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異世界を間借りで過ごす冒険譚  作者: 森 曜式
第一章 天命の儀編
2/2

2.間借り

少し長くなっちゃいました。すいません

"イセカイですか?"


"そう。そう思ったのにはいくつかあるが、まず暦だな俺の最後の記憶だと西暦20XX年だったんだけど、この世界は天命暦600年なんだっけ?"


"そうですね、伝承によると勇者と名乗るものによって魔王が倒された事で天の神が人々に恩恵として授けたのが天命みたいです。で、その日から天命暦が始まったとされています"


"へぇ〜そうなのか。勇者とか魔王とか神とか本当に異世界って感じだな。で、一番気になるのが天命ってのだな。なんなんだそれ?"


"天命ですか?天命は人が15歳になると天から授かる役職みたいなものですね。第二の名前とも言われてます。例えば父さんだと<唸る大地の剛剣士>みたいな感じですね。天命を授からないと魔法も使えません。魔法を使う場合はさっきの天命の後に使いたい魔法の決められた詠唱文を詠唱することで発動します。同じ天命は二つとないらしいのでこれで身分を証明したりもします"


"冒険者とかで言う二つ名と免許証を足したようなもんか。てか、やっぱり異世界ものの定番といったら魔法だよな〜俺の世界には魔法なんてものはないからな。一度は使ってみたいもんだな〜"


"魔法がない?…それってかなり不便じゃないですか?おじさんの世界の人はどうやって生活を?"


"ああ、それに関しては問題ないよ。俺の世界じゃ魔法の代わりに科学っていうが発達して人々の生活を豊かにしていたよ。例えば、今この場所から遠くの…そう、さっき出て行ったレーラちゃんに話があるとするヒロはどうする?"


"そんなの、どうしようもないからレーラが戻ってくるのを待って話すしか…"


"俺の世界じゃ、それがじゃでき機械の端末があるんだ。話したい相手の端末の番号が分かればどんなに離れていても電波さえ届けば話ができるんだ。これなら急用ができてもすぐに伝えられるだろ?"


"キカイ?タンマツ?デンパ?難しい言葉が多くてなにがなんだか…"


"まぁ細かいところはいいよ。あとその端末で色々な情報をどこにいても調べられたりもする"


"はぁ…すごいですね、そのキカイですか?でも、そんなにすごいならとても高価なものなんじゃ…"


"いや、そこまで高価ってほどでもないかな。だから俺の世界じゃほとんどの人が持ってたよ。それほどまでになくてはならない物だったんだ、日々の生活に支障をきたすほどにね"


"へぇ〜本当にすごいですねカガクって。他にはどんなのが…"


 といったところでダッダッダっと、こちらに向かって来る足音が聞こえレーラが一人でやって来た。


「ごめんヒロ、みんなにヒロが起きたって言って回ってたら遅くなっちゃった。で、ヒロの家に着いたらちょうどギルおじ様たちも帰ってきて狩りの後始末してから行くって言うから先に一人で来ちゃった」


"ヒロ、いとしのレーラちゃんが話しかけてるぞ答えてやれよ"


"やめてください!あと、そのことなんですけどさっきから僕の身体おかしいんですよね。僕が思うようには動かせないみたいで"


「ハァ!?」


「どうしたのヒロ、どこか痛むの」


「だ、大丈夫…なんでもないよ」


「何かあったらすぐに言ってね」


「うん」


"動かせないって、いつから?"


"最初からですね。なのでおじさんが自分の姿を確認するのに動いた時は変な感じでしたね"


 そう言われ俺はレーラに怪しまれないように自分の手を開いたり閉じたり足を曲げたり伸ばしたりしてみた。


"この身体の主導権は俺にあるのか…"


"そうみたいですね。ほんとどうしてこんなことに…"


"マジですまん…な、何かレーラちゃんに伝えたいことあるなら俺が伝えるぞ?"


"じゃあ、お願いします…レーラは…"

「…れ、レーラは大丈夫そうでよかったよ。僕のことは気にしなくていいからね」


「気にしなくていいってどういうこと!?私のせいで…私があんなところに行こうってヒロを無理やり連れて行かなきゃこんなことにはならずに済んだのに!」


"だから…"

「……だから、それを気にしなくていいんだって」


「気にするわよ!ヒロ、三日も寝続けてたんだよ?もうこのまま目を覚まさないと思ったんだから!!うっうっ…うえぇぇーん」


 そう怒ったレーラはついには泣き出してしまった。


「あらあら、どうしたのレーラちゃん」


「これはなんの騒ぎかしら?」


 そんな声とともに二人の女性が部屋に入って来た。2人とも元の世界の芸能人にいてもおかしくないほど美しかった。


"おいおい…なんだあの美人二人は、一人は癒し系のゆるふわガールって感じでもう一人は清楚系クールビューティーって感じか。ヒロ、あの人たちは誰なんだよ?"


"もうなに言ってるかわからないですけど、あの二人はレーラのお母さんのセイラさんと僕の母のマリナですよ"


"ふへぇー…じゃあ、あっちのゆるふわがレーラの母ちゃんでこっちのクールビューティーがヒロの母ちゃんか。確かに面影あるもんな、二人とも美形なのも納得だ"


"そうですか?僕はどちらかというと父さんに似てるみたいですよ"


"美形家族か…羨ましいこって"


"なに不貞腐れてるんですか。それに僕だって言うほど美形ってわけでは"


"けっ…イケメンはみんなそう言うだよ"


「邪魔するぞ…ヒロ、目を覚ましたようだな」


"あっ、父さん"


 ヒロがそう呼んだ人物を見て俺は絶句した。なにせ見た目が、かの有名な緑色の大男を少し小さくして緑じゃなくしたそんな感じだ。確かに<唸る大地の剛剣士>の名に恥じない見た目ではある。


"なぁ…あれがお前の父ちゃんか?"


"はい、父のギルバートですけど…何か問題でも?"


"いいや、別に…頼もしそうな父ちゃんだな"


"ですよね!僕も将来はあんな風になりたいんです!"


"そうかい、そうかい、頑張れよ。あ、あと最後に言っとくけどやっぱりヒロは母ちゃん似だよ"


"え〜そうですか?"


 そんな会話をヒロトしているといつの間にかベッドに座る俺の目の前にヒロの父ちゃんがいた…と思った瞬間目の前が真っ白になった。


「ぶへっ?」


「あぁ!」


「ちょっとあなた!」


"な、なんだ!…クッソッ痛ってぇ〜急になんなんだよ!"


「森の奥へは行くなと言ったはずだ」


「ち、ちがうのヒロは悪くない!私が…私がヒロを無理やり連れて行ったの!ヒロはずっとやめようって言ってたのに私が言うこと聞かなかったから…私が…」


 そうレーラはギルバートに追い縋るように言った。


"なんだよ、あの子ものすごい健気じゃねぇか"


"いつもはあんなじゃないんですけどね…今回ばかりはほんとに責任を感じてるみたいです"


"そうなのか…って大丈夫だったかヒロ?"


"僕は大丈夫ですよ。慣れてますんで。それよりも、父さんに伝えてもらってもいいですか?"


"お、おう…任せとけ"


"では、お願いします…すみません、父さん…"

「……すみません、父さん。僕が不甲斐ないばかりにこんなことに…僕も天命の儀を前に浮かれていたのかもしれません」


「浮かれすぎだ。そんなことでは天から命を授けて貰えんぞ」


「…はい、すみません…以後気をつけます」


「ギルバートよ、本人も反省してるとこだし、これくらいでいいじゃろ」


「そうだよ、ギルバート。僕の家で病み上がりの人間に手を出すのは見過ごせないな」


「おじいちゃぁぁあん!」


「おぉ、よしよし。そんなに泣くなレーラよ。こうしてヒロも無事目を覚ましたことだしの」


「ユードさんにロイドルさん…だがケジメというのは大事だ」


「ケジメか…では、ヒロは天命の儀までの間ギルバートの元で狩りを手伝うこと、レーラはセイラの元で家事の手伝いでどうかな?」


「うむ…まぁいいでしょう」


"なぁ、どんどん話が進んでいくんだが、あの2人はいったいなんなんだ?"


"あぁ、あの2人ですか、あの年配の方はこの村の村長でレーラのお爺さんのユードさんで、もう1人の方がこの村の医療全般を担う薬剤師のロイドルさんです"


「それで、ヒロよ。レーラからも聞いたのだが、お主からもことの顛末を聞きたいのだがよいかな?」


"いいか?ヒロ"


"はい、でもあまり覚えてないんですよね?"


"そんなんで大丈夫か?"


"まぁ覚えてる限りは話そうと思います"


「す、少し記憶が曖昧なところがあるのですけど、それでもよければ」


 と、俺はそう返事をし軽く頷いた。


「うむ、それで構わない。では頼むぞ」


"はい、それじゃあ…"

「……はい、それじゃあ…」


 そしてヒロは森の奥で起こったことを覚えている限り話した。


「……レーラに父さんたちを呼びに行かせた後洞窟が光ったところまでは覚えてるんですけど…その後は気がついたらここに」


「そうか…まずはレーラを守ってくれた礼を言わねばな。ありがとう」


"い、いえ、身体が勝手に動いただけで…"

「………いえ、当然のことをしたまでです」


"なんで言葉変えて伝えてるんですか!"


"この方が格好つくだろ?"


"そうゆうことはやめてください!"


"ご、ごめんってもうしないよ"


「さすが、ギルバートの息子だ。それにしても、詠唱なしで魔法を使う男か…そんな人間がいるなど聞いたことはないが一応領主様にこのことを報告しなければな…まぁこれは天命の儀の時でいいだろう領主様も来られると言っていたからな」


「では、村の警備の強化は私がやっておきます」


「頼むぞギルバート。それと念のため戦闘に長けたもの以外の森全体への立ち入りを一時的に禁止する。ロイドルもよいな?」


「仕方ないですね。ありものでなんとかしますよ」


「ひと通りの話も終わったことですし〜今日はこの辺りにしてみんなでお夕飯にしましょ〜」


「場所はここでいいでしょう」


「えっ!僕の家でですか?」


「病み上がりの人間がいるんだ、仕方あるまい。ヒロの復帰祝いという事で一つ頼む」


「そう言われたら断れないじゃないですか…わかりましたよ!ただし片付けなんかはお願いしますよ!僕は家事全くできないからね!」


「威張って言うことか」


「「ハハハハ」」


 そうして、各々夕飯の準備に取り掛かった。ギルバートが今日獲れた鹿や兎などの肉を持ってきて、それをセイラさんとマリナさんが調理し、レーラもそれを覚束ない手つきで手伝っている。


「ヒロは座ってていいからね、私がやるから」


「それじゃあ、ヒロ君。ご飯の前に身体の調子を診るからこっちに来てくれるかい?」


「は、はい」


 俺はロイドルさんに連れられ別室に移動し、身体の治りの経過を診てもらった。


「うん、特にどこも問題はないみたいだね。一応今夜もウチで寝ていきなさい、ギルとマリナさんには僕の方から言っておくから」


「わ、わかりました」


"おじさん、ロイドルさんに伝えたいことがあるのでいいですか?"


"おう、任せろ"


"では、お願いします。ロイドルさんが…"

「………ロイドルさんが僕の傷を治して助けて下さったんですよね?ありがとうございました」


「いや、たいした事はしてないよ。でも少し不思議でね、周りの飛び散った血の量に対してヒロ君の傷が浅かったんだよ。話を聞いた限り相手に傷を負わせたわけでもなさそうだし…」


"ん?"


"どうしたんた、ヒロ?"


"いえ、結構致命傷だったと思ったんですけど…"


「ヒロ、ロイドルさん、夕飯の準備できたよ」


「わかったよ。それじゃあ、ヒロ君行こうか」


「は、はい」


 レーラに連れられリビングのようなところに行くと少し大きめのテーブルいっぱいに料理が並べられみんな席について待っていた。俺とロイドルさんもそれぞれ空いてる席に座った。


「皆席についたな。それでは、ヒロの復帰を祝って乾杯!」


「「かんぱ〜い」」


 そして各々食事を始めた。俺も皿いっぱいに盛られた肉の山から一つとり一口かじり味わった…


"う〜ん"


"どうしかたんですか?"


"いや、この肉の味がな…まずいってわけじゃないんだけど味気ないというかなんか物足りなさを感じる"


"そうですか?普通だと思いますけどね"


"これが普通か。やっぱり向こうの世界の食い物って美味かったんだな…こんな事ならもっと美味いもん食っとくんだった"


 そんなことをヒロと話しながら食事をしているとレーラが何かを思い出したかのように話しかけてきた。


「そういえばね、ヒロ。私たちが見つけた洞窟の中に祠と小手があったじゃない?あれ、もう一度おじいちゃんとギルおじ様と一緒に行ったんだけど無くなってたの」


「ああ、レーラの話を聞いて調査に行って、洞窟は見つけたんだが中にはなにもなかった。さっき洞窟が光ったと言ったな、その後のことなにか思い出さないか?」


"って言ってるが、なにか思い出せそうか?"


"う〜ん、なんか相手の男が使った魔法を打ち消したような気がするんですけど、魔法以外でそんなことできるなんて聞いたことないんですよね…"


"あー、ヒロはまだ天命持ってないから魔法は使えないんだったか?"


"そうなんですよね。なのでそんなことはありえないと思うんですけど…"


"まぁなんにせよ、もう少し確証を得てから話した方が良さそうだな"


「いえ、なにも思い出せないです」


 そう言いながら俺は顔の前で手を横に振った。


「あれ?ヒロ、そんなのしてたっけ?」


 レーラは俺の指に嵌められた指輪を指してそう言った。指輪は左右の中指に嵌められていて、右手には黒色のリングにで赤い宝石がついたもの、左手には白色リングに青い宝石がついたものであった。


「この指輪がどうかしたの?」


"こんな指輪、僕知らないです"


"えっ!これお前の指輪じゃないのか?"


"はい、少なくとも気を失う前はしてなかったと思います"


「あれ、僕はてっきりレーラちゃんがヒロ君にあげたんだと思ってたんだけど、違うのかい?」


「私、こんなのあげてないよ!ヒロ、誰からもらったの!?」


「し、知らない…よ、さっき目を覚ましたばっかりだし」


「ヒロ君を僕の家に運んだときにはもう指に嵌ってたと思うけど…」


「じゃあ、私たちを襲ったあの男の人がヒロの指に嵌めて行ったってこと!?ヒロ、そんなの早く外した方がいいよ!」


「う、うん」


 そう言われ俺は指輪を外そうと引っ張ったのだが、指輪は指にガッチリ嵌まって抜けそうになかった。


「ん?…あ、あれ?抜けない…」


「なにをやっている、早く外しなさい」


「あ、あの…外れないみたいです」


「まったく…貸してみろ」


 そう言われたのでギルバートに右手を差し出した。ギルバートはその手を脇と手でガッチリ固定してから指輪に手を掛け思いっきり引き抜こうとしたが…


「いたたたたたっ痛いです。やめてください」


「確かに抜けないな」


「今日はもう遅いし明日にでもロンさんのところで見てもらったらどうかしら?」


「そうだな、ロンのやつならどうにかできるかもしれん」


「では、今日のところはこの辺で御開きにしようではないか。ギルバートは警備の強化の件頼んだぞ。ヒロとレーラは天命の儀までの間、先ほど言ったケジメをしっかりとおこなうように。ロイドル、セイラ、マリナは明日からもよろしく頼むぞ」


「「「はい」」」


 と村長の言葉で今日のところは御開きとなった。各々夕飯の片付けを始めなんだかんだ言っていたロイドルさんも片付けを手伝っていた。そして片付けを終え皆帰り支度を始めた。


「では、我々はこれで失礼する。ロイドルさん、今晩もヒロのことよろしく頼む」


「ああ、任せてくれ」


「ヒロは明日、昼食の後いつもの場所に来るように。いいな」


「は、はい」


"いつもの場所って?"


"僕とレーラが父さんに武術を教わってる場所のことだと思います"


"ヒロはなにかやってそうな身体つきしてるとは思ってたけど、レーラちゃんもやってるのか?"


"僕より後に始めたんですけど、なかなかの実力ですよ。レーラは父さんに憧れがあるみたいで張り切って教わってます"


"へぇ〜…ライバルは父親ってわけか"


"なんのですか?"


"いいや、なんでもないよ"


"はあ…"


「あ、あの、ヒロちょっといい?」


 ギルバート達を見送りながらヒロとそんなことを話ているとレーラが少し畏まった表情で話しかけてきた。


「あら〜?じゃあ、私はお義父さん達とこっちで話してるわね〜」


「そうだな、我々も積もる話があるからのう、お前達もゆっくり話をするといい。ほら、行くぞロイドル」


「えっ!いいところだったのに…わかりましたよ」


 そう言って村長達は部屋を後にし、部屋には俺とレーラだけが残った。レーラはなぜか顔を赤らめ、モジモジとしている。


「そ、それで話ってなに?」


「あ、あのね…その…」


"なんだ?告白でもされるのか?"


"そんなわけないじゃないですか"


「ど、どうしたの?」


「あ、あの…お、お礼…お礼まだ言ってなかったから…その、あの時は私のこと守ってくれてありがとね。あの時のヒロ格好よかったよ」


"これは結構脈ありなんじゃねぇか?"


"なんですかそれ!?それよりも、また伝えてもらっていいですか?"


"お、おう。それは任せろ"


"それじゃあ…"

「…お礼を言われるようなことはしてないよ。結局、僕も助けられちゃって格好はついてないし…」


「そんなことない!ヒロ、格好よかった!私、ヒロに何かお礼がしたいの…なにかして欲しいこととかある?」


 無意識か、レーラは童貞を殺す仕草である上目使いでそんなこと言ってきた。


"こ、これは…ヒロの童貞卒業か?"


"なに言ってるんですか!天命の儀を終えるまでそういったことは禁止です"


"そうなのか。まぁこの状況じゃするわけにはいかないしな…"


「ねぇ、ヒロ?ヒロはすごいよね…私あの時怖くてなにもできなかった。ギルおじ様みたいな冒険者になりたいと思ってたけど私じゃダメみたい…」


"弱ってる女の子になんて言葉をかけるかによってその男の真価が問われると俺は思うぜ。どうする?ヒロ"


"そうですか。じゃあ…"

「…今日一日見ててレーラがどれだけ反省してるのかしっかりと伝わったよ。それにあの時だってレーラが助けを呼んできてくれたから僕はこうして生きていられてるんだ、むしろお礼を言うのは僕の方だよ。ありがとう」


「…えっ?」


「…冒険って一歩間違えれば死んじゃうようなことばっかりだって前に父さんから聞いたんだ。それで冒険者はときには助け合う事もあるみたいなんだ、あの時の僕たちみたいに…だからレーラ、まだ冒険者になる夢を諦めないでよ、僕も付き合うからさ」


「うん…うん…(グスン)、わかった。私もう少し頑張ってみる。ありがとね、ヒロ。はぁー、なんかスッキリした。それじゃあ、私もう行くね。おじいちゃーん!お母さーん!話終わったー?」


"レーラちゃん、元気になったみたいでよかったな"


"そうですね…やっぱりレーラは元気じゃないと、あの明るさに僕は救われてるんで"


"はぁ〜…ヒロ君、そーいうのもちゃんと相手に言ったほうがいいって俺は思うぞ"


"いや、恥ずかしくてそんなこと言えないですよ!"


"まぁいいや、身体が元に戻ったらちゃんと自分の言葉で伝えろよ。いいな"


"はぁ…"


「あら?もうお話はいいの?」


「うん、もう大丈夫」


「そうか、では我々も帰るとするか」


「ロイドルさん、ヒロ、おやすみなさい」


「う、うん、おやすみ。村長もセイラさんもおやすみなさい」


「うむ」


「ロイドルさんもヒロ君もおやすみなさ〜い」


「ヒロまた明日ねー!」


 そう言って元気に手を振るレーラに手を振り返しながらレーラ達を見送った。


「ヒロ君もおやすみ。なにかあったら作業場にいるから言ってね」


「は、はい、ロイドルさん。おやすみなさい」


 ロイドルさんにそう言って俺はさっきまで居たベッドのある部屋に戻りベッドに横たわった。


"ふー…なんとか今日一日乗り切ったな"


"ですね。今日は何度も僕の言葉伝えてもらったりしてすみませんでした"


"だから、謝るなって悪いのは身体を奪っちまってる俺の方なんだから。早くヒロに身体を返す方法を探さないとな…"


"でも、そんなことしたらおじさんがどうなるかわかりませんよ?"


"俺のことは気にしなくていいよ。このままじゃ何かと不便だろう?ヒロはレーラちゃんとイチャイチャしたいだろうし"


"か、からかわないでくださいよ!"


"ごめんごめん。だからそれまでの間この身体に【間借り】させてもらうわ"


"はい、これからよろしくお願いします"


"おう、よろしくな…でさ、この世界のこともっと教えてくれよ"


"そうですねー…いいですけど、おじさんの世界のことも教えてくださいよ?ほかにどんなキカイがあるのか気になりますし"


"わかったわかった"


 そうして俺達は夜遅くまで互いの世界のことを話し合っていき、話疲れたところでお互い眠りについた。こうして俺の異世界での他人の体を使った【間借り】生活が始まったのだった。

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