諍い
翌朝、シバはいつものようにハグムを迎えに行った。
「よう、ハグム」
「ああ」
ハグムは玄関に腰を下ろしながら、靴を履き替えていた。
「ハクタカ帰ってきたんだろ?よかったな」
シバが嬉しそうに言った。
「……」
「あれ、そういえばチボのやつが鳴かねえな。ハクタカの野郎、散歩してんか?」
「……」
ハグムは数刻黙っていたが、シバに答えた。
「昨日出て行った」
ハグムがあまりにも普段通りの冷静沈着な顔で答えたので、シバはその言葉の意味が理解できないでいた。
「……どういう意味だ」
シバはハグムの方をまっすぐ見た。
「そのままの意味だが」
「な……、出て行っただ?なんでだ!!」
「解雇した」
さらり、とハグムは答えた。
「……は!?おまえ、正気で言ってんのか?」
「私はいつも正気だ」
「!!…なぜそんなことをした!」
「私の使用人だ。君にとやかく言われる筋合いはないが」
冷たく言い放ち、靴を履き終えたハグムは、玄関から出ようとした。
はっとしたシバはハグムの行く手を阻み、目の前に立ちはだかった。
「ああ、言わせてもらうね。あいつぁ、俺の弟子だ。師匠の俺は、あいつのことを知る権利がある!」
「……ハンナイの寺に送った。後日文でも送れば良いだろう。どいてくれ」
「あいつはな!」
シバは声を大にして言った。
「ハクタカはこの六年間必死こいて剣を学んだ!毎日毎日汗水泥まみれになって!この家を、おまえを!守れる使用人になりたいって!片腕もねえくせに!自分で、守りたいって言ったんだ!……そう、お前に伝えたはずだ!!」
顔をそらし続けるハグムに、シバの怒りは頂点に達した。
ハグムの胸ぐらをつかんで、壁に押し付けた。
「おい、聞いてるのか!?なぜ、おまえの方も守ってやらねえ!あいつがどんなに……」
「師匠のように、殺されるよりましであろう!!」
シバが言い終わる前に、ハグムは叫んだ。
「……あ?」
「離してくれ」
ハグムはシバの手を払うと、襟を正した。
「オムが、なんだって……?」
ハグムの両肩を掴んだシバに、ハグムは目を伏せて答えた。
「……今夜、ここでまた落ち合おう」
それだけ言い残し、ハグムは一人で足速に役所の方に去って行った。
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