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転生したら騎士学生のブラだった件  作者: 沼口ちるの


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第五十四話:天井の判明! 最強姉妹、カンストの事実に「スンッ」を忘れて絶望する

レベル9999のウサギを、アイリス様が(私の衝撃吸収を盾に)強引な体当たりで撃破しました。


その瞬間、二人の体に凄まじい経験値が流れ込み、 レベルは一気に1から5000へと跳ね上がります。


「ふふふ……見た? リナ。 このままいけば、今日中にレベル10万、明日にはレベル1億ね!」


アイリス様が、返り血(ウサギの魔力)を浴びながら高笑いしました。 リナ様も、新たなスキルの発動を確認しながら、不敵に頷きます。


「ええ。この世界の『修羅』の名が泣きますわね。 私たちの才能の前では、ただのレベル上げ効率が良いだけの狩り場ですわ」


二人は意気揚々と、近くの村(といっても住人は全員レベル9000超え)にある、 「ステータス確認の神柱」へと向かいました。


そこには、この世界の住人が目標とする「伝説のランキング」が刻まれています。


「さあ、見せてちょうだい。 この世界の頂点がレベル何億なのか。 私たちの目指すべき『真の最強』の数値を!!」


アイリス様が期待に胸を膨らませ、神柱に触れました。 そこに浮かび上がった文字は……。


【世界最高到達レベル:9999】

【警告:これ以上のレベルアップは、世界の理により不可能です】


「…………。」


「…………。」


二人の時が、完全に止まりました。


「……お姉様。私の聞き間違いでしょうか。 今、『9999が上限カンスト』と書いてありませんでしたか?」


アイリス様の手が、ガタガタと震え始めました。


「嘘よ……嘘に決まってるわ! だって、さっきの雑魚ウサギがレベル9999だったのよ!? つまりこの世界、『全員が最高レベル』っていうことじゃない!!」


そう、女神の言った「レベル9999が普通」という言葉の真意。 それは、「そこが天井で、誰もそれ以上強くなれない」という地獄の煮凝り状態を指していたのです。


「……絶望的ですわ。 レベル1億を目指してタナカさんを驚かせるはずが、 あと数時間、そこらへんの草でも毟っていれば、 その辺のモブ住民と同じ強さで頭打ちになるなんて……」


リナ様が、その場に膝から崩れ落ちました。


アイリス様も、白目を剥いて空を仰ぎます。


「嫌よ……そんなの最強じゃない……。 みんなと同じレベルなんて、ただの『個性のない有象無象』じゃないの!! タナカを……タナカを独り占めする圧倒的な差が、つけられないじゃない!!」


二人は、かつてないほどの「スンッ」を超えた「絶望」に染まりました。 最強を目指してキャラ崩壊までしたのに、 その先にあるのが「みんな横並び」という残酷な現実。


(……お二人とも、元気を出してください。 レベルが同じでも、中身(技術)の差は出るはず……ですよ?)


しかし、限界突破を信じて疑わなかった姉妹にとって、 「上限がある」という事実は、死よりも辛い宣告でした。


「……お姉様。もう、寝ましょう。 世界一になれない世界なんて、生きている意味がありませんわ」


「ええ、リナ。明日になったら、女神を殴りに行って、 レベルの桁をもう8桁ほど増やさせてやりましょう……」


二人は廃人のような目で、トボトボと宿屋へ向かいました。 修羅の世界での冒険は、開始数時間で「モチベーションの死」という最大の危機を迎えたのです。



あとがき

世界の管理者 女神ルミナ

あ、バレちゃいました? 管理者のルミナです。


そうなんです、この世界、実は数百年前に インフレしすぎてサーバーがパンクしかけたので、 「レベル9999」でカンストするようにロックをかけちゃったんですよね。


まあ、みんな同じ強さなら平和でいいじゃないですか。 え? アイリスさんたちが「個性が死ぬ」って泣いてる?


贅沢言わないでください。 レベル1から5000まで数分で上げたこと自体が、運営(私)からすれば 「チート通報案件」なんですから。


でも、彼女たちがどうやって「衝撃吸収」という 隠しデバッグ機能を自分の才能だと勘違いしたまま このカンストの壁をぶち破るのか……。


ちょっとだけ、楽しみにしていますね。 (まあ、無理だと思いますけど。ふふふ)

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