第三十三話:閑話休題 リナの旅路! 天啓の天才、大陸を行く
第一節 港町での遭遇と「魔眼」の試し
王都を出て数週間、リナ・ライトは大陸東端の活気ある港町にいた。彼女は騎士学園の制服ではなく、動きやすいシンプルな旅装に身を包んでいる。
リナは、「私を本気にさせる強い相手」を求め、刺激的な場所を探していた。
(団長様を超えるには、もっと『絶対的な制御』を身につけなきゃ。そのヒントは、この王都の外にあるはず!)
その夜、リナは港町の裏通りで、地元の賞金稼ぎグループに遭遇した。彼らは、リナが身につけていた騎士学園のエンブレムを侮辱し、絡んできた。
賞金稼ぎリーダー:「小娘。王都の騎士団なんぞ、この外の世界では通用しねえんだよ」
リナは、笑みを浮かべた。タナカの遠隔サポートはない。頼れるのは、覚醒した彼女自身の力だけだ。
リナ:「ふふ、ちょうどいいわ。あなたの強さ、試させてもらうわね」
第二節 サポートなき「最適解」の実行
模擬戦ではない、真剣勝負が始まった。リナは、リーダーの放つ強力な体術を、「光の魔眼」で完璧に予測した。
リナの視界には、リーダーの筋肉の動きと魔力の流れから予測される、未来の攻撃軌跡が光の線として浮かび上がっていた。
リナは、その軌跡を避けつつ、リーダーの最も無防備な隙に、最小限の力でカウンターを叩き込む。その動きは、騎士団長アトラス戦で見せた**「絶対的な制御」**の片鱗を、さらに研ぎ澄ませたものだった。
リーダー:「馬鹿な!なぜ、俺の攻撃が当たらない!?」
リナ:「あなたの動きは、私には止まって見えるわ」
タナカの調整によって作られた「最適解の基礎」と、リナ自身の「未来予知」が融合し、彼女は、戦術的に完璧な動きを、疲れることなく実行し続けた。彼女の力は、もはや「制御された天才」ではなく、「自立した戦術家」へと昇華していた。
第三節 新たな刺激と強敵の予感
リナは、一切の無駄な動きなく、賞金稼ぎたちを次々と打ち負かした。リーダーは、自身の全力を尽くしたが、リナの身体に触れることすらできなかった。
リーダーは敗北を認め、リナの規格外の強さに戦慄した。「貴様…本当に王都の騎士学園の生徒なのか?まるで、戦場を生き抜いた戦術の悪魔のようだ」
リナは、勝利したにもかかわらず、再びつまらなさそうな表情を浮かべた。
リナ:「ふう。もっと刺激的な強敵はいないの?」
リーダー:「チッ…この大陸には、お前のような才能の化け物を求めて、裏の世界を生きる『隠れた強者』がいくらでもいる。お前の強さは、彼らの最高の獲物になるだろう」
リーダーの言葉に、リナの虚ろだった瞳に、久々に探求心と興奮の光が宿った。
リナ:「そう!そういう刺激を求めていたのよ!ありがとう、おじさん!」
第四節 旅は続く
リナは、騎士学園の生徒でありながら、大陸を股にかけ、「刺激」と「団長を超える力」を求めて旅を続けている。彼女の覚醒した才能は、騎士団の誰のサポートも必要としない、独自の強さを確立していた。
一方、王都では、姉アイリスとタナカ、そしてレオンハルト、アメリア、アルフという、秘密の協力者たちが、彼女の帰還を待つための布陣を固めつつある。リナの旅は、王都の物語と、どのような形で再び交錯するのだろうか。
勘弁してくれ。俺は港町を仕切る賞金稼ぎのリーダーだ。
王都の騎士学園の小娘に、俺のグループが全滅させられた。いや、全滅という表現すら生温い。俺たちは、彼女の身体に指一本触れることすらできなかった。
彼女の剣術や体術は、一見すると地味だが、俺の攻撃が放たれるコンマ数秒前の隙を、正確に予測して回避してくるんだ。まるで、彼女の目が、俺たちの未来の動きをすべて見透かしているようだった。
あれは、単なる「天啓」なんかじゃない。極限まで洗練された、戦術的な才能だ。そして、彼女の敗北した後の顔を見て、ゾッとした。俺たちを叩きのめしても、全く面白くなさそうな、飢えた表情をしていた。
彼女は、この大陸の裏社会にいる、真の『化け物』たちを求めるために旅に出たんだろう。
あの小娘が、もし騎士団に戻る前に、裏社会の連中を全て敵に回したら、大陸の秩序は簡単に崩壊するだろう。王都の騎士団は、あんな怪物を手放して、一体何を考えているんだか…。
俺はもう二度と、彼女と関わりたくないね。




