声をかければ、母と父、ガヴィは我を見て一目散に駆け寄ってきた。まずは母と父や、弟のガヒはヴァーリスの姿を見て挨拶をした。その後、「ちょっとアーシェナを借りる」などといって、我を連れていき、家族だけで会話を交わすことになった。

「アーシェナ、魔王と結婚ってどういうことだ?」

「アーシェナちゃんが結婚してくれるなんていってくれるなんて……でもどうして魔王と結婚なんてことに?」

「姉さん、何をしたんだ?」

 父、母、ガヒがそれぞれ我に向かってそんなことをいう。なんだか我が何かをしたことが前提となっていることに対して文句を言いたい。何故、我が何かをしたからヴァーリスと結婚をすることになったと思っているのだろうか。そもそも先に何かしたのは我をさらったヴァーリスであろう。

 弟のガヒは番がおり、子供もいるのだが今は連れてきていない。

「―――何をしたとは、我からは何もしておらぬ。ただ、人形でのんびりしておると、ヴァーリスにさらわれたというか」

「は?」

「それで求愛された。我、自分より強いものがよく、戦った。そして負けたので、番になることにした」

「はぁ?」

 ガヒが意味が分からないとでもいうように表情を歪ませている。何故だ。我はとても簡潔に、我とヴァーリスの間で起こった出来事を説明しているというのに、何故は? などと言われねばならぬのだろうか。

「どういうことだ? 意味が分からない」

「魔王がアーシェナをさらった? で、求愛?」

「アーシェナちゃん、どういうことなの?」

 ガヒ、父、母の台詞である。

「我が好みでヴァーリスが我をさらったとのことだった」

「アーシェナちゃんが好み? 魔王ってアーシェナちゃんみたいな子が好みだったのね。だから他の女性になびかなかったのね……」

「母よ、そのようである」

 好み、などといわれてまっすぐに好意を向けられて恥ずかしかったが、嬉しいことだった。ついこの前のことだが、昨日のように思い浮かべることができる。

 嬉しかった。そして戦って負けた時は悔しかった。今は、ヴァーリスのこと気に入っている。そう考えると、はじめてヴァーリスと会った時よりも我はヴァーリスに対して良い感情を抱いているというのは驚くべき変化かもしれない。

「それで、アーシェナに勝っただと!? 魔王は化け物か?」

「うむ、父よ。ヴァーリスはとてつもなく強かった。我の全力に迎え撃ち、強かった。我はヴァーリスに負けた。そしてヴァーリスの番になることにしたのだ」

「……うわぁあ、姉さんに勝ったとか、魔王、やばすぎだろ。姉さんが誰かの番になるとか、想像もしてなかったけど、でもまぁ、姉さんが番を作るなら普通の奴じゃ無理か」

「我も全く想像していなかったが、中々ヴァーリスは良い番であると思う」

 我がそういえば、三人ともあら? という顔をした。母は満面の笑みである。

「あらあら、アーシェナちゃん、魔王のことちゃんと気に入っているのね。無理やりとかではなく、ちゃんと招待状に書いているように魔王のことを番としているのね。良かったわ。アーシェナちゃん、魔王に恋しているのね~」

「恋? それはよくわからぬが、気に入ってはおる」

「あらあら~」

 母はとてもにこにこしている。とても愉しそうに笑っていて、何だかそんな目で見られると恥ずかしい気持ちになる。

「アーシェナちゃんに番が出来て、結婚式も今度あげるなんて本当に夢みたいだわ。ねぇ、結婚式はどんなふうにする予定なの?」

「母よ、ヴァーリスがほとんど準備しているからそっちに聞いた方がよいぞ」

「あらあら、では呼んでもらっていい?」

「うむ」

 母は、ヴァーリスに話を聞きたいということで、ヴァーリスを呼んだ。



 それから我が家族たちとヴァーリスで話を沢山するのであった。ヴァーリスが我のことを可愛い可愛いいっていて家族の前で恥ずかしかった。


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