第三十六話:閑話休題 リナ、魔眼の進化! 予知を超えた「絶対予見」
第一節 大陸の強敵と満たされない探求心
騎士学園を休学して旅に出たリナ・ライトは、団長アトラスを破った力、「光の魔眼(未来予知)」を武器に、大陸各地の無法地帯や、隠された強者の噂を追っていた。
彼女は多くの強敵と戦ったが、そのほとんどは、彼女の魔眼が示す「未来の軌跡」によって簡単に回避・迎撃されてしまい、勝利の後にはいつも「つまらない」という虚無感が残った。
(団長様を倒しちゃったから、私の力に満足できる相手がいない…!このままじゃ、団長様の『絶対的な制御』を超えるヒントなんて見つからないわ!)
その時、リナは、古びた遺跡の奥で、自身の流派を極めた老いた暗殺者と遭遇した。暗殺者は、魔力制御の達人であり、自身の動きから発生する「魔力のノイズ」を、完全に消し去る術を会得していた。
第二節 予測不能の死闘
暗殺者は、リナの「光の魔眼」を警戒し、一切の魔力放出を伴わない、純粋な体術と殺気のみでリナに襲いかかった。
リナの魔眼は、初めて混乱した。
(嘘…!見えない!?彼の動きからは、未来の軌跡を示す魔力のノイズが一切出ていない!私の魔眼が、ただの肉体の動きを予測することはできない…!)
リナは、騎士団長アトラスがそうであったように、魔力制御が完璧すぎて予測不能な相手との死闘を強いられた。彼女は、持ち前の「最適解の基礎」と、瞬時の判断力だけで対応するが、暗殺者の攻撃は一撃必殺の精度を持ち、リナの身体に初めて傷を負わせた。
リナは、血を流しながらも、久々の「命の危険」と「刺激」に、興奮で瞳を輝かせた。
リナ:「最高よ!田中さんのサポートなしで、ここまで私を追い詰めるなんて!」
第三節 魔眼の進化と「絶対予見」
リナは、勝利のために、覚醒した魔眼の限界を超えた領域へと踏み込もうとした。
(魔力が見えないなら、魔力の流れの原因である、肉体の極微な変化を視るしかない!)
リナは、光の魔眼を、肉体の振動、心臓の鼓動、筋肉の収縮など、生命活動の極微な魔力の揺らぎを読み取るために、無理やり集中させた。
バチバチッ!
リナの瞳の光が、さらに強く、鋭く光った。彼女の魔眼は、魔力的なノイズだけでなく、生命的な予兆、肉体の次の一手の決定、さらには暗殺者の思考の微細な流れまでを読み取り始めた。
それは、単なる未来予知を超えた、「絶対予見」への進化だった。
暗殺者の「次の一手の決定」が、彼の心臓の鼓動の一瞬の魔力的な揺らぎとして、リナの視界に示された。
第四節 更なる高みへ
リナは、暗殺者が次に放つ致命の一撃が、彼自身の呼吸の予兆として視えた。彼女は、暗殺者の攻撃が発動する直前に、カウンターを叩き込んだ。
ガキン!
暗殺者は、初めて自分の攻撃が破られたことに驚愕した。彼は、リナの背後にある魂の深淵に、騎士団長アトラスすら持たない、予測の絶対性を感じた。
暗殺者:「馬鹿な…!お前は、私の『意志』まで読んだのか!?」
リナは、暗殺者を戦闘不能にし、勝利した。しかし、彼女の顔には、もう以前のような「つまらない」という表情はなかった。
リナ:「ありがとう、おじいさん。私は、団長様の『絶対的な制御』を超えるには、『絶対的な予見』が必要だと分かったわ。旅は、まだまだ続きそうね!」
リナは、更なる高みへの手応えを感じ、世界各地の「隠れた強者」を求めて、再び大陸の奥地へと進むのだった。
私は、魔力制御を極め、自身の殺気を完全に消し去った暗殺者だ。この大陸で、私の攻撃を予知して回避できた者は一人もいなかった。だが、あの小娘――リナ・ライトには、完全に敗北した。
彼女の瞳は、単なる未来予知ではない。私の魔力的なノイズを全て消し去っても、彼女は私の肉体の動きの予兆、さらには『次の一手を打とうとする私の意志』まで、魔力的な揺らぎとして読み取った。
あれは、「絶対予見」というべき力だ。彼女の才能は、王都の騎士団長アトラスの『絶対的な制御』と、対をなす『絶対的な予測』の領域にある。
彼女は、自分を倒したことに満足することなく、「ありがとう」と言い残しまた次の戦場へと向かっていった。
王都は、とんでもない怪物級の才能を、野に放ってしまった。あの小娘が、どれほどの力を手に入れて王都に戻るのか、想像するだけでも恐ろしい。私は、静かに彼女の旅の行方を見守ることにする。




