三、
眠いよ。
暗く、広い世界。
自分が生きている感じがしない。
自分はどうなってしまったのだろうか?
「……なんなんだ、ここは………」
「ここは神の住む場所だよ」
「ッ!?」
後ろを振り向くと、そこに銀髪の青年が立っていた。
「どういう意味だ」
「あれれ〜?あのお方の残留思念から教えてもらってるでしょ、お前は選ばれたって?」
心底不思議そうに言ってくる。
「説明するとね〜、前の神は星を救う為に星と同化して消えたんだよ、でもさ、ホントはそんなことはしてはいけないんだよ、だって神の席を空けることになるし、世界の均衡が崩れてしまう。だから…自分の席に誰かを座らせることにしたんだよ」
つまり、後釜ってことか。
「で、俺は神になってここに居ないといけないのか?」
すると首を振る。
「いや、ただ普通に生活すればいいだけでここに来る必要なんてないんだよ、だって人の寿命は短いから無理だしね〜、神のまねなんて」
「だが…居ないとマズイんだろ?」
正直、内容が噛み合ってない気がする。
「あー、ごめん、僕は説明がへただから、分かりにくいと思うけどさ、簡単に言うと神がいることにするだけで、実際は神の力の一部を人に植え付けてダミーを作りだしただけなんだよ。これで力のバランスがとれるしね〜」
「だいたいわかったよ、だが…寿命とかどうなるんだ?」
不死身だったら凄く嬉しい。
「いや、普通だし、それに死んだら次の奴を探すことになってる」
うわぁ、こいつら適当だな。
「一つ聞きたいんだが、あの残留思念が言ってた《奴》って誰だ?」
「ああ、あれはもう終わったから気にしないでいいよ、だってもう死んでるから」
はっきり言って拍子抜けした。
今から敵と戦っていく展開だと思ってたから、なんか虚しい。
「だからさ、平和な人生を送って下さいな。それではさようなら〜」
「……さん」
「…ゆ…さ…」
「起きてください、こんなとこで寝ないでください!」
「……」
目を開ける。
ん?なんかヒナが手を振り上げてる?
あれ、ものすごい速さで降ってくる。
バシッッィ!
「ぃっっっ!」
声がでないほど痛い!
顔が変形したんじゃないかこれ?
「もう少し優しく起こせ!それと、起きた瞬間叩くな!」
涙目で訴える。
「私は叩いてないですよ」
顔をそらしながら言う。
「ほう、なら証人がいるがどうするかね?」
ツインテールが居たので言ってみる。
「ええ、この目でしっかり見てましたことよ」
「うっ!ごめんなさい」
逃げ場がないことに気が付き謝ってくる。
「許しす……と思ってんのかー!!」
「ヒィぃ!?」
「はぁ、嘘だよ」
縮こまって頭を手で押さえているヒナに言ってやる。
「虐める反対……」
「何か?」
「いえ!何でもございません!」
分かりやすいなこいつ。
「てっ!こんなことしてる暇ないですよ!審査受けないと!」
「行ってら「張本人が行かないでどうするんですか!」ごめんなさい」
ツインテールを放置して俺達は審査員のところに行く事になった。
だが…大丈夫なんだろうか?
いちおう、神さまの力を内包してるんだが……まぁ、いいか。
寝るよ。