ライノスおじいちゃん
「ただいま」
「おかえりなさいレオ様。あら、お父様?」
「やぁサーシャ、いきなりすまないね」
今回はアンドレイさんと一緒に帰ってきたので城の正面入り口から帰宅、ここからだとリビング遠いのよね。
「いやぁしかし……すごい城だね?」
「なにかすみません……」
うちのウルトがすみません……
あいつ加減というものを知らないのです……ちゃんと言って聞かせますから……
「いや、責めているわけではないよ? レオくんやウルト殿が真剣にサーシャたちを守ろうとしてくれたのが分かるからね。父としては喜びこそすれ怒ることでは無いよ」
「そう言って頂けると助かります」
数日中には元の場所に戻させますので。
この城が無いと次の魔王さんも困るよね?
あ、俺が心配する義理は無いか。
「それよりアルスはもう寝ているのかな?」
「はい、先程までは起きていたのですが……フィリアと一緒に寝ていますよ」
「そうか……」
アンドレイさんは残念そうに呟く。
やはり孫の顔が見たかったんだな。
「お父様、見ていってください」
「いいのかい? 起こしてしまっては大変だろう?」
「大丈夫ですよ。どうぞこちらへ」
サーシャが奥へと促そうとすると、奥の扉が開いてウルトが出てきた。
相変わらずのベビーベッドモードでその背中……背中? には2人の赤ん坊が眠っていた。
『どうぞ』
「ああ、すまない。ありがとうウルト殿」
『いえ。マスターの御子であるアルス様は私の子も同然。ならばアルス様の祖父であるアンドレイ様も私の祖父も同然です』
「え?」
「すみませんこいつバカなんです」
最近ウルトがおかしい。
アルスに続いてフィリアも産まれたのでテンションがおかしくなってしまったのだろうか……
「あ、ああ」
「ウルトのことは気にせずに……アルスとフィリアです」
アンドレイさんと2人でベビーベッドウルトを覗き込む。
アルスとフィリアは気持ちよさそうに眠っていた。可愛い。
「可愛いな。アルスは賢い子に育ちそうだ」
「ですよね。俺もそう思います」
立派な2代目クリード侯爵になっておくれ……
「フィリアはソフィアとの子供だったね? この娘は将来美人になりそうだ」
「ですよね。俺もそう思います」
ソフィアは基本無表情だけどかなりの美人さんだからな。
俺要素を極力排除してソフィア似の美人さんになるといいなぁ。
「レオくん……」
「あげませんよ?」
「まだ何も言っていないのだが……」
言いたいことは分かるよ?
アンドレイさんの孫、アレクセイの息子の嫁にってことでしょう?
「そもそもいとこですよ?」
「義理のだろう? サーシャの産んだ娘なら少し考えるが、レオくんとソフィアの子なら血も遠い。問題無いと思わないかい?」
「それはそうですが……」
俺の娘が欲しければ俺を倒すべき。
この考えはまだ持っているけど、アンドレイさんに対してはとても言いづらい。
「まぁ、今はレオくんとサーシャの婚姻で我慢しておこうか。そうだな、レオくんの孫が曾孫くらいでもう一度縁を結びたいところだね」
「それは……はい」
まぁ孫や曾孫なら考えるのは俺じゃないだろうし……いや、孫曾孫可愛さに絶対嫁に出さない爺さんになってしまうかもしれん……
その時のことはその時の俺とアルスに任せよう。
「さて、孫の顔も見たことだしそろそろ戻ろうかな」
「泊まっていかれないので?」
「そうしたいのはやまやまだが……これからは夫婦の時間だろう?」
「そんな……」
確かにアンドレイさんが泊まるのであれば夫婦生活はちょっと気後れするかな?
俺がその気にならなくとも襲われるんだろうけど。
「それに、一応立場上、ね。あまり王太子殿下のお傍を離れる訳にもいかないからね」
「なるほど、分かりました」
そういう理由ならと納得して立ち上がる。
「じゃあサーシャ、また来るよ」
「はい。その前に聖都の屋敷に戻ると思いますが……」
そうだね。
「それもそうか、じゃあまた」
「はい。お母様とお兄様にもよろしくお伝えください」
別れも済んだので砦の前へと転移、アンドレイと別れ再び城へと戻ってきた。
そういえばマークとは会わなくて良かったのだろうか……
まぁそれはそれ、今度合う時にでも連れていけば良いだろう。
ゆっくりと風呂に浸かって疲れを癒してから寝室へ。
ゆっくり……は休めなかった気がするがしっかりと寝て翌日を迎えた。




