交流試合
休日、真司と友人のコウキは、ゲームセンターでゲームを楽しんでいた。
「最近、どうよ?」
「まぁ、いつも通りだな」
真司とコウキは、他愛ない会話を交わす。二人は、清栄学院では弱小能力者であり、日々の訓練に励みながらも、なかなか成果が出ずにいる。
「そういえば、明日、対校戦があるんだ」
コウキが、真司に告げる。
「対校戦?相手は?」
真司が尋ねる。
「同じ都内の花園高校らしい」
「花園高校か…まぁ、俺たちは参加しないけどな」
真司は、自虐的に笑った。
二人でゲームを楽しんでいると、見慣れた姿が目に入った。沙羅だ。彼女は、フードを被り、一人でゲームセンターにいた。
「おい、沙羅だぜ」
コウキが、沙羅に気づき、真司に小声で言う
「近寄るのはやめようぜ…」
コウキは、沙羅にビビっているようだった。
「沙羅さん?」
真司が、沙羅に声をかける。沙羅は、真司に気づくと、恥ずかしそうにフードを被り直した。
「真司くん、こんにちは」
沙羅は、少しだけ微笑んだ。
「沙羅さん、一人?何か欲しいものでもあるの?」
真司が、沙羅に尋ねる。
「ええ、UFOキャッチャーで欲しいぬいぐるみがあって…」
沙羅は、少し照れくさそうに答えた。
「それなら、コウキが得意だぜ」
真司が、コウキを促す。コウキは、沙羅にビビりながらも、UFOキャッチャーの前に立った。何度か挑戦すると、見事にぬいぐるみをゲットした。
「はい、沙羅さん」
コウキは、顔を赤らめながら、沙羅にぬいぐるみを渡す。
「ありがとう」
沙羅は、嬉しそうにお礼を言った。その表情は、真司たちが今まで見たことのない、柔らかい笑顔だった。
真司が、沙羅を励ます。
「ええ、ありがとう」
沙羅は、少しだけ真司たちに対校試合の話をした。清栄学院は、対校試合に校内トップ5のメンバーを選出するという。そのトップ5とは、「生徒会」のメンバーである。
「花園高校も、優秀な能力者がいるの?」
真司が尋ねる。
「ええ、特にリーダーの能力は要注意よ」
沙羅は、少しだけ真司たちに花園高校の情報を与えてくれた。
その後も少しだけ3人でゲームセンターで楽しんだ。沙羅はその間ずっと笑顔を僕たちに見せてくれた。
ゲームセンターで過ごした時間は、真司とコウキにとって、特別なものとなった。学院では知ることのできない、沙羅の柔らかな一面を見ることができたからだ。
対校試合当日、真司たちは都内の試合会場に集まっていた。清栄学院の応援団もぞろぞろとやって来て、会場は熱気に包まれていた。
「沙羅さん、頑張ってくださいね」
真司が、沙羅に声をかける。沙羅は、少し緊張した面持ちで頷いた。真司とコウキは、沙羅と並んで試合の開始を待っていた。
試合のフィールドには、すでに両校のメンバーが並んでいる。清栄学院から出場するのは、もちろん「生徒会」の5人だ。しかし、よく見ると3人しかいない。
「どうしたんだ?」
真司が、コウキに尋ねる。
「生徒会長は欠席らしい。もう一人は、ドタキャンしたみたいだ」
コウキが、真司に耳打ちする。
「なんだって…」
真司は、驚きを隠せなかった。
一方、相手校である花園高校の選手たちは、清栄学院の選手が3人しかいないことに怒りをあらわにした。
「なめているのか!俺たちは5人いるぞ!」
「まぁ落ち着け、相手が3人に対して俺たちは5人。本当はお前たちの生徒会長さんとも戦いたかったんだがな。」
「まぁ敵前逃亡したなら仕方ない。この勝負、俺たちがもらった」
花園高校のリーダーである背の高い男、成龍という名の男が、味方を落ち着かせながら、高らかに勝利宣言をする
「ふん、少々手加減が必要ね」
生徒会メンバーのひとり、長身で巨乳の女子生徒、玲子が冷静に言い放つ。
「さぁ、試合を開始します」
審判の合図で、試合が開始した。
「まずは、僕が行きます」
生徒会メンバーのひとり、眼鏡をかけた男子生徒、秀樹が先手に出る。彼は、手を地面につけると、地面から植物が生えてきて周囲を覆った。
「ふふ、あなたの植物、うちに飾りたいわ」
玲子が、冗談めかして言う。
「小癪な目くらましなど通用しないぞ」
花園高校の選手が、植物を掻き分けるように打って出ると、彼の足元に植物が絡みついた。その隙を逃さず、生徒会メンバーのやんちゃな男、宗次が攻撃する。
「おらあああああああ!俺が一本貰うぜえええ!」
宗次は、特大威力のパンチを花園の選手にぶち込んだ。パンチを食らった選手は、肋骨が砕け散り、リタイア。宗次は、まるでボクサーのようにガッツポーズをする。
「はしたないわねぇ。もっと紳士的に振る舞いなさい」
玲子が、嫌味を言う。
「ちっ、うるさい女だな」
花園高校の選手が、玲子に襲い掛かる。
「その隙もらった!」
しかし、バリアが鋭い爪を防ぎきる。
「今のダメージ、お返しするわ」
玲子は、指を鳴らすと、バリアが爆発し、選手は体の一部が吹き飛んだ。彼はすぐさま担架で運ばれた。
「いきなり2人もリタイアか…」
真司は、茫然としていた。清栄学院の生徒会メンバー、強すぎる--特に沙羅は、後に生徒会と戦わなければならない。彼女は、真剣な面持ちで試合を観戦している。
「俺たちじゃ、かなわない…」
花園高校の選手が、足が震えている。
「恐れるな!俺たちが勝つ!」
成龍が、味方を叱りつける。成龍は、力を解放し、オーラに包まれる。
「必殺技を食らえ!」
成龍が、宗次に向かって突撃する。宗次は、怯むことなく応戦した。
「いいぞ、受けて立つぜ!」
宗次が、拳をチャージする。両者の拳がぶつかり合い、会場に粉塵が上がった。しばらくして視界が開けると、成龍は倒れ伏していた。
ぼろぼろの状態の成龍が、なんとか起き上がった。彼は、仲間の安否を確認しようと、周りを見渡す。
しかし、残りの仲間はすでに玲子と秀樹によって始末されていた。フィールドに残っているのは、成龍たった一人だ。
「負け…か…」
成龍は、まだ現実を受け入れられない様子だった。しかし、宗次は観客席に向かって雄たけびを上げた。
「清栄、圧勝!」
清栄学院の応援席から、歓声が上がる。
「まだだ…」
成龍は、諦めていなかった。宗次が背を見せた隙を狙って、攻撃を仕掛ける。しかし、その瞬間--。
「宗次くん、よそ見してたら危ないわよ」
後ろから、玲子の声がした。次の瞬間、成龍の頭上から巨大な鉄球が降りかかり、彼をぐしゃりと押しつぶした。
「これで、花園のメンバーは全滅ね」
玲子は、冷静に試合の終了を宣言した。試合時間は3分にも及ばなかった。
「圧勝…」
真司は、茫然としていた。後に聞いた話によると、花園高校の選手の一人は重傷を負い、車椅子生活を送ることになったという。リーダーだった成龍は、押しつぶされた状態から救助され、まだ意識が回復していないらしい。
「まさに、圧勝だった…」
コウキが、震える声でつぶやいた。
「生徒会、強すぎる…」
真司は、改めて「生徒会」の強さ、そして残酷さを目の当たりにした。沙羅は、後にこの生徒会と戦わなければならない。真司は、沙羅の挑戦がいかに過酷なものかを痛感していた。
「沙羅さん…大丈夫かな…」
真司は、不安げに沙羅を見つめた。沙羅は、真剣な面持ちで試合を振り返っている。彼女の表情からは、何を考えているのか読み取ることができなかった。
「沙羅さん…」
真司は、声をかけるべきか迷っていた。その時、沙羅が真司に気づき、小さく微笑んだ。
「真司くん、心配してくれてるの?」
沙羅は、優しい声で真司に問いかけた。
「え、あ、うん…」
真司は、少し戸惑いながらも、正直に答えた。
「ありがとう。でも、大丈夫。私、頑張るから」
沙羅は、真司に静かに微笑むと、その場を去っていった。
真司は、沙羅の背中を見送りながら、彼女の挑戦を応援したいと心に誓うのだった。




