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隻腕のハクタカ  作者: チョヴィスキー
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城燃ゆ

戦局は日に日に激しさを増していった。


ハグムのダグダカ門の奇策は当初うまく事が進んだものの、エナン兵は数で押し切って来た。

ついにダグダカ門はエナン兵により占拠され、ヨナ国の兵は敗走し北上した。


エナン兵との戦いは、次はスンギ支城で繰り広げられる、ヨナ国の兵たちはそう覚悟していた。

一方、ダグダカ門でエナン兵と戦闘中、ハグムはスンギ支城にいた兵や、武器、兵糧などをすぐ北上させた。

あっさりスンギ支城を捨てる事を選択したのだった。


先発隊の、四万に登るエナン兵がスンギ支城に辿り着くと、そこにヨナ国の兵たちは一人もおらず、場内はすでにもぬけの殻であった。

最初のダグダカ門での策と打って変わって、スンギ支城からの敗走を選んだハグムに、一部の兵士たちに疑念の声があがったが、それでも圧倒的なエナン兵の数を目の当たりにしたヨナ軍兵士の多くは、籠城してももたないと判断し、それも致しかないものと考えていた。


だが、ハグムの考えはそれとは違った。





エナン兵がスンギ支城に入場していく頃、スンギ支城より北に陣取ったヨナ国軍の野営地では、出陣する兵の隊列がすでに出来上がっていた。

大将軍サイは兵たちに向かって叫んだ。


「これから我々はスンギ支城を囲む。城から出て来た敵を打ちとろうぞ!」


エナン兵が皆城内に入った頃合いを見計らい、ハグムは長年に渡って炭鉱の男たちの協力のもと秘密裏に掘らせた複数の城の地下道から、兵に指示しスンギ支城の内部に火薬を放り込ませた。

それは、ハグムが以前の戦で民を逃がすために必要だと思案し内政部に入ってから造った地下道であったが、今回は攻撃のために用いた。

まさか自身が使うことになろうとは数年前のハグムは思ってもいなかったであろう。

同時に、ヨナ国の兵はスンギ支城を取り囲むようにして進軍していった。

放り込まれた火薬により、城内に大量に積み上げられていた油をしみこませた丸太たちから出た火は次から次へと燃え移った。

城内で逃げ惑うエナン兵は、城外にすでに配置されているヨナ軍の兵たちによって、切り捨てられるのであった。


ハグムはヨナ軍の野営地から、スンギ支城をずっと眺めていた。

火に覆われたスンギ支城は、夜となっても煌々と光り輝くのであった。


「おい、エナン兵が残りもう十万程度になったって話だぞ」


「ああ、対して我らが軍はほとんど犠牲者も出ていない」


「なあ。はじめはどうなるかと思ったが、これならエナンに勝てるのではないか」


たった一週間で、敵の数を三分の二に減らしたことは、ヨナ国の兵たち自身、驚いていた。

そして、それはある一人の男の軍略によるものであることを、ヨナ国の兵たちはまだ気づいていなかった。







「残り十万になっただと!?」


左大臣ユガラは目を見張り、思わず声を上げた。

戦から情報を携えたエナン兵が一時王宮に帰還し、ユガラとエナン国王ムンガルの前に跪いていた。


「王、これは…」


ユガラは力無く数段上で一面金箔に施された長椅子に座しているムンガルを見上げた。

ムンガルは眉根を寄せて静かに口にした。


「……ヨナ国から、あの知らせは?」


「……まだ、ありません」


ユガラのその言葉に、ムンガルは椅子の肘置きを、ダン!と、拳で叩いた。


「……ふん、やってくれる」


冷ややかな声で、冷笑を浮かべムンガルは続けた。


「全軍、前進。生意気な軍師の首を、ここに持ってこい」


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