誤解
二人はしばらくすると、どちらかともなく身を離した。
ハクタカは涙で瞳が潤んでいた。
ふ、とハグムは笑い、ハクタカの目の涙を親指の腹で拭った。
「怪我は、ないか?元気にしていただろうか?」
ハグムはハクタカの身体を見遣った。
「はい、大丈夫です。先生」
ハクタカは穏やかに笑った。
「……すまない」
ハグムは真剣な顔つきでハクタカに謝った。
「……え?」
ハクタカはハグムを見上げた。
「理由があったとはいえ、君に酷いことを言ってこの家を追い出してしまった……私を、許してくれないか」
「……許す…なんて…むしろ私が先生に嘘を」
ハクタカの言葉に、ハグムが首を振った。
「君が女人であることは、とうに知っていた」
ハグムは静かに言った。
「……え?」
ハクタカは頭の思考が追いつかず、混乱した。
「また、戻ってきてくれないか。この家に」
ハグムはハクタカの肩にそっと手を置き、微笑んだ。
ハクタカはハグムが何を言っているのか理解できなかった。
「……先生、それは…私は…女なので、使用人になるのは、もう……」
ハクタカは口を震わせそう言った。
「違う、そうではない」
ハグムはそう言って、続けた。
「私の家族になってくれないか」
ハクタカは目を見開いてハグムを見た。
ハグムが真剣な目つきで、こちらを見ている。
「……は」
ハクタカが口を開けて言葉を出そうとしたその時。
「ハクタカああああ!!」
横から物凄い勢いで、抱きしめられた。
「ゆ、ユノ!?」
泣きながら自分を抱きしめる親友を、ハクタカは慌てて抱き止めた。
「会いたかったんだからあああああ!!」
泣き叫ぶユノの後ろに、シバがいた。
「元気そうじゃねえか」
にっと笑うその顔を見て、ハクタカはまた泣きそうになった。
泣き止んだユノが、これまでの一年間何をしていたのか事細かく聞いてきた。
ハクタカは戦のことは語らずに、南を拠点として生活していたことだけを伝えた。
シバには出会いがしら頭や背中をばんばん叩かれるかと思ったが、そうでなかったのは、ユノから自分が女であることを聞いたようであるからであった。
それがなんとなくハクタカは寂しい気もしたが、いつもどおり話しかけてくれるシバを見て、会えた嬉しさの方が優った。
「それで?またこの家に住むのでしょう?」
ユノが嬉しそうに聞いてきた。
ハクタカはハグムの方を見やった。
ハグムは微笑んでうなずいていた。
ハクタカはぱっと顔を明るくして、ユノに答えた。
「うん!先生が、私を養子にしてくれるって」
その言葉に、ユノが信じられないといった形相で、嘘でしょ、と言った。
ユノがすかさずハグムを見やる。
ハグムが口を引き締め、青ざめて固まっていた。
シバがハグムの肩に手を置き、苦笑している。
「……え?」
ハクタカは、三人を一人ずつ見て、首を傾けた。
「……え?」
三人の見慣れない仕草に、ハクタカは違和感を覚えたが、それが何故なのかは理解できないでいた。
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