第二話 どうも、病気ではないような・・・
定年間近サラリーマンの俺に、連絡してくる会社があらわれた。
その相手側と近くの喫茶店で話すと・・・
それからまた数ヶ月後。
俺宛てに不思議なメールが来た。
# **様、お初にメールを差し上げます。
さて、今回、**様にメールを差し上げた理由ですが、**様の脳内マップと、視覚に妙なものが映るという現象に、我々が興味を抱いたためです。
ついては、こちらもメールだけではなく、直接の顔合わせを行い、詳しいことをお聞きしたいので、ご都合の良い日時をお教えいただけませんでしょうか。
そちらのご都合を、精一杯優先させていただきますので、どうか、こちらとお会いできませんか?
お仕事に繋がる未来もありえますので、どうかご一考をお願いいたします。
以上、メールの内容である。
悩む。
今の仕事は、どちらにせよ数ヶ月後には定年退職が決定している(重役なら退職も自分で決められるんだろうが俺は平社員。ゆえに定年は決定事項)
定年退職しても、次に働く職場など全然決めてない。
あと、この症状?現象?があるため会社員として普通に働くのは無理だろうなと自分でも思っている。
数日悩んだが俺はリプライメールを返す。
# メール、ありがとうございます。
そちらの意図や私に興味を持つ理由とかも知りたいので、このメールに添付しますデータの日付・時間と場所で良ければ、お会いしてお話を聞こうと思います。
というのが返信。
すぐにリプライが返ってきて、それで決定するので、ぜひともお会いしたいです、と。
数日後、俺はメールを送ってきた相手側(2名)と近くの喫茶店で相対していた。
「お会いしたかったです、**さん。詳細は後から説明しますが、ぜひとも我々の会社に入社いただきたい!」
最初の一言が、これである。
ビックリして俺は二の句が告げない。
しばらく互いに無言の時間が続く。
衝撃から立ち直った俺が、ようやく口を開く。
「す、すいません、あまりのことに何も考えられなくなってしまいまして……」
俺、まだ思考が元に戻ってない。
もうしばらく無言の時間が続き、ようやく頭が働き出した俺。
「ぜひともとお誘いいただくのは誠に嬉しいのですが、どうも私の視覚に異様なものが映るという状況が、そちらの会社で有効なスキルとして使えると言うことを暗に言っていると思うのですが。いかがでしょうか?この視覚異常の状況が、どうして御社に有効なのか、どうしても理解できかねます」
もうこの際だと、直接的に質問をぶつける。
二人のうち、少々、背の低い方の男が答える。
「**さん、かなり頭が切れる方のようですな。よろしい、あなたに期待と言うか、就いて欲しい役職があるんです。それは、今あなたに起きている視覚異常に見える状況が、異常ではない、あなたに与えられた天からの贈り物、素晴らしいギフトだと我々は確信しているからです。まあ、こんな場所で詳細を語ることは、セキュリティの面でも、そして、時間もないので無理なんですが。**さん、ご興味をひかれたなら、ぜひとも、一度我社、名称は++研究所と言いますが、そちらへお越しいただいて、あなたの身体と精神に起きている現象を説明させていただきたいと思います。どうでしょうか?あなたの貴重な時間をいただくので、ご都合の良い日時でけっこうです」
と言いつつ、最初にお渡しするべきでした、すいません、と言いながら、相手は名刺を差し出してきた。
株式会社 &&薬品工業
++研究所 主任研究員 &&田%郎
大手の製薬会社の主任研究員とはね。
またすごいところから、リクルート勧誘が来たもんだ。
俺は数日後、都合の良い日時を相手にメールする。
それが、俺の未来を決定的に変えることになるとは、神ではない俺にわかろうはずもなかった。




