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第4話:結界師?

 王様を元の姿に戻した翌日、朝早くから起きて城に向かう準備をしていると九朗が話しかけてきた。

「レオ、これからどうすのだ?」

「これからって?」

「今、この世界は戦争しているだろう。今後、俺達が戦争に加担するようになるのは目に見えているがな」

「…… そうだな、世話になったエリスの事もあるしこのまま知りませんじゃ済みそうもないな」

「ああ、エリスは后になるみたいだしな」

 実際の所、俺は戦争に加担するのは嫌だ。人を殺すという行為がまず出来そうもない。九朗もその所を懸念しているのだろう。

「なあ、九朗…… お前は戦争に加担して人を殺せるか?」

「いざっていうときになってみないと分からないが、これだけはいえる」

「なんだ?」

「お前が、危機的な目にあってるのを目前にして冷静にいられる自身はない。そんな場合に出くわしたらこの手を血に染めるかもしれん」

「…… そうだな、俺もそんな時は……」

「俺はそんな場合がない様に、俺たちの世界の知識でこの国を勝たせようと思う」

「そこまで、考えていたのか」

「ああ、俺達の目標はあくまでも自分達の世界に帰る事だ。それまでどんな事があってもお前と一緒に元の世界に帰ってみせる」

「そうだな、俺達は帰る事が一番大事だしな」

 九朗の顔をみて決意した、どうやっても帰ってやると言う事を……

「それより、これからの事を考えないとな」

「これから?」

「ああ、この城の城下町に住み込んでおかないと指導も出来ないしな」

「それもそうだな……」

「王に言って、家でももらうか?」

「くれるか?」

「王の命とまではいかないが、救ったのには違いないからな」

「そうだな、言ってみるか」

 そんな腹黒い事を考えながら、城へと向かった。



 城の待合室で、数分ほど待っていると謁見場へと通され王との面会が始まった。

「レオ、クローよ昨日は世話になった。」

「いえ、大したことはしておりませんし実際術を行ったのはエリスです」

「しかし、間接的にだがそなた達が行った事には変わりない」

「ありがたいお言葉、恐縮にございます」

「うむ、ところで褒美を授けたいのだがクローにはこの腕輪を授けよう」

「これは?」

「その腕輪は、結界を術者の能力で大きくしたり形を変えたりできる物だ」

「ふむ、便利そうだな」

 そう言うと、九朗はニヤリと口元を歪めている。なにかろくでもない事を考え付いたらしい

「で、レオだがそなたは信じがたいが全系統と術を扱えるらしいな」

「はい、そのようですが」

 そう答えると、室内からどよめきが起こった

「うーむ、そなたに与えるものは色々あるのだが何か希望があるか?」

 その答えを待ってましたとばかりに

「よろしければ、城下町に2人で住む事のできる家を頂きたいのですが」

 ちょっと、図々しいかなと思っていると

「そんなものでいいのか?先程クローに与えた腕輪を売れば大きな屋敷が3つ4つ建つ物だぞ?豪邸でもいいのだが」

 なに?! そんな高価なものだたのかあの腕輪とも思ったが、ここは冷静に

「いえ、2人で住めれば十分ですので」

「そうか、分かった用意させよう」

 そう言うと、側近の者になにか言っている

「では、次にだがそなた達はこれからどうする?」

 やはりそうきたか、と横で九朗がつぶやいている。すると九朗が

「王よ、俺はこの国の軍関係の仕事につきたいのだが」

「ほう、役に立つと?」

「まあな、やればわかるが俺とレオがいればこの守備隊に勝つ事もできるぞ」

 そんなとんでもない事をクローが言うと、がやがやと騒がしくなり”調子に乗るな”とか”戯言を”とか聞こえ出した。実際俺も、守備隊が何人いるかもわからないのになぜそんな挑戦的なことを言うのだろうと思い同時に嫌な予感がした。と、いうのも王がこちらを怒気を含んだ目で見ている。

「クローよそれは、言い過ぎではないか?ここの守備隊は2000の騎士団と4000の歩兵

3000の魔法軍団がいるのだぞ」

 おいおい、多すぎだろ

「そんなものか、そうだな2時間もあれば決着つくだろう」

「おい、言いすぎだぞクロー」

 すると、九朗が小声で

『このくらい言っとかないと、俺達の重要性がわからんとおもうからな』

『それでも、言いすぎだろう』

 ぶつくさ、言い合ってると騎士団長のトールが

「王様、実際に模擬戦を致しましょう」

 と、切れかけているトールが俺たちに牙をむいた。まあ、そりゃそうだろうね騎士団を率いてる長が自分の隊を馬鹿にされているようなものだからね。

「しかし、本当によいのか2人とも?」

「はい、王様2人で結構です」

 と、俺も半ば諦めかけて答えた。するとそこに、エリスが口を挟み

「やめといた方がいいと思いますけど」

「やはり2人と9000人は無理だろうと、エリスもいってるではないか2人とも」

 と、王が口を挟むがエリスの言葉はその場を凍らせた

「いえ、騎士団長の方に言ってるのですが」

「な、なに? クロー達のほうが強いと申すか!」

「確実な事はいえませんが、たぶんとしか」

 その言葉に、温厚そうなトールがきれた

「王よやらせてください、このままでは騎士団が馬鹿にされつづけるような物です」

 すると、王はため息をつき諦めたようにつぶやいた

「わかった、第二演習場で行う。準備を」

「はっ!承りました」

 と、こちらを一睨みしトール騎士団長が退出していき、俺達もそれに続いて退出した。


 第2演習場に向かう途中で、なぜあんな態度に出たか聞いてみた

「クロー、ちょっと強引すぎないか?」

「なにがだ?」

「なにがって、あんな挑発的なこと言って大丈夫なのか?」

「いいか、レオ。あそこまでやったのには3つ理由がある。1つ目は、俺達2人の凄さを分からせないといけない。2つ目は、あれだけ挑発されたら受けざるを得ない。最後は、2人だと舐めてくるから先手が打ちやすく、慌てて向かってきても対処しやすさがある」

「お前、本当にそこまで考えていたのか?」

「当たり前だ、軍師とは対談時ですでに勝敗を分ける物だ」

「お前軍師じゃないだろ」

「…… まだな」

 そんな話をしながら歩いていくと、第2演習場についた。なんというか、壮大だな9000人というのは、しかも殺気立ってるし……

「では、始めてくれ」

「了解だ」


**** エリス side ****


 2:9000の戦闘が今から始まるが、私は別段あわててはいなかった。それどころか9000人もいるのに守備隊のほうを心配している。そう心配そうに見ていると王様でもあるシオンが声をかけてきた。

「エリス、心配か?」

「ええ、守備隊がね」

「おいおい、2人のほうじゃなくて守備隊のほうかよ」

「貴方は、2人の出鱈目さが分かってないのよ」

「そんなに、出鱈目か?」

「かなりね。見てれば分かるわよ」

 そんな会話をしていると、始まりの声がかけられると同時にレオが無詠唱で先方隊のど真ん中に雷撃を落とした。威力をかなり落としているらしく死人はいないものの動ける物はほとんど見られない。慌てた守備隊の魔法軍が攻撃呪文を唱えるがクローの結界の前にすべてはじかれている。その隙に再び雷撃が魔法軍に襲い掛かるが結界の為あまり効果がないみたいだ。



**** レオside ****


「おい、九朗結界かかってるぞ」

「ふむ、そうか。ならあまりしたくなかったがレオあれをだせ」

「やっぱ、だすのか。死人でなけりゃいいけどな」

「出ないように、頑張れ」

 無責任なこと言ってくれるぜ。俺はため息交じりで今度は詠唱を始めた。

「バータ・フォー・ティルズ

      囲え 死の荊棘(いばら)

         ヴェルカム・イン・タイ

            盲死荊棘獄(ブラインド・ガーディアン

 唱えると、無数のバラの棘が魔法軍を包み込んでいった。

「痛そうだな」

「ああ、痛いだろうなあれは」

 殺傷力をおさえているが、バラの棘が体中を囲んでいるので、動けば動くほど食い込む。

「あとは、騎士団だけか」

「ああ、そうだなそろそろ来ると思うが…… きたな」

 2000ほどの騎士団が突っ込んでくるが、俺達は冷静に見ていた。策は施してあるので後は、待つだけだ。というのも頭に血が昇っているのかまっすぐ突っ込んでくる。俺たちの目の前には相手から見えないが、幻呪文で大きな川をつくってある。そこで足止めをさせ、上からタイタンの足を落とすというものだ。まあ、実際はふまれる直前に九朗が結界をかけてるんだけど。

 思惑通り、川に馬の足をとられもがいている所に呪文を唱えタイタンの足を召喚し落とした。騎士団の頭上直前に九朗がまたやらかした。

方囲ほうい定礎じょうそけつ

 いや、いや、そんなことしなくても結界はれるだろと、突っ込んだが

「こっちの方が、かっこいいからいいだろ」

と、訳のわからない事をいっている

「しかし、この腕輪便利だな。思い浮かべただけでこれだけ張れるとは」

「そうだな、結構広範囲にいけるし形も自由自在だな」

「うむ、これで俺も烏森からすもりをまもれるぞ」

「いや、それ関係ないし」

「むう」

 そんなことを言いながら、壊滅状態になった守備隊を見下ろし王のもとへ歩いていった。




 







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