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いざ新婚旅行

 なんとかマークと相談しながらスケジュールを詰めてお休みを獲得したのは1週間後だった。


「御館様、5日です。お休みは5日間ですからね?」

「分かってるって、ちゃんと戻ってくるから」


 マークに何度も念を押される。

 俺ってそんなに信用無いのかな……


「本当に護衛も必要ないのですか?」

「何度も言ったけど、俺を害することの出来る襲撃者が王国に居ると思うか?」

「思いませんが……万が一ということも……」

「大丈夫大丈夫。何かあったら転移で逃げるかウルト喚ぶから」

「はぁ……」


 マークは心配性だな。

 俺に勝てる可能性がある勇者娘やジェイドは既にこちら側、あとは王国、帝国ともに俺に勝てるレベルの戦力は残っていない……はずだ。


 まぁもし居たとしても、ウルトに勝てる奴なんて存在しないだろうからあまり心配はしていない。

 もちろん油断はしないけどね。


「じゃああとは任せる。何かあったらウルトやイサオにやらせればいいから」

「かしこまりました。お気をつけて……」

「ちゃんと毎日ウルトに生存報告はするから」

「よろしくお願いします」


 立場上仕方ないとはいえ、これは面倒くさい。

 やっぱり貴族になんかならずに冒険者やりながらのんびり過ごすのが一番だな。


 いや、冒険者だとよめーずと結婚することは不可能か、それにベラの家族を引き取るなんてことも出来ない……なら貴族で良かったのか?


 悩んでも仕方の無いことだと分かっていても考えてしまう。

 しかしまぁ、よめーずと一緒になれないのならなにをやっても楽しくないだろうし、結局今が1番なのだろう。


「ベラ、準備出来てる?」

「旦那様、出来ておりますわ」


 屋敷に戻り、リビングに顔を出すとよめーずが勢揃いしていた。

 横には当然のようにウルト、その背中にはアルスとフィリアが寝かされている。


 最近では2人とも寝返りを習得したので、気持ち横幅が広くなっているような気がする。


『マスター、子守りはお任せ下さい』

「うん。ウルトなら安心だ」


 最近のウルトは今までのように領内を駆け回っておらず、基本的に屋敷に常駐してアルスとフィリアを乗せていた。


 外の仕事はいつの間にか掌握したらしい朝立丸をウルトが遠隔操作して働かせているようだ。

 先輩が俺の朝立丸……と物悲しい表情をしていたのをよく覚えている。ざまぁ。


「レオ様、ベラさん。お気をつけて」

「レオにぃ、今度はあたしも連れて行ってね?」


 ソファの中央でお茶を飲んでいるサーシャと、何故かサーシャたちの給仕をしている兎斗が声を掛けてきた。

 今回はベラとだが、もちろんよめーず1人1人とお出かけするプランも考えている。


「お土産、楽しみにしてるわ」


 次に声を掛けてきたのはお腹もかなり大きくなったリンだ。

 安定期に入り、ウルトを横に引き連れてよく屋敷内や庭を散歩している。


「ベラ、ずるい」

「イリアーナさんは戦争中ずっと旦那様と一緒だったではありませんか」


 横を見ると、ベラとイリアーナが何やら言い争いをしていた。


 俺と旅行に行くベラをずるいと言うイリアーナ、戦争中ずっと一緒に居たイリアーナこそ羨ましいと言うベラ。


 これは終わらないやつだ。


「はい、これお弁当。楽しんできてね」

「僕もちゃんとお留守番するよ。ここの防衛は任せて」


「ありがとう」


 お礼を言って佳奈からお弁当を受け取る。

 佳奈の弁当か、付き合っていた高校時代以来だな。


 瞳もやる気十分だ。

 未だに体は男のままなので、夫婦生活は叶わないが、週に一度くらいは一緒に寝ている。

 俺の腕枕で眠るのが一番の楽しみらしい。


「レオ殿、ベラ殿、行ってらっしゃいませ」

「本当に護衛いらないッスか?」


「行ってくるよ。アンナ、もし護衛を連れていくとしても、アンナは連れて行けないよ?」

「ぶーぶー! ッス!」


 ブーイングされてもね……


 アンナもつい先日、妊娠が発覚した。

 ソフィアが子供を産んでおよそ半年、そろそろお願いするッス! と避妊を止めたのだ。


 妊娠したにも関わらず護衛に着こうとしたり、訓練をしようとしたり……

 あまり妊婦の自覚は無さそうだ。


「頼むから安静にしてなよ?」

「頭では分かってるんスけど、体が疼いて……」


 困ったように話すアンナの肩をソフィアが掴む。


「私も同じような気持ちになったので分かりますが、アンナは今レオ殿の子を宿しているのです。大事になさい。何かあれば私が戦います」

「ソフィア……」


 アンナが一時期妊娠を拒んでいたのは俺やサーシャたちを護衛するためだったからな。

 産後半年のソフィアがどれだけ動けるのかは分からないが、二人の間になにかの話し合いがあったのだろう。


「まぁウルトも残していくから心配はしてないよ。行ってきます」

「皆様、行ってきますわ」


 俺はベラの手を取ってリバークへと転移した。

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