第十一話:秘密の追及! 騎士団に詰められるタナカ
第一節 団長室の追及と三人の猛者
騎士団ランキング戦後、騎士団長アトラスはタナカ(田中一郎)への警戒をさらに強めていた。アトラスは、アイリスの異常な強さの裏に、タナカという不審な存在がいることを確信していた。
ある日、タナカは団長室に呼び出された。室内には騎士団長アトラス、ランキング戦の猛者ガウェイン、そしてアイリスとリナの兄であるレオンハルトが、厳しい表情で待ち構えていた。
レオンハルトが口火を切った。「タナカ。貴様は我が妹リナと接触し、アイリスの魔導装備に関わる不審な行動を取っている。言い逃れはさせん」
アトラス団長が静かに問うた。「貴様はアイリス嬢の『絶対領域』の調整者だと言ったな。なぜ、貴様が出現してから装備の性能がわずかに低下している?」
ガウェインが前に出た。「そして、貴様から感じる魔力は、非常に古い形式の魔力核を思わせる。アイリス嬢の装備は古代魔導具に近い。貴様の真の目的は、その装備の核の強奪ではないのか?」
(最悪だ。騎士団のトップ二人と、妹への愛情が異常に強いレオンハルトまで揃っているとは!三人の猛者に囲まれ、ブラジャーの意識だなんて絶対にバレてはいけない!)
第二節 レオンハルトの怒りと緊急連携
タナカは三人の鋭い追及に、冷や汗を流しながらも冷静に対応しようと努めた。
「皆様の疑念は理解できますが、私はただの調整者。アイリス様の安全と装備の調整以外に興味はございません」
タナカが頑なに口を閉ざすと、レオンハルトは感情を露わにした。「黙れ!私の大切な妹たちに近づく貴様の魂胆を吐け!さもなければ、この場で叩き斬る!」
レオンハルトは剣に手をかけ、緊張感が最高潮に達した。アトラス団長は、タナカが本当に無害か証明させるため、最終通告をした。
「貴様が本当に無害なら証明しろ。貴様の身体から、その異質な魔力核を分離してみせろ」
その瞬間、遠く侯爵家の自室にいたリナに、タナカの窮地が【共有知識】を通じて緊急信号として届いた。
(リナ様!助けて!アイリス様のお兄様までいて、俺の秘密がバレそうになっている!)
リナは、兄の怒りの魔力を感じ取り、事態の深刻さを悟った。愛する姉の守護者を守るため、即座に「遠隔調整」の魔力波を練り上げた。
第三節 魔力波の偽装と追及の中断
騎士団の団長室。アトナスの通告直後、外部から強力な魔力波が室内に流れ込んできた。それは、リナが放った、純粋で強力な光の魔力波だった。
アトラス、ガウェイン、レオンハルトの三人は、突然の外部からの強力な魔力波に驚愕した。
「なんだこの魔力は!?非常に純粋で強力…!まるで、絶対領域が遠隔で調整されているような…!」ガウェインが声を上げた。
その魔力波がタナカの身体を通過した瞬間、タナカは一世一代の演技を始めた。
「ハッ!これは、私の調整プログラムの発動です!貴方方が私を拘束したことで、外部にいる調整師が遠隔で起動してしまいました!このままでは、アイリス様の絶対領域の魔力核が暴走します!」
タナカの切迫した演技と、リナが放った本物の強力な魔力波に、三人の猛者は顔色を変えた。特に妹想いのレオンハルトは、妹の危険に思考が停止した。
「やめろ!レオンハルト、ガウェイン、手を引け!アイリス嬢の装備が暴走したら、王都全体が危険に晒されるぞ!」アトラスはすぐに尋問を中止し、タナカから距離を取った。
第四節 秘密の勝利と二重の監視
騎士団長とガウェイン、そしてレオンハルトは、タナカの「遠隔調整」という言い訳を信じざるを得なかった。アイリスの最強装備の裏には、自分たちが手出しできないほどの強力な魔導師がいると誤認したのだ。
「…タナカ。今回の件は不問に付す。だが、私と兄レオンハルト、そして騎士団の監視下で雑務に専念しろ」アトラス団長は、悔しそうに言い放った。
尋問を乗り切ったタナカは、すぐにリナに感謝の念を送った。
(リナ様!三人の猛者を相手に完璧でした!本当に、あなたの才能に救われました!)
(ふふ、田中さん、よかった。でも、お兄様たち、めちゃくちゃ怖かったよ…)
タナカは、騎士団の追及という最大の危機を乗り越え、騎士団の雑用係として働きながら、リナとの秘密の連携をさらに強固にし、二重生活を続けるのだった。アイリス様は、タナカが騎士団に詰められた事実には気づかず、今日もタンスの中のブラジャーを信じて任務に励んでいる。
あのタナカという男、やはり並大抵の存在ではない。騎士団長アトラス、ライト侯爵の長男であるレオンハルト、そして私の三人で尋問に臨んだにも関わらず、我々の魔力探知を欺き、逃げ切った。騎士団ランク2、ガウェインだ。
レオンハルトは、妹アイリス嬢の装備の危険性を信じ込み、尋問を中断せざるを得なかった。アイリス嬢の騎士団への貢献を考えれば、団長の判断も理解できる。
だが、私は確信している。尋問中に発生したあの強力な光の魔力波は、タナカという男が生きた魔導具であることを証明する偽装工作だ。アイリス嬢の装備の性能低下、そしてタナカが近くにいる時の安定。全てが、彼がアイリス嬢のブラジャー型魔導具の核であるという、常識外れの結論を指し示している。
三人の追及を振り切ったタナカは、さらに危険な存在となった。私はアイリス嬢の才能を心から評価している。だからこそ、彼女の未来を脅かすこのタナカを、絶対に放置できない。
団長の監視の目を欺き、私自身の手で、タナカの正体を暴き、アイリス嬢の安全を確保する。
アイリス嬢の騎士としての未来と、ライト家の安寧のため、この戦いは終わらない。




