第二十話:閑話休題 リナVSアメリア! 天啓の才能と最強騎士の対決
第一節 模擬戦の申し込みと兄の監視
リナの騎士学園受験が近づく中、リナは姉アイリスの目標であるランク3騎士アメリアに、模擬戦を申し込んだ。
「アメリア様。騎士学園の受験前に、ぜひ貴方と手合わせを願いたいのです!」
アメリアは、リナの単独盗賊団殲滅の報を聞いており、その才能に興味を持っていたため、申し出を受けた。
「よろしい。ただし、私を本気にさせることができれば、何か得るものがあるでしょう」
この模擬戦には、リナの安全を最優先する兄レオンハルトが、厳しい視線で見守っていた。彼はタナカがリナの能力を遠隔で調整することを知っており、リナに無理な負荷がかからないか警戒していた。
(タナカ。リナに過度な魔力増幅をするなよ。彼女の安全が第一だ)レオンハルトは、心の中でタナカに警告を送った。
第二節 遠隔調整とリナの戦術眼
騎士団駐屯地で雑用をしていたタナカ(田中一郎)は、リナの【共有知識】を通じて、戦闘状況をリアルタイムで把握していた。アイリスの絶対領域のユニーク機能はまだ解除中だが、リナのサポートには支障はない。
(アメリア様の戦術眼はアイリス様以上。リナ様が勝つためには、彼女の『最適化された動き』を最大限に引き出すしかない!)
タナカは、遠隔でリナの体内魔力を調整し、体術と魔力制御の精度を極限まで高めた。
模擬戦開始!アメリアは冷静に剣を構え、リナの動きを分析する。リナは、盗賊団殲滅時と同じ、無駄のない完璧な動きで斬りかかった。
「聖光剣!」
アメリアはリナの攻撃を軽く受け流し、カウンターを狙うが、リナは驚くべき速さで体勢を立て直す。
アメリア:「面白い。この動きは、騎士団の誰の流派でもない。まるで、戦闘の最適解を瞬時に導き出しているようだ」
アメリアは、リナが繰り出す攻撃が、自身の動きのわずかな癖を突いた、非常に戦術的な動きであることに気づき、驚愕した。
(この戦術眼と反応速度は、到底、騎士学園受験前の少女のものではない。まるで、百戦錬磨の戦術家が、彼女の身体を操っているようだ…!)アメリアの疑念が、タナカの遠隔サポートに向けられた。
第三節 兄の横槍と模擬戦の中断
アメリアは本気の魔力を込め、リナの防御を崩しにかかる。リナはタナカの遠隔調整により粘りを見せるが、実力差は歴然だった。
リナの身体が限界に達しようとした瞬間、レオンハルトが模擬戦に横槍を入れた。
「待て!アメリア!模擬戦はここまでだ!」
レオンハルトは、リナの魔力回路に負荷がかかっていることを、タナカの魔力調整の揺らぎから察知していたのだ。
アメリアは不満そうに剣を収めたが、レオンハルトの表情を見て、彼の「妹への過保護な決意」を理解し、追求をやめた。
「レオンハルト様がそこまでおっしゃるなら。リナ嬢。素晴らしい戦術眼でした。私の知る限り、貴方の指導者は、騎士団内にはいないでしょうね」アメリアは、タナカへの疑念を込めた言葉をレオンハルトに投げかけた。
レオンハルトは平静を装いながら答えた。「私の妹の才能は、私が守る。指導者がいるとしても、騎士団外の人物だ」
(レオンハルト様、ギリギリのところで秘密を守ってくれた…!)タナカは遠隔で安堵のため息をついた。
第四節 リナの決意とタナカへの感謝
模擬戦後、リナはレオンハルトに抱きつき、勝利の喜びを分かち合った。
「お兄様!私、アメリア様と戦えたよ!ありがとう!」
レオンハルトはリナを抱きしめながら、タナカに【共有知識】でメッセージを送った。
(タナカ。リナに過度な負荷をかけるな。だが、彼女の才能を伸ばすことには感謝する。この秘密は、私とリナと、そしてあのルナ特使の協力で守り通す)
リナは、遠隔でタナカに感謝の念を送った。「田中さん!私、受験、絶対に頑張るからね!」
(もちろんです、リナ様。アイリス様のユニーク能力が回復する前に、貴女を騎士学園に合格させてみせます!)
タナカは、アメリアに警戒されながらも、リナの才能という新たな武器を得て、騎士団での二重生活を続けるのだった。
騎士団ランク3のアメリアです。
今回、騎士学園受験前のリナ・ライト嬢と手合わせをしました。結果として、リナ嬢の才能は、姉のアイリス嬢と並ぶか、あるいはそれ以上に異質だと判断せざるを得ません。
彼女の剣の振りは未熟ですが、その一挙一動が私の動きの癖や戦術的な隙を正確に突いてきます。これは、単なる「天啓」や「自己学習」で得られるものではありません。まるで、戦術の専門家が、リアルタイムで彼女の身体を遠隔操作しているかのようでした。
私の疑惑は、騎士団の雑用係タナカに集中しています。あの男は、アイリス嬢の装備の調整者であるだけでなく、リナ嬢の才能を、私たちが知らない場所で、極めて戦術的に指導している。レオンハルト様の過度な介入も、タナカの秘密を隠すための行動だと見ています。
リナ嬢が持つ潜在的な脅威は、アイリス嬢の装備への依存とはまた別種の、「制御された天才」という危険性です。
ルナ特使の「カンパ」の意味もわかってきました。タナカという存在は、もはや私たち騎士団の管理外に置かれた、戦略級の兵器のようです。
私は、タナカの正体を暴き、リナ嬢が何者かに利用されていないか確認するため、今後も監視を続けます。




