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蜘蛛の教会 - The Web Doctrine –

作者:智有 英土
静かに、都市が変わり始めた――。
最初は、誰も気づかなかった。
人々の歩幅が揃い、会話が減り、咳払いのタイミングさえ一致していく。
都市はどこか祈りの空気に満ちていた。
ある日、東京の空に現れたのは、目に見えない蜘蛛の網。
それは構造体として都市を包み、人間の思考と行動を静かに「結線」していく。
この網に触れた者は、次第に自我を失い、沈黙と秩序の中で生きるようになる。
それは暴力でも強制でもない。
ただ、同じ姿勢で祈るという形式の中で、人間は静かに壊れていく。
高校生・秋山廉は、唯一その変化に抗う視点を持っていた。
彼は、かつて「言葉で繋がっていた」友人・ナツミが祈りの器と化していく様を目の当たりにする。
都市は次第にひとつの教会と化していく。
建築、インフラ、通信、制度――すべてが祈りのために設計されていく。
その根底にあるのは、「蜘蛛」と呼ばれる超構造存在。
彼らは個を否定し、均整を愛し、無音を信仰する。
都市の中心で、ナツミは完全なる祈りの核として捧げられようとしていた。
廉は叫ぶ。「声のない祈りじゃ、何も変えられない」と。
その叫びは構造にひびを入れ、人々の静寂に微かなズレをもたらす。
だが、祈りは終わらない。
蜘蛛は敗れていない。
都市の片隅で、銀色の糸は今も張り巡らされている。
静寂の美しさに、あなたは抵抗できるか。
構造化された祈りが、この都市の未来かもしれないのだから――。
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