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勉強会

 朝食を終えて、サーシャとソフィアがアルスとフィリアにお乳をやる姿を眺める。幸せの時間である。


「レオ様、そんなに見つめられますと恥ずかしいです……」

「レオ殿、だらしない顔になっていますよ。父となったのですからもっとしっかりと」

「すみません」


 いけない、ニヤニヤし過ぎたようだ。

 しかし父親かぁ……まさか俺が父親になるなんてなぁ……


「それよりもレオ様、お戻りにならなくてもよろしいのですか?」

「どこに?」


 俺の帰る場所はここでしょうよ?


「戦場です。いくら叔父様やジェイドさん、イサオさんが居るとはいえレオ様があちらに居ないと拙いのでは?」

「えー」


 先輩が居ればどうにでもなるんじゃないかな?

 どうにもならないなら連絡してくるだろうし……


「レオ殿、それは感心できません」

「そうですよ。お仕事を他人に押し付ける姿をアルスやフィリアに見せるおつもりですか?」

「行ってきます……」


 それはいけない。

 子供に情けない姿は見せられない。父ちゃん頑張るよ……


 全力で後ろ髪を引かれながらクリード家諸侯軍本陣へと転移で移動する。


「おや? 御館様、お戻りですか」

「おはようジェイド。仕事はちゃんとして来いって言われてさ……」

「なるほど……儂もフィリップたちが産まれた時は冒険に出ずしばらく家に篭っておりましたからな、お気持ちは分かりますぞ」

「出たくないよね」

「然り」


 ジェイドとそんな話をしていると、諸侯軍兵士たちは俺たちの話を聞いて苦笑いしていた。

 所々から「わかる」と言う声も聞こえてくる。みんな父ちゃんなのか。


「みんなは子供居るのか?」


 俺の質問に、諸侯軍兵士の中の数人が首を縦に振った。

 俺の領地ってまだ成立したてだから家族連れってそこまで多くないと思ってたんだけど、案外居るもんだね。


「諸侯軍の中核は元々教国軍に勤めていたり、家族が出来て冒険者を引退した者がほとんどですからね」


 俺が考えを巡らせていると、ゲルトが説明してくれた。


「農民や商人には独身の者も多いですが、兵士は案外そうではありません」

「なんで?」


 農民こそ家族連れが多いイメージだったんだけど。

 これ言うと批判されそうだけど、貧乏子沢山的な?


「クリード侯爵領で開墾している者の大半はほかの領地で耕す土地を貰えなかった農家の三男坊以下が多いのです。そのような者たちは冒険者として身を立てなければ生涯未婚のままということも多いのです」

「なるほど……」

「御館様はご存知無いかもしれませんが、就職の儀で戦闘職に就ける者は全体の3割程です。それ以外の者は戦えませんでな」


 3割か……まぁそんなもんなのかな?


「小さな領地ですと、戦闘職の者がほとんど居らず諸侯軍の大半が非戦闘職というのも珍しくはありません」

「へぇ……」


 思えばとりあえず生活に困らない程度の常識はサーシャたちから学んだが、こういった一般常識についてはかなり疎い。

 王国との戦争も終わりが見えつつあるし、今のうちから学ぶべきなのかもしれない。


 領地経営? そんなの付け焼き刃でやったら不幸になる人が大量に出るから詳しい人に任せるよ。


「恐れながら御館様はそういった知識に欠けておるようですな」

「自覚はある。そうだな……どうせ今はやることもあまり無いし、ゲルトに教えて貰おうかな」

「私でよろしければ」


 なら先輩誘って一緒に講義受けようかな。

 日本の常識さえ危うい……いや、あの人の場合分かった上でスレスレ攻めてるだけか。


「ところで夜は領地に戻ってもいい?」

「御館様はイサオ殿とすぐに連絡が取れるのですよね? それならば大丈夫だとは思いますが……」


 よし、言質は取ったぞ。


 それから先輩と2人でゲルトやジェイドから一般常識を学ぶ時間を取るようになった。


 何も無ければ朝から夕方まで講義を受けて夜は領地に戻って日々を過ごす。


 そんな生活を半月ほど続けていると、ようやく王太子たちからのお呼び出しがかかった。

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