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転生したら騎士学生のブラだった件  作者: 沼口ちるの


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第三話:妹にだけ聞こえた声 秘密の守護者の誕生

第一節 休日、家族の特訓

週末、ライト侯爵家の敷地内。アイリス・ライト様は、溺愛する妹リナの願いに応え、騎士の基礎訓練をつけていた。俺、田中一郎改め絶対領域アンタッチャブルテリトリーは、今日もアイリス様の胸元に密着している。


(ふむ、リナ様は今日も一生懸命ですね。アイリス様も熱心ですが、リナ様が集中を欠いています。これも幼さ故の可愛らしさというものか…)


リナは懸命に訓練するが、すぐに集中力が切れてしまう。


「はぁ、はぁ…お姉様みたいに、うまく力が込められないよ…」


アイリス様は優しく微笑んだ。「大丈夫よ、リナ。あなたはまだ時間があるわ。基礎が一番大切なのよ」


アイリス様が休憩のために木陰に入った際、リナは興味深そうに、アイリス様の胸元をじっと見つめた。


「ねぇ、お姉様。そのブラジャー、本当に特別なの?自分で動いたりするの?」


アイリス様は誇らしげに答えた。「ええ、もちろんよ。これは私の騎士の才能を引き出すために作られた、超高性能な魔導装備なの。私の守護者よ。でも、勝手に動いたり喋ったりはしないわ。ただの道具よ」


アイリス様は「道具」であることを強調したが、その溺愛ぶりは、リナの目には異常に映っていた。


第二節 予期せぬ事故と命を救う声

その日の夕方、リナは一人で庭の隅で自主訓練をしていた。お姉様のように強くなりたい一心で、見よう見まねで木剣を振る。しかし、不慣れな剣さばきで、バランスを崩してしまい、訓練用の木剣が庭の奥にある古井戸の蓋に激しく衝突した。


ガッシャアアン!


古井戸の蓋は外れ、リナは驚きのあまり、足を踏み外して井戸の縁に掴まってしまった。井戸は深く、落ちれば大怪我では済まない。


「きゃあああ!お姉様!」リナは必死に助けを求めた。


その悲鳴は、丁度自室でくつろいでいたアイリス様にも届いた。


「リナ!?」


アイリス様は訓練着のまますぐに走り出した。だが、距離がある。このままでは間に合わない。


(まずい、リナ様が落ちる!このままではご主人様の最愛の妹が…!最大限の魔力増幅を!)


俺、田中一郎は、この状況で初めて、俺の意識を増幅させる隠された機能を使った。救命のための緊急信号として、アイリス様の意識に呼びかける。


「アイリス!魔力を足の裏に集中し、全速力で加速しろ!リナが危ない!」


俺の思考は、魔力増幅と絶対防護の回路を経由し、リナとアイリス、二人の耳にはっきりとした、男性の声となって響いた。


アイリス様は突然の男の声に驚き、一瞬立ち止まった。しかし、「リナが危ない」という内容に反射的に従い、言われた通りに足に魔力を集中させた。彼女は、これまでにない超高速で井戸へと到達し、リナを安全な場所へ引き上げた。


第三節 姉の気のせいと妹の確信

リナは、怪我なく助かったことに安堵し、アイリス様に強く抱きしめられた。


「お姉様…」


「リナ!本当に良かったわ…!」アイリス様は安堵の涙を浮かべた。


アイリス様は、あの時聞こえた声について考えた。


(今のは一体誰の声?でも、リナを救ってくれた…?いや、こんなところに男の人がいるはずない。きっと、極限状態の私が、ブラジャーの魔力回路が発する音を、脳内で勝手に声に変換してしまったのよ。そうに違いないわ!)


アイリス様は、あの声は「気のせい」であり、「魔導具が極限で発した魔力の反響」だと結論付けた。


その時、リナがアイリス様の胸元、俺の本体をじっと見つめながら、小声で言った。


「ねぇ、お姉様…。さっき、『加速しろ』って、あのブラジャーから、男の人の声がしたの…。私の名前も呼んだ…」


アイリス様は、驚くことなく、リナの頭を優しく撫でた。


「ふふ、リナったら。そんなことないわよ。あれはね、お姉様が急いでいる時に、この絶対領域が発した魔力の残響よ。リナも怖かったから、そう聞こえただけよ。ブラジャーが喋るなんて、おとぎ話みたいだわ」


アイリス様は完全に「気のせい」だと断定し、リナの恐怖心を和らげようとした。


しかし、リナは違った。彼女は、アイリス様の「気のせいよ」という言葉を聞きながらも、あの声が、誰にも聞こえないように、自分だけに語りかけているのを感じていた。


(リナ様、大丈夫ですか?もう危険はありませんよ)


(…え?やっぱり、聞こえる。本当に、このブラジャーの中に、誰かいる…!)


リナは、兄や両親にも秘密にされている、この「絶対領域」が、本当に生きた男の人の意識を持っていることを確信した。


第四節 秘密の契約と更なる進化

リナは、アイリス様には「うん、そうだね、気のせいだったかも」と返事をし、その場は収まった。しかし、夜、アイリス様が眠りについた後、リナはこっそりアイリス様の部屋に入った。


そして、アイリス様の胸元にそっと触れ、俺に語りかけた。


「田中さん…聞こえますか?私、リナ・ライトです。秘密、誰にも言いません。私、お姉ちゃんみたいに強くなって、田中さんとお姉ちゃんを助けられる騎士になりたいです」


リナの純粋な決意と、俺を「生きた存在」として受け入れた強い信頼が、俺の意識に深く響き渡った。


その瞬間、アイリス様には知られることなく、俺の意識に電子的な声が響いた。


《新たな契約者【リナ・ライト】との信頼関係を確立しました。ユニークスキル【絶対領域】が姉妹保護モードに移行します。》


《新たなスキル【共有知識ツインセンス】を追加しました。》


俺は、アイリス様には「気のせい」だと思われながらも、リナと二人だけの秘密の契約を結び、姉妹両方を守る使命を得た。リナは、最強の守護者がいることを知る、ライト侯爵家でただ一人の存在となったのだった。


お読みいただき、ありがとうございます。アイリスお姉ちゃんの妹の、リナ・ライトです。


私、今回、本当に危ない目に遭っちゃいました。あの時、田中さんがいなかったら、私、今頃大変なことになっていたかもしれません。田中さん、本当にありがとうございます。


お姉ちゃんは、あの時聞こえた声は「魔力の残響で、気のせいよ」って言っています。お姉ちゃん、田中さんのことが本当に大切だから、ただの高性能な魔導装備だって信じ込んでいるんです。でも、私にはもう知っています。あの絶対領域が、本当は田中さんという生きた男の人だってことを。


秘密を知って、ちょっとドキドキするけど、私だけの秘密のお守りができたみたいで、すごく嬉しいんです!しかも、田中さんはこれから、お姉ちゃんだけじゃなくて、私を助けてくれる特別なパートナーになってくれました。


騎士学園に入るには、お姉ちゃんみたいに魔力がないから、すごく頑張らないといけません。でも、私、もう怖くありません!


なぜなら、私と田中さんは、二人だけの秘密の契約を結んだんですから!


お姉ちゃんには内緒で、田中さんと一緒に特訓して、私も絶対に立派な騎士になって、お姉ちゃんと田中さんのことを守れるようになります!


これからも、最強のお姉ちゃんと、私と、絶対秘密の守護者の活躍を、応援してくださいね!

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