我と魔王のハネムーン 4
「嬢ちゃんみたいなのがなんで武器なんて欲しがるんだ?」
ドワーフの所へ向かったら、我の外見を見てまたそんなことを言われた。我の人形、本当に弱そうなのだ。我の人形は幼体であるから、相変わらず侮られている。まぁ、竜族とか人形と本来の姿を使い分ける種族は武器を使ったりしない事も多いし、そういう相手をあんまり見た事がないのかもしれない。
「我、これでも成体」
「俺達結婚したから、記念に同じ武器手にしようかなーと」
「……成体? 結婚?」
「というか、我のが、ヴァーリスより年上である」
「そうそう。アーシェナ人の姿なると本当小さいからね。可愛いからいいけど」
こやつはまた、可愛い可愛いと人前で……と思いながらも口挟むことはしない。
「そうなのか……重いものとか大丈夫なのか?」
「問題ない」
我がそう答えれば、ドワーフは考える仕草をして、結局作ってくれることになった。
作ってもらえるのなら問題ないだろうという事で、どんなふうに作ってほしいか告げてから、二人で並んで街の中を見て回る。
炭鉱の街と呼ばれるこの街では、鉱石が沢山とれる街だから、宝石とかのお店も並んでいて、ヴァーリスが我に買ってくれるといった。我は正直、宝石とかの良さは分からないけど、ヴァーリスがにこにこと笑って、我に似合うものを選んでいるのでひとまず好きなように選んでもらうことにした。
「これ似合うよ」
「アーシェナには~」
ヴァーリスと店員の雌がとてもはしゃいで我への宝石を選んでいた。結局キラキラ光る赤い宝石、ルビーのネックレスを買ってくれた。首からかける。折角もらったから大事にしよう。
「アーシェナとこうして新婚旅行で来て、俺嬉しい」
「そうか。我も楽しい」
ヴァーリスがにこにこと笑うのが嬉しくて、我も笑みを零す。
二人で手をつないで歩いていたら、人の雌達が寄ってきた。何故よってくるのだ? と思っていると、どうやらヴァーリスの事を狙っているらしい。我がいるのだぞという意味を込めてヴァーリスを引き寄せたけれど、雌たちは気にした様子なしに話しかけてきた。
「そちらはお子さんですか? 可愛いー」
「一緒に遊びませんか?」
「やだ、凄いかっこいいー」
……お子さん扱いされた。我、ヴァーリスの番なのに。何とも不可解な気持ちになる。
「遊ばない。これは俺の奥さん」
「えー、こんな小さい子が!?」
「うっそー」
何だかノリの軽い雌達である。雌たちは我が奥さんだと知るとそのまま残念そうに去っていった。本当にヴァーリスは美しい見目をしている。だからこそ、こんなに雌が寄ってくるのだろうが。
……ヴァーリスは我の番であるから、正直、こうして他の雌がよってくるのは嫌である。我の番であるからな。
しかし、やっぱりそれが愛という感情なのかどうかはさっぱり分からない。……どうなのだろうか? 我は番にはなっているが、ヴァーリスの事をそういう意味で好いているのだろうか。
分からない。早く答えてあげられればいいのだが、いつ我の中でその答えが出るのだろうか。そう思うともんもんとしてしまう。
「ヴァーリスは……」
「ん?」
「……誰でも選び放題だろうに、よく我のことを選んだなと」
「アーシェナは俺の好みだったからね。一目見て奥さんにしたいって思ったからさらったんだよ」
「奥さんにしたいからさらうって、我ではなかったら問題だったかもな」
「アーシェナ本気で嫌がってなかったのわかったからね。それにこの後会えないとかなったら困ったし」
一目見て奥さんにしたい、そんな風にヴァーリスは我に感じたのだという。我はそんな風にヴァーリスに感じているわけではない。だが、誰かを好きになるきっかけというのはさまざまなものがあると聞いている。
色々な人に恋愛感情というものを聞いていこうと思う。そうしたら色々わかるだろうか。
「のぉ、ヴァーリス。我、ヴァーリスの気持ち、きちんと答えたい。だから、愛とはどういうものであるか、人に聞いて回って良いか?」
「もちろん」
我の言葉にヴァーリスは頷いた。我がヴァーリスをどう思っているか、それをきちんと把握して、それできちんと答えたい。そして、ちゃんと愛ってどういう気持ちか我は知りたいのだ。知った上できちんとヴァーリスに応えられたら、ヴァーリスは笑ってくれると思うから。
我とヴァーリスは番なのだから、ちゃんと愛を知るべきなのだ。
そんなわけでその後、我とヴァーリスは別行動をすることにした。
ヴァーリスの横で愛とは何かを聞いて回るのは、何だか我にとっては恥ずかしく考えてしまうからである。




