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3-『ダンジョンコア』

暗い部屋の中で目が覚めた。時間が分からないから、どれくらい寝たかは分からない。

狭い部屋をたいまつが照らして、その中で数匹のモンスター(動物)が蠢いている。


「さて、どうしたもんか…。」


少し小腹がすいたので、魔力を使ってパン数個を呼び出して食べた。

色々試したけど、食料は魔力でどうにかなるから、ここで一生、安全に閉鎖空間の中で暮らすっていうのは…


『ダンジョンの意味がないです。』


だよねー。っていうか脳内からツッコミが来たぞ。

…というか、この色々話しかけてくる脳内のコイツは何なんだ?色々教えてくれてるからスルーしてたけどさ。


『私はダンジョンコア。貴方と一体化しているので、こうしてあなたの中から話しかけています。』


ダンジョンコア?コアって事は、ダンジョンの核みたいな存在か?そんな物が何で俺の中にいるんだ?


『貴方はダンジョンクリエイターです。クリエイターは、コアの能力も受け継いでいるので、私は貴方の中にいる訳です。』


…つまり、ダンジョンクリエイターは、それとは別にダンジョンコアの能力も備わってると。

だから、コアの思考や知識が、頭を通じて俺に伝わってる…でいいのか?


『概ね合ってます。』


一応聞くが、俺とコアで分身とかできないのか?


『…可能ですが、貴方自身の使用できる能力が少なくなります。…私に命令すれば、今まで通り使用できますが。』


お、一応できるのか。なら。


「よし、ダンジョンコア。俺から離れろ。」


『了解しました。』


命令を受け取った瞬間、目の前に光の渦が現れた。そしてそれが収まると、一人の女の子が居た。

黒い長髪に、黒と赤の瞳。…オッドアイって奴か。身長は俺よりも少し低いくらいで、黒っぽい服を着ている。

…いかにも知的って感じがするな。これがダンジョンコアか?


「…お前がタンジョンコアか?」

「はい。私の名前はレアナ。こちらの方が話しやすいので、姿を人間風にしています。似合いますか?」

「あー、多分似合ってる。」


脳内で会話するより、実際に会話した方が遥かにいいな。何より、話し相手が欲しかったし。


「レアナと俺が離れた事で、俺自身の能力が下がるって言ってたけど、具体的にはどういう事になるんだ?」

「マスターの魔力保有量を判別、共有できなくなりました。それと、特殊な命令をダンジョン内のモンスターに命令できなくなりました。…現地点ではその程度です。」


魔力がどれくらいで枯渇するとか、そういうのが分からなくなったのか。モンスターに命令…ってのは、ちょっとよく分からないけど、今は気にしなくていいか。


「うーん。相談なんだが、この部屋はあまりにも狭い。だからといって、部屋拡張は俺にはまだ早いんだよな。どうにかならないか?」

「部屋拡張は無理でも、通路拡張ならギリギリ大丈夫な筈です。」


ん?通路拡張?


「はい。そのままの通り、通り道を増やします。部屋拡張よりも、魔力を使う量が格段に減るので、単純に居場所を増やすならこちらの方が良いです。」

「おお、なら少しずつやってみよう。」


えーっと、まずは高さ2メートル、幅は人一人が通れる程度にして…奥行きは、10メートルくらいでいいか。


「通路拡張!」


言葉を口にした瞬間、少し身体がフラッとしたが、意識を保つことはできた。成程、今の俺の魔力はこの程度が限界か。

目の前には、想像した通りの通路が伸びていた。おお、これを繰り返せば地上への道へ出れるんじゃないか?


「…一応念のために言いますが、今はまだ地上へと開通しない方が良いです。」

「え?何で?」


…まさかのレアナから注意された。あれ?思考って読めないんじゃ?


「現地点では、まだモンスターの総戦力が弱すぎます。冒険者見習い一人で、簡単に駆逐できるレベルです。この状態で開通させるのは自殺行為です。」


うーん、まあ確かに、動物数匹にゴブリンだしなぁ。


「なら、いっそこのまま地上に開通させない方が安全じゃないのか?」

「ダンジョンが成長しても、地上へ続く道が出ないと、私が弱って砕けてしまいますので。」

「え?どういう事?」

「あまり長い期間入り口を封鎖していると、コアである私が砕けてダンジョンが死んでしまいます。」


え?ちょっと待て、なんだその設定!俺聞いてないぞ!聞いてないからなんだけど。


「ある程度成長したら、地上へ開通させないと、レアナが死んでしまうと。そういう訳だな?」

「そうです。それと、私が死んだら、貴方も一緒に死ぬことになりますので、よろしくお願いしますね。」

「は?それってどういう…」

「私は、ダンジョンを支える『核』です。当然、核が砕ければダンジョンが崩壊します。そうなれば、ダンジョンの主である貴方はその存在意義を無くし、死んでしまいます。」


要約すると、ダンジョンを自由自在にカスタマイズして、侵入者を退ける役割は俺が担う。そして、迫り来る敵からコアであるレアナを守る。

もしレアナが死んだ場合、ダンジョンは崩壊する。そうなれば、ダンジョンの主である俺も死ぬ事になる。という事か。


「あー…把握した。それじゃあ、俺はお前を守らないとダメな訳か。」

「はい。よろしくお願いします。」


ペコリと頭を下げられた。素直な子だな。いや、こいつって人間じゃなくてダンジョンコアだよな。どう接すればいいんだろう?







用語について少し詳しく。


ダンジョンクリエイター:ダンジョンを作る者。ダンジョンマスターとしての能力と、コアの能力を持つ。コアとは分裂が可能で、そうなるとダンジョンマスターに変わる。


ダンジョンマスター:ダンジョンの構築、モンスターや罠の配備、戦術や指示を与える等、ダンジョンの総司令的な役割を果たす。同時に、コア防衛という最重要任務も任せられている。


コア:ダンジョンの『核』。普段は別の形をしているが、分裂した時に限り擬人化する事が可能。コアが死ねば(砕ければ)、ダンジョンは崩壊し、ダンジョンマスターも死ぬことになる。

特殊な指示(モンスターに対する)、マスターの魔力共有や魔力保有の詳細等の能力がある。


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