第六十話:姉の怒り! ナルミへの鉄槌と、真の神罰
「あはは! いいね、その目! その意気で私の権限さえも奪い取って……」
ナルミ様が、意気揚々と姉妹を焚き付けていた、その時。
荒野の空気が一瞬で凍りつきました。 それはナルミ様の「遊び」とは違う、純粋な「規律」の重圧。
「……ナルミ。あなた、また余計な設定を勝手に教えましたね?」
空が割れ、管理者のルミナ様が降臨しました。 その背後には、数千もの「裁きの雷」が浮遊しており、ガチで怒っていることが分かります。
「げっ、姉貴!? い、いや、これはほら、彼女たちのモチベーションをね……」
「黙りなさい。 この世界の数値バランスを崩すだけでなく、神の権限にまで触れさせるとは。 管理者として、これ以上の越権行為は見過ごせません」
ルミナ様が、スッと右手を上げました。
「あ、待って、お姉ちゃん! 冗談だって! あ、あぁぁぁーーー!!」
ドォォォォォォォン!!!
回避不能、防御不能。 管理権限による「強制執行」がナルミ様に直撃。
レベル9999とか数値1億とか、そんな次元の話ではありません。 「そこにナルミを叩き落とす」と決定された結果、 ナルミ様は地面に深さ100メートルの人型クレーターを作って埋まりました。
「……お、お姉様……あれが、本物の鉄槌ですのね」
「ええ、リナ。さっきのナルミの攻撃がそよ風に見えるわ……」
アイリス様とリナ様が、抱き合ってガタガタと震えています。 神の身内ですらあの扱い。 管理者の本気というものを、二人は骨の髄まで理解しました。
(……ルミナ様、相変わらず容赦ない。 私の「衝撃吸収」を少し分けてあげたいくらいですが、 それをやったら私も消去されそうです!)
ルミナ様は、クレーターに埋まった妹を一瞥すると、 冷ややかな視線をアイリス様たちに向けました。
「あなたたちも。妹の口車に乗って、身の程をわきまえなさい。 ……ですが、一度教えられた『真実』は消せません」
ルミナ様は溜息をつき、指先を弾きました。
「ナルミへの罰として、彼女が持っていた『隠し権限』の一部を、 一時的にそのブラジャー……タナカに預けます。 悪用すれば、あなたたちの存在ごと消し飛ばしますからね」
(えええっ!? 私が預かるんですか!?)
私の魂の中に、膨大な「世界の設計図」のデータが流れ込んできます。
「……さあ、行きなさい。 神を殴る力を求めるなら、その『重み』に耐えて見せることです」
ルミナ様はそう言い残すと、クレーターからナルミ様の襟首を掴んで引きずり上げ、 光の中に消えていきました。
残されたのは、ボロボロの姉妹と、 「神の権限」というヤバすぎる爆弾を抱えたブラジャー一着。
「……リナ。今、ルミナ様、何て言った?」
「……タナカさんに、神の権限を預けると……。 つまり、実質的にタナカさんが『世界の中心』になったということですわね」
「「うっひょぉぉぉぉ!! 最高じゃない!!」」
絶望はどこへやら。 タナカがさらなる「絶対」を手に入れたことに、 姉妹は再び(コリもせず)テンションを爆発させるのでした。
あとがき 管理者ルミナ(&クレーターの中のナルミ)
ルミナ: お見苦しいところをお見せしました。 妹の教育不足は、私の責任でもあります。 当分の間、ナルミは神界の牢獄で再教育(ログイン禁止)にします。
ナルミ: (クレーターの中から)うぅ……姉貴のバカ……。 マジで骨が折れたし……データも半分消えたし……。 でも……へへ。タナカ君に権限の一部、渡しちゃったもんね……。
ルミナ: ……何か言いましたか?
ナルミ: な、何でもありません! ルミナ様最高! 規律万歳!
ルミナ: タナカ。あなたに預けたのは、あくまで「観測」の権限です。 姉妹が道を誤らないよう、しっかりと手綱を握っていなさい。 次に私が現れる時は、あなたたち全員を「初期化」する時かもしれませんよ。




