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薄靄

作者: 凛華


目の前が霞む

級に視力が落ちたように目の前がよく見えなくなった

理由もわからない

ただぼうっとしている

意識が落ちていく感覚は無意識ながらもなぜか安心感がある


もう痛みも感じない

浅い切り痕がひりひりと痛んでいたが痛くないと思えば全く痛くなかった

最初痕をなぞると起こる自分の体の変形に吐き気を催していたがそれも徐々に薄れていった

もう抵抗なんてなかった


何から始まったのかも覚えていない

あれだろうかこれだろうか

全然覚えていない

またもや突発的な感情の起伏の連続にて

記憶することもできず我を忘れ意識落としていく


怒り

それは尻にひかれる敗北感従属感

いつかは見返してやろうと常思いつつ

日々切磋琢磨しても先は長く

日々挫折し唇を噛み締め

我忘れて一人感情の海に流されて

ここぞ耐える時と考えて今はひたすら前を向く


その境界は朧気で

他人との特異性を表す指標

一人強く生きるよう

誰の助太刀も借りもせず

人に助けの手を差し伸べる

苦しくもこれは気持ちの持ちようと

無理やり自己洗脳を施して

溢れ得た物は鉄壁の防御

遡行した思考には大空白


強者は決して良いものではなく

強すぎるが故掛け離れるものがあり

己の意思で弱くなろうなどできもせず

悩みもメビウスの輪のほうに

出口のない迷路を彷徨い続ける

一度入ってしまった迷路はそれはとてつもない大きさで

常宇宙のよう膨張と成長を繰り返し

絶対出ることのできぬよう仕組まれてくおり

入り口に戻ろうとも

歩いて来た道はもはやわからなく

ただ立ち尽くすか歩くのみである


迷路にさえいる事さえ忘れさせる麻薬は

現実と理想の天秤にかけられ

残酷にも前者の皿が下を示す

わかってはいるものの全身が麻酔されているみたいに

苦はなく

破滅へと一歩ずつ進んでいく


床で一人もがき苦しみ

孤独ゆえ他人との関わりにも恐怖を抱き

聞こえない救いの叫びをあげても

もちろん誰も気づきもせず

むしろ傷を抉りかえし塩をかける


これから夢の中で夢を見る

今夜もいつも通りなら悪夢だろう

また汗まみれで叫び上がる朝を迎えるであろう

それまでの別れである

早く今見ている夢が覚める事を願って目を閉じる

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