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モノローグ
高校生活って、何を楽しみにすればいいんだろう。
小説や漫画の中の眩しい青春は、どれも自分には縁がないものに思えた。進学実績がすべてというこの進学校で、僕が望むのは最低限の人間関係と、退屈な日々の繰り返しだけ。
かつて、僕は誰よりも身勝手だった。そしてその代償に、一番大切なものを失った。
だから、もう何も本気でやらないと決めた。その方が、自分が傷つかずに済むから。
入学してから一学期が過ぎるのは一瞬だった。
つまらない夏期講習と宿題をこなせば夏休みは長すぎる無意味な時間だった。
二学期に入っても部活動が決まらない生徒は、全員個別面談を受けるというこの学校の悪しき伝統。
やる気のない僕のような人間は、直接教頭先生が対応してくれるそうだ。
「どうだ、経済同好会に入ってみないか」
真面目に活動するつもりもない。どうせ腰掛けだ。軽い気持ちで「はい」と即答した。
それが、僕の人生に大きな影響を与える、第一歩だった。