第五十五話:女神の妹、降臨! 限界突破(リミットブレイク)は「1億」!?
レベル9999という「天井」を知り、宿屋のベッドで魂が抜けたようになっているアイリス様とリナ様。
「……リナ、もういいわ。私たちは一生、あのウサギと同レベルのまま、この狭い世界で腐っていくのね」
「お姉様……。タナカさんを支える『最強の布』にふさわしい肉体を手に入れる夢が、音を立てて崩れ去りましたわ……」
二人は、私のフィット感さえも拒絶するかのように、どんよりとしたオーラを放っています。
(……お二人とも、そんなに落ち込まないでください。私への愛が重すぎて、こっちの魂が押し潰されそうです!)
その時。 部屋の中に、姉のルミナ様とは対照的な、パンクで派手な格好をした女神が転移してきました。
「ちわーっす! 姉貴のやり方にイラついて、勝手に助けに来ちゃった。女神の妹、ナルミでーす!」
「……女神の妹? 悪いけれど、今は帰ってちょうだい。私たちは『カンストの絶望』で忙しいの」
アイリス様が、薄い目でナルミ様を追い払おうとします。 しかし、ナルミ様はニヤリと笑って、衝撃の事実を告げました。
「あーあ、もったいない。姉貴が言った『レベル9999』なんて、ただの見かけ上の数値なのに。 実はこの世界、『隠しステータス』の解放条件を満たせば、実質的な上限は1億まであるんだよ?」
「「……な、なんですって!?」」
二人が、首の骨が折れそうな勢いで飛び起きました。 さっきまでの廃人モードはどこへやら、瞳には再び「修羅の炎」が宿っています。
「そう。レベルの表記は9999で止まるけど、『転生ボーナス』を積み重ねれば、内部数値は1億まで跳ね上がる。 まあ、普通の修羅じゃ一生かかっても無理だけど、あんたたちなら……ね?」
「……なるほど。レベルという数字に騙されていたわけね。 リナ、聞いたかしら? 1億よ。」
「ええ、お姉様。聞きましたわ。 9999なんて、ただの通過点。真の最強への道は、まだ閉ざされていなかったのですわ!」
二人は再び、あの「うっひょぉぉ!!」という奇声を上げ、 窓を突き破って(宿の階段を使わずに)荒野へと飛び出していきました。
「見てなさいよルミナ! 私は内部数値を1億にして、タナカを『神すらも着用できない究極のブラジャー』に昇華させてみせるわ!」
「私は内部数値を1億1にして、お姉様すらも予見の果てに置き去りにしますわ! うっひょぉぉ!! モチベーション、リミットブレイクですわぁぁ!!」
……またです。 また、キャラ崩壊したまま爆走し始めました。
(ナルミ様、余計なことを……! この人たちに『上限1億』なんて教えたら、この世界、今度こそ粉々に粉砕されますよ!?)
ナルミ様は、去っていく二人を眺めながら、楽しそうにガムを膨らませました。
「いいじゃん、その方が面白いし。 さあ、ブラジャー君。君も覚悟しなよ。 数値1億の聖騎士に毎日締め付けられる、『地獄の献身』が始まるんだからさ!」
(……私の『衝撃吸収100%』が、数値1億の愛に耐えられることを祈るばかりです!)
再燃した最強姉妹。 ターゲットは、もはやレベルではなく「世界のシステムそのもの」へと移り変わるのでした。
あとがき
女神の妹 ナルミ
おっはー! 管理者ルミナの妹、ナルミだよ!
姉貴ってば、せっかく面白い素体(タナカ一行)が来たのに、 カンストなんて設定してやる気を削ぐとか、マジでセンスないよね。
やっぱり世界は、「誰にも負けない数値」があってこそ燃えるじゃん? 1億まで上げれば、たぶん女神である姉貴も物理で殴り倒せるようになるから、 そうなったらマジでウケるんだけど!
え? タナカ君、そんなにガクガク震えてどうしたの? あ、そうか。 1億の出力で動くアイリスさんたちを支えるのって、 「惑星一個を支える」のと同義だもんね。
がんばれブラジャー! 君の「フィット感」の限界突破、楽しみにしてるよ!




