我と魔王のハネムーン 2
「こんな子供に何が出来るんだ?」
我とヴァーリスは、共に魔物を退治するために船に乗っているわけであるが、魔物退治を生業にしているものに突っかかられた。我の人形があまりにも幼いからこそ、子供にしか見られないのである。我は正直苛々した。
我は今まであまり人形で行動することがなかった。そもそも誰かと関わることを全然していなかったからこそあまりこんな風に侮られることはなかったわけだが……。こんな不運見た目だけでそんなことをいってくるものがいるのだな。
「お前らよりアーシェナの方が強いに決まってるじゃん」
突っかかってきているのは人間と獣人族の連中である。ヴァーリスがばっさりいっても、彼らは信じている様子はない。まぁ、信じようが信じまいがどうでもいい。我は美味しい魚を食べるために魔物を退治するのだ。
我がヴァーリスの奥さんだと知って奴らは、ロリコンがどうのこうのいっていたが我はおぬしらより年上である。全くもって人のことを見た目で判断などしないで欲しいと思ってしまう。
まぁ、我の力を見せつければどうにでも出来るので良いだろう。船、というものに我が乗るのははじめてだった。乗り物に乗ることも今までなかったから、我は不思議な気分だった。船の上で我はヴァーリスに抱きかかえられている。ヴァーリスは我と一緒に船に乗れたと嬉しくて仕方ないようである。
「ヴァーリス、いい加減、おろさぬか?」
「いーや。俺アーシェナのことずっと抱きかかえていたいもん」
「そうか……」
我は結局、抱きかかえられたままになっていた。そうしていると、魔力の気配がした。海の方からだ。これが魚を取れなくしている原因なのだろうか。よし、潰そう。
「ヴァーリス」
「やる?」
「ああ。ちょっといってくる」
まだこの船に乗っているものたちは、魔物の存在には気づいていないようだ。それだけ察知能力が低いというのに我に偉そうにいっていたとは、本当になんなのだろうか。まぁ、良い。早く魔物を退治してしまおう。
我は魔力を込める。そして体を浮かす。人形でも魔力を使えば体を浮かすことは出来る。とはいえ、竜体で居る時よりは飛びにくいし、やりにくいのだけど。
我やヴァーリスが魔物退治のために行動を始めた時、ようやくその魔物が海の底から姿を現した。
それは、巨大なクジラのような化け物。その巨大な魔物はこの船よりも大きい。その巨大な魔物は、船にぶつかってこようとする。それに対して動いたのはヴァーリスである。ヴァーリスが魔力を使って、船にその魔物が近づかないようにしている。それにしても中々大きな魔物である。
魔物退治を生業にしている連中は顔を青ざめさせていたりしているし、あれだけ我に偉そうにいっておきながらなんとも情けない話である。まぁ、良い。我が成敗してくれよう。しかしこの巨大な魔物だけではなくて、他にも何匹も少しだけ小さな魔物がいる。全員蹴散らすことを決めた我は、宙に浮いたまま魔物に近づき、我は大きく口を開いた。
その魔物は、ヴァーリスの作った結界によって体がはじかれたことに戸惑った様子を見せたものの、あまり考える頭がないのだろう、何度も何度も結界にぶつかる。その様子を横目に、我は口から炎を吐いた。全てを燃えつくす、と言われている炎。我の炎がその魔物に燃え移る。もだえ苦しむその存在。我は追撃をして、その命を狩った。
燃えつくされて、その魔物は塵さえも残らなかった。
「退治した」
「流石、アーシェナ!」
我の言葉に、ヴァーリスは結界を解いてにこにこ笑いながら我を抱きしめている。他の連中は我がさっさと倒してしまったことに驚いているのか、固まっている。
固まっている船長にさっさと帰るようにいえば、街へと戻ってくれた。
その後、魔物が無事に退治されたということで街ではお祭り騒ぎになった。我とヴァーリスが表彰されるがどうのこうのって話があったのだが、それよりも美味しい魚が食べたいといって辞退した。
とりあえず我は美味しい魚を折角だから食べたいという理由だけで魔物を退治したわけなのだから。
「おいしいのぉ」
「うん、美味しいね、アーシェナ」
その後、我は美味しいお魚が食べれて満足をした。
我とヴァーリスはその街に数日滞在した。初日に魔物退治ということを行ったというのもあって街を歩いているとちらちら見られてうんざりはしたが、まぁ楽しかったのでよしとしよう。
思う存分その街を楽しんだ我らは、他の街に行くことにした。




