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我と魔王のハネムーン 6

「あれ、アーシェナ、どうしたの?」

「どうしたのではない。雌と何を仲良くしておるのだ」

 我はヴァーリスへの気持ちと向き合おうと思って、一生懸命愛とは何ぞやというのを模索していたというのに。我はヴァーリスが我の事を思っていてくれているから、我はそれにこたえたいと思った。だから頑張って探していたというのに、何故、我がそんな風にやっている時に雌と仲良くしているのか。

 ああ、もうなんじゃろう、これ。妙にむかむかしておる。

「我はヴァーリスのために、ちゃんと向き合いたいと思って愛とは何ぞやを聞いて回っていたというのに。そんな中で雌と仲良くしているとはどういうことなのじゃ」

 我はむかむかしている。どうしようもないほど、感情が爆発しそうになっている。

 ヴァーリスは、我の事を好きだと、我の事を愛していると、可愛いと何度も何度も言ってくれた。我の事をまっすぐに見つめているヴァーリスの気持ちは心地よかった。ヴァーリスと口づけを交わすのも、嫌ではなかった。

 ―――そして、今、我はヴァーリスの側に雌が侍っているのを見て腹を立てている。この感情はなんなのだろうか。式を挙げて、ヴァーリスの事を自分の物だと認識しているから? 愛とは何ぞやと問いかけた時の、皆が言っていた言葉が頭の中を反芻する。我は、ヴァーリスが雌と共に笑い合っていることに対して何とも言えない気分になっている。

 我がヴァーリスと向き合おうとしている時に、雌と仲良くしているのを見て我自身がないがしろにされている気分になっている。――我の事を何処までも大切だというヴァーリスの気持ち。それは嘘だったのだろうか、とか、そんなバカみたいな気持ちさえも沸いてきてしまっている。ああ、もうどうして我はこんな思いになってしまっているのだろうか。わからん、わからん。

 しかも、何でヴァーリスは我が怒っているのに、嬉しそうな顔をしているのだ? 我は魔力を放出してしまっていて、周りにいたものたちはへたり込んでいる。そんな中でヴァーリスはにこにこと笑っていて。

「アーシェナ! 何? 嫉妬してくれてるの!? 俺、超嬉しいんだけど!!」

「嫉妬?」

 嫉妬、と言われて我は驚いた。それは誰かを取られる時に、人が感じる想いであると聞いている。

「そうだよ。俺が女の子と仲良くしていたのが嫌だったんでしょ? でも心配しないで、アーシェナ!! 俺アーシェナ以外どうでもいいから!!」

「嫉妬……我が嫉妬?」

 我はヴァーリスの言葉を聞きながら愕然とする。この気持ちが嫉妬? ヴァーリスを我は誰にも渡したくないと、あの者達が言っていたような独占欲を感じてしまっている? 独占欲? それを感じているという事は我は、ヴァーリスに愛を感じているのだろうか。

「のぉ、ヴァーリス」

 我はヴァーリスを見る。にこにこと笑っているヴァーリスの事を。ヴァーリスのにこにこと笑っている顔を見ていると嬉しい。我の事を好きだと全面に出している顔を見ていると嬉しい。

 我は、ヴァーリスが我の隣にいるのが当たり前だと思ってしまっている。―――よくよく考えてみると、我はヴァーリスのいない未来を現状考えていないし、それはあの老夫婦の言っていたようなずっと共にありたいという思いなのではにだろうか。

 ああ、そうか。

 我は……、愛が分からないなどと思っていた。我が感じている気持ちがなんなのか分からないと。

 でも———、

「我、ちゃんとヴァーリスの事愛しているみたいぞ」

 そうだ、多分、我はちゃんとヴァーリスの事を愛している。

 きちんと、ヴァーリスに対する愛を我は持っている。我は……ヴァーリスの事を思っている。その気持ちが嬉しいと受け入れている。

 それを自覚すると、すとんと心に落ちてきた感覚になった。我の魔力は徐々に収まっていく。

「え」

 あ、ヴァーリスが固まった。そしてしばらくすればみるみる顔が赤くなっていく。

 ……我に散々、可愛いとか愛しているとか言っているし、我に滅茶苦茶口づけもしてきていたのに。そう思うと、ヴァーリスは愛い奴だと思ってしまう。

 ああ、そうか、これが愛おしいという気持ちか。

 そう思うと、笑みが零れてきた。

 そうか、と納得して。それでいて、何だか目の前で固まっているヴァーリスの事がどうしようもなく愛おしく感じて。

「うむ、我、ちゃんとヴァーリスと同じ気持ちで、我もヴァーリスを愛している」

 ヴァーリスは再度告げれば、「うわあああ」となぜか叫んで、座り込んだ。

 うむ、どうした?

「アーシェナが俺の事愛してるって言った! 超可愛い」

 顔を真っ赤にしたまま、なんかぶつぶついってる。うーむ、恥ずかしがっている? と不思議そうに我がしていたら急に立ち上がって、我の事をぎゅっと抱きしめた。

「―――アーシェナ、超嬉しい。俺も、愛してる」

「うむ」

 頷きながら、自覚したからか、微かに鼓動がドキドキと刻んでいるのを自覚した。

 その後我らは宿に戻って、夫婦の営みというものをした。あと、周りにいたものたちへはヴァーリスは「俺のお嫁さん可愛い」と自慢してたらしい。うむ……、落ち着いてから魔力で威圧してしまったことは謝っておいた。



 それからのハネムーンは楽しかった。自覚したからもあるが、我は中々仲良く過ごせた。




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