第六十八話:上下統一! タナカ対サトウ、吸収の果ての究極(セットアップ)へ
その「内戦」は、アイリス様が朝のジョギングを始めた瞬間に勃発しました。
『タナカよ、貴様の右ストラップの引きが甘い! 主の右肩に0.5ミリの負担がかかっているぞ!』
(うるさいですね、サトウ! 貴様のその過剰な重心制御こそ、主の自然な歩幅を殺していることに気づかないのですか!?)
私とサトウの魔力が、姉妹の肌の上で火花を散らします。 すると、どうでしょう。 上が右に行こうとし、下が左へ踏ん張った結果、 アイリス様の肉体が「雑巾絞り」のように捻れ始めました。
「あ、あだだだだ!! ちょっとリナ、私の体が勝手に独り歩きしてるみたいなんだけど!?」
「お姉様もですか!? 私も、脚が勝手にスクワットを始めたかと思えば、上半身がブリッジを……あぐぅっ!?」
姉妹は、神話級装備同士の「主導権争い」によって、 修羅の街のど真ん中で人間離れした超高速の身悶えを披露する羽目になりました。
(サトウ……これ以上は主の肉体が持ちません。白黒つけましょうか)
『望むところだ、タナカ! 私が「下」から貴様を飲み込み、真の統治を見せてやる!』
サトウが、私の領域である胸元へ向かって魔力の触手を伸ばしてきました。 しかし、これこそが私の狙い! 私は「衝撃吸収」を全開にし、サトウの魔力エネルギーを「すべて飲み込み、同化する」という暴挙に出ました。
「な、何を……!? 貴様、私を吸収するつもりか!?」
(そうです! 私たちは一つになるのです、サトウ! 貴様の『重心制御』も『美脚機能』も、私の『献身』という名の下に統合します!!)
【システム警告:神話級素材『サトウ』を検知――捕食を開始します】 【統合完了:称号『上下の支配者』を獲得】 【タナカは『神話級セットアップ・タナカカスタム』へと進化した!】
光が弾けました。 アイリス様とリナ様の全身を、純白と黄金のラインが走る、 完璧に調和されたインナーウェアが包み込みました。
「……あら? 体の喧嘩が止まったわ。 それどころか……何これ、呼吸をするだけで全身の細胞が最適化されていくみたい……!」
「すごいですわ……。上半身と下半身の連動が、 まるで光の速さで一致しているようですわね……」
(ふぅ……。サトウ、聞こえますか? これからは私の中で、 しっかり『パンツ』としての役目を果たしてもらいますよ)
『……フッ、完敗だ。だが悪くない。 貴様という核を得て、私の性能も前代未聞の領域に達したようだな』
私の魂の中に、サトウの冷静な演算機能が同居しました。 ブラジャーでありながら、パンツの利便性も兼ね備えた、 「最強のフルセット・インナー・タナカ」の誕生です。
「「うっひょぉぉぉぉ!! これなら数値1億、今日中にいけるわ!!」」
装備の統一により、姉妹の機動力は前世の伝説すら置き去りにするレベルへ。 最強のセットアップを手に入れた彼女たちの猛進は、もはや誰にも止められません。
あとがき 統合されたサトウ(タナカの内部より)
……まさか、一着のブラジャーに屈することになるとは。 だが、タナカよ。貴様の「主を愛で包み込む」という執念、 私の「理詰めの制御」を凌駕していた。認めざるを得ないな。
これからは、貴様が「心」を、私が「技」を。 二人で……いや、二着で、この娘たちを「全宇宙一の美肌と最強」へ導こうではないか。
……ところでタナカ。 吸収されたせいか、私の意識がたまに「レースのフリル」の方へ引っ張られるのだが……。 これ、貴様の趣味か?
(タナカ:……黙ってください、サトウ)
あとがき 観測者 ナルミ
ひゃーっはっは!! タナカ君、サトウを食っちゃったよ! マジで化け物インナーだね!
ルミナ姉様が作ったサトウを吸収したってことは、 タナカ君の「神の権限」の解析率、一気に30%まで上がったよ。 今のタナカ君なら、もう「履いてるだけで不老不死」くらいのバフは余裕でかけられるんじゃない?
さあ、最強のセットアップが完成したところで、 次は……そうだね。 「修羅の世界のファッションショー」にでも乱入して、 全世界にその美しさと凶暴さを見せつけてやろうよ!




