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隻腕のハクタカ  作者: チョヴィスキー
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決心

ハグムはひとり夜空を見上げていた。

今夜も空一面に、星が瞬いている。


(師匠、私は……貴方に少しでも近づけただろうか)


今は見ることもできない優しい父の顔を、ハグムは思い出していた。





野営地で祝宴を終えた後、兵たちはまた疲れ切った体を癒すため眠りにつき始めた。

しかしハグムは眠れなかった。

この戦で幾人もの人間が死んだ。

味方の兵はもちろん、敵の兵はその何倍にも。

ハグムは俯いた。


(こんなことを、いつまで続けなければいけないのだ)


いくら自国を政で安定させても、国を強くしても、エナン国との争いは続くだろうーー。

今回の戦は、なるべく早く終わらせる必要があった。

ハグムはそう判断した。

エナン国にヨナ国攻めは無駄だということを印象づけるためであった。

今後も戦を起こさせないために。

しかしこれからも終わりのない戦を思うと、ハグムの顔は晴れやかではなかった。

ハグムは自身の手のひらを見た。

自分はこの戦で二回、殺されかけたようだ。

それを助けてくれた人物がいる。


(私を助けてくれたひととは、一体どういう方なのか)


ハグムは当然それをヤンに尋ねた。

先ほどの祝宴での出来事である。


**

『ヤン殿、ひとつ、お尋ねしたい』


ハグムは地べたに座って嬉しそうに酒を飲むヤンに問うた。


『なんだ?』


『私を助けてくれたというヨナ国の農民は、どこの者で、名はなんと言うのですか?礼を言いたい。教えていただけませんか』


『……わり。俺からは言えねえな。本人から固く止められているんでね』


『どうしてですか』


ハグムの言葉にヤンは困った顔をして、そして意地悪く笑って言った。


『自分の命をかけるほど、あんたのことが気になってしようがない奴さ。ま、あんたが心変わりして、そいつを探そうと思えば、いつでも、会えるんじゃねえか?』


『……?』


ハグムは首を傾げたが、ヤンはそれ以上何も言ってくれなかった。

**



自分はつくづく悪運が強い、とハグムは思った。

自分はいつも、大切な誰かに守られている。


(嘆いてもしようがない)


ハグムは見つめていた自身の手を、ぐっと握った。



ひとに守られ取り留めたこの命を精一杯、自分のできること、やれるべきことに使おう。


民のため人の世のため、大切な人間を守れるようにーー。


ハグムはいつまでも、大空に瞬く星空を眺めていた。


【チョヴィスキーからのお願い】

小説を読んでいただいて本当にありがとうございます

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