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隻腕のハクタカ  作者: チョヴィスキー
79/82

誤解

二人はしばらくすると、どちらかともなく身を離した。

ハクタカは涙で瞳が潤んでいた。

ふ、とハグムは笑い、ハクタカの目の涙を親指の腹で拭った。


「怪我は、ないか?元気にしていただろうか?」


ハグムはハクタカの身体を見遣った。


「はい、大丈夫です。先生」


ハクタカは穏やかに笑った。


「……すまない」


ハグムは真剣な顔つきでハクタカに謝った。


「……え?」


ハクタカはハグムを見上げた。


理由わけがあったとはいえ、君に酷いことを言ってこの家を追い出してしまった……私を、許してくれないか」


「……許す…なんて…むしろ私が先生に嘘を」


ハクタカの言葉に、ハグムが首を振った。


「君が女人であることは、とうに知っていた」


ハグムは静かに言った。


「……え?」


ハクタカは頭の思考が追いつかず、混乱した。


「また、戻ってきてくれないか。この家に」


ハグムはハクタカの肩にそっと手を置き、微笑んだ。

ハクタカはハグムが何を言っているのか理解できなかった。


「……先生、それは…私は…女なので、使用人になるのは、もう……」


ハクタカは口を震わせそう言った。


「違う、そうではない」


ハグムはそう言って、続けた。


「私の家族になってくれないか」


ハクタカは目を見開いてハグムを見た。

ハグムが真剣な目つきで、こちらを見ている。


「……は」


ハクタカが口を開けて言葉を出そうとしたその時。


「ハクタカああああ!!」


横から物凄い勢いで、抱きしめられた。


「ゆ、ユノ!?」


泣きながら自分を抱きしめる親友を、ハクタカは慌てて抱き止めた。


「会いたかったんだからあああああ!!」


泣き叫ぶユノの後ろに、シバがいた。


「元気そうじゃねえか」


にっと笑うその顔を見て、ハクタカはまた泣きそうになった。






泣き止んだユノが、これまでの一年間何をしていたのか事細かく聞いてきた。

ハクタカは戦のことは語らずに、南を拠点として生活していたことだけを伝えた。

シバには出会いがしら頭や背中をばんばん叩かれるかと思ったが、そうでなかったのは、ユノから自分が女であることを聞いたようであるからであった。

それがなんとなくハクタカは寂しい気もしたが、いつもどおり話しかけてくれるシバを見て、会えた嬉しさの方が優った。


「それで?またこの家に住むのでしょう?」


ユノが嬉しそうに聞いてきた。


ハクタカはハグムの方を見やった。

ハグムは微笑んでうなずいていた。

ハクタカはぱっと顔を明るくして、ユノに答えた。


「うん!先生が、私を養子にしてくれるって」


その言葉に、ユノが信じられないといった形相で、嘘でしょ、と言った。

ユノがすかさずハグムを見やる。


ハグムが口を引き締め、青ざめて固まっていた。


シバがハグムの肩に手を置き、苦笑している。


「……え?」


ハクタカは、三人を一人ずつ見て、首を傾けた。


「……え?」


三人の見慣れない仕草に、ハクタカは違和感を覚えたが、それが何故なのかは理解できないでいた。


【チョヴィスキーからのお願い】

小説を読んでいただいて本当にありがとうございます

この小説を読み、少しでも応援していただけたら幸いです…!


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