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第2話:俺は魔法使い?

 いい匂いに誘われ目が覚めると、本を読んでいる九朗が目に入った。

「九朗、あの魔法は字も読めるようになるのか?」

「いや、全く読めん」

「じゃあ、なんで本なんか開いているんだ?」

「読めるかと思って開いてみたが無理だったので、雰囲気だ」

 訳のわからない事をいうなと思いつつ、九朗の傍に近寄り本を覗いてみたが、複雑な文字みたいなのがずらりと並んでおり、全く読めなかった。

「レオ、これからの事もあるから字を覚えておいてくれ」

「りょ〜かい」

 ここで疑問に思うだろうが、文字を覚える事など俺にとっては簡単なのである。なぜかと言われれば、俺には3つ特技がありその1つに瞬間記憶というものがある。

 瞬間記憶とは、一度見た物であれば覚えるし忘れない。学校の教科書とかも一回目を通してしまえば覚えたし、英語の辞書を丸々暗記した時には驚かれたものだ。そういうこともあり、エリスさんから一度教えてもらえれば覚えるし、それを基本に本を読んでいけば3日もあればこの世界の大体の言い回しや諺なんてのも覚えるだろう。

 そんな事を考えていると

「レオ、クロー起きてる? 朝食作ったけど食べない?」

というエリスさんの声が聞こえてきたので、九朗見ていた本を取り上げ下の階に降りた。

「おはようございます。エリスさん」

「おはよう、エリス」

「おはよう二人とも。レオ、私の事はエリスでいいわ」

「いえ、しかし……」

 その言葉に反論しようとしたら、エリスからじっと睨まれた。

「わかりました。エリス、朝食ありがたくいただくよ」

「はい、どうぞ」

 エリスの作った朝食はとてもおいしかった。ただ、見たことがない食べ物ばかりであり少々とまどったが気づけば全部食べあげてしまっていた。

 朝食も食べ終わり、先程九朗が言っていたことをエリスに相談してみた

「エリス、悪いんだけど少し基本となる文字を教えてくれないか?」

「ええ、いいけど文字まで覚えるのは難しいわよ」

「まあ、少し教えてくれればいいよ、繰り返し覚えるから」

「わかったわ」

と、言いつつも少し基本的な事を昼まで教えてもらうと、夜には本を読める様にまでにはなっていたら。

「レオ、あなたの頭の構造はどうなってるの?」

 とか

「レオの頭は変態だからな」

 など、失礼極まりない言葉をかけられた。第一覚えろといったのは九朗だろうが。

 そんなこんなで、異世界に来て4日目にはすっかり文字も覚えてしまい、一番気になっていた魔法の本を読むことにしたが、読み出して2日目には、エリスの家にある本を読み上げてしまった。

 読んで分かったが、この世界の魔法は基本的に5つの種類に分かれているらしい。大まかに分けると、攻撃魔法・防御魔法・補助魔法・精霊魔法・召喚魔法となっているらしい。魔法使いは、この5つの魔法のどれかに属している。攻撃魔法に特化しているものが防御魔法を使えないかと言うと、そうではなく、本来特化しているものからすれば威力が1/10くらいになるだけだという。稀に2つの呪文に特化した物が出てきたりするらしいが極めて稀であり全世界に20人ほどであると言われている。ちなみに、エリスはそのうちの1人であるらしく、防御と補助魔法に特化しているのであると言う。

 エリスはここから2日ほどの所にある神護聖国の本城”エクセン=グロウニス城”に魔法使いに魔法を教えたりする指導者なのだと言う。これで分かるようにエリスはかなりの魔法使いである。

 魔法の本を読み終えて暇になったので、俺達も魔法が使えるかどうかエリスに尋ねる事にした。

「エリス、俺達も魔法使えるかな?」

「う〜んどうだろうね、調べてみる?」

「調べるって、早速使うって事?」

「いいえ、とりあえずどの魔法に特化しているか調べないとね」

「ああ、あれか水見「それは言うな」むぅ」

 特化を調べるやり方が、某マンガのやり方に似ているのでおもわず口に出そうとした九朗を慌てて止めた。

「? まあ、いいわ。準備するからちょっと待ってて」

 そう言って、エリスは5角柱の透明な瓶に水を張った物をもってきて、葉を水の上に浮かべた。そう、ハ○ターXハ○ターの水見式に似ているのである。

「この瓶に魔力を流すと、葉が特化している方に流れるわ。私がやるから見てて」

 そう言うと、瓶に手を当てた。すると葉が防御と補助を示す方向に行き途中で葉が半分に分かれてそれぞれの頂点に達した。

「私は特化しているのが2個あるからこうなったけど、普通はどれかの頂点に行くはずだわ」

「よし、俺がやろう」

 九朗がそう言うと、エリスが新しい葉を水に浮かべ、九朗がふんっとなんだ気合を入れたような声を出すと葉が徐々に動き出したかと思うと、先程の様に縦に割れるのではなく横に3つに分かれ、防御・補助・精霊魔法のほうに向かっていった。

「…… クローは3つに特化しているみたいね」

「ほう、そうか」

 九朗は普通だが、エリスはかなり驚いている様である。

「じゃあ、今度は俺が」

「ええ、どうぞ……」

 驚きを隠せないエリスが慌てて新しい葉を用意してくれた。

「では、いきます」

 俺は魔法の本に書いてた通りに、魔力手に移るようにすると葉は真ん中でくるくると勢い良く回っている。

「ふむ、レオは特質k「だらか、いうなって」」

「エリスこれはどういうこと?」

 と、エリスの方を見ると目を大きく見開いてくるくる回っている葉を凝視していた。

「え? ああ、ごめんなさい驚いたものだから」

「驚く?」

「ええ、どうもレオは全系統に特化しているみたいなの」

「へ〜」

「へ〜って、これがどんな凄いことなのかわからないの?」

 エリスはとても興奮したように言ってきたが、実際に魔法を使っていないのでその凄さがわからない。

「とりあえず、村から離れた草原の広い場所で試してみましょ」

「「了解」」

 それから俺達は、1時間ほど歩いた所にあるかなり広い草原まできたのはいいが、かなり広いサッカー場が4つくらい入るのではないだろうか。

「かなり遠くまで来たね」

「そりゃそうよ、あなた達みたいなでたらめが魔法を暴走させたら恐いからね」

 でたらめって……

「じゃあ、クローから教えるわね」

「了解だ」

「クローいい?呪文は”風よ 我が盾になり給え 風のウインド・ウォール”よ」

「分かった、ではいくぞ。”風よ 我が盾になり給え 風のウインド・ウォール”」

 九朗が詠唱すると、風が九朗の周りに渦巻いている。

「この呪文は、矢が飛んできた時に自分から逸らす時に使う呪文よ、あと近接攻撃を避けるのにも使えるわ」

「ふむ、エリスちょっと試したいことがあるのだがいいか?」

「ん?いいけど」

「わるいが、少し離れててくれ」

 エリスが3mほど離れるのを確認すると、九朗が聞き捨てならない呪文を口にした。

「地の召喚の五芒 火の召喚の五芒 水の召喚の五芒 風の召喚の五芒

   大いなる王神よ 我が四囲に五芒星 炎あげたり 天の六芒より

      御下りて我れに力与えん 真空斬刃嵐(アナイ・アレイド)

 おいおい、バス○ードの呪文言ってもなにもおこらないだろう、と口に出そうとした瞬間に九朗の周りに先程の風の盾とは比べ物にならない突風が渦巻き、収まると九朗の周りに透明な壁みたいなのが出来ている。

「ちょっと! 九朗そんな凄い魔法使ってると倒れるわよ」

「ん、別になんともないが?」

 エリスはちょっとあきれた顔をしているが、急に厳しい表情になり

「クロー、これは見た感じ風の盾の上位に当たる術に見えるけど、効果はどんなものなの?」

「たしか、俺の周りに真空の壁をつくり光線系の魔法以外は遮断するやつだ」

「なによその魔法! 聞いたことないけど」

「秘密だ」

 まあ、確かにマンガの呪文だと言っても理解できないだろうしな。

「もういいわ、レオあなたも何か知っているのあったらやってみて、もうこれ以上驚かないだろうし。」

 そのセリフを聞いた九朗が、目で俺にでかい呪文使えと言ってくる。

「ああ、いいけど攻撃魔法使っていいかい?」

「どうぞ、ご自由に」

 これ以上、驚くことはないだろうと思っているエリスを驚かせたいのか、九朗がドカーンとぶちかませと目でうったえる。

「じゃあ、いくよ〜。とりあえず目標はあの木ね〜」

 俺は、30mほど離れた所にある小高い木を目標に呪文を詠唱し始めた。

「”光弾よ敵を撃て(タイ・ト・ロー)  鋼雷破弾(アンセム)”」

 100本近くの魔法の矢が木に向かって飛んで行き、木が粉々に飛んだ。

 エリスが目を見開いているので、驚いているのは間違いないが九朗はまだまだと首を横にふるふると振っている。

「よーし、当たった。では本番いくよ〜。次はあのでっかい木ね〜」

「ほ、本番?」

 魔法とは、イメージと対空間把握が大切だと言う。ここで俺の特技の2つ目が利いてくる。

空間把握というのは、対象までの距離や高さなどを把握することである。俺は中学まではバスケをしており、スリーポイントシューターだった。その成功確立は一試合で93%と言うNBA真っ青な記録を出したこともある。高校に入る時も、スポーツ推薦でこないかといくつかの高校に誘われたが行かなかった経緯もある。

「今のは、当たるか試しただけ」

「ためす……」

「では、”ルーイ・エリ・グレスコルビリー 汝 黒き魂にて 我を清めたもう

   おお冥王よ 至高なるものの強き集いの内に 我は死の凍嵐を身に纏いたり

     今 新たなる契りによる 氷雪の力 束ねん 絶対零凍破(テスタメント)

 詠唱の途中に、九朗がエリスを抱えて慌てて離れていくのが分かった。失礼なやつめ。

 黒い球体が俺の背後に出来上がり、その球体が大きな木に向かい飛んでいき当たると同時に木が塵となって綺麗さっぱり消えていった。

「おい、やりすぎだろうが」

「お前が目で言ってただろうが」

「何のことだ?」

「おま「ちょっと、レオ!」ん?」

「あんた、バカじゃないの? 何あのふざけた魔法! ここ一帯を塵にするつもり?」

 エリス大激怒である。

「いい、あなた達!これからは私の許可がない限り魔法使わない様にね! 帰るわよ」

「「はぃ……」」

 俺と九朗は申し訳なさそうに、かなりご立腹しているエリスの後について、とぼとぼと帰っていった。








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