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第二話

戦いは泥沼の様相を呈したという


そもそもからして、両国は生活水準を制限しなければならない程に、エネルギーの枯渇に悩まされていた

それは、将来の確かな破局を感じさせる程であったのだから、今更軍事力に注力出来る余力など無かった為だ


とはいえ、事が事だけに両国はこの大戦に持てる力を尽くしたという

それこそ、逼迫した生活を更に圧迫させる程


両国民は反発しなかったのか


その答えは、既に両国民は全てが国軍の兵卒として、残らず参戦していたという一点に収束する

つまり、誰も彼もが戦場で敵兵を殺して、敵兵に殺されていたので、そんな声を上げる思考の隙間など無かったのだ

因みに、驚くべき事に兵卒だけでなく、士官将校に至るまで武器を手に取り、戦場を駆けていた


この理由は、両国が1000年に亘って享受し続けた平和に端を発する

始めは緊張状態にあった両国も、永く平和が続けば、戦争を忌避する気運はやがて、戦争を忘却する常識へと風化していった

彼らにとって、戦争とはおとぎ話の中の出来事でしか無かったのだ


その積み重ねた歴史が、軍を形骸化させ、兵器の発展を阻害した

軍を金食い虫と揶揄し非難する世論さえ在り、閣僚の中でも軍部は大臣職すら無かったというのだから、その徹底ぶりは相当のものだろう


それが、この大戦では大いに発揮される事となった

極めて原始的に、剣と槍とで武装した歩兵が走り回る戦場は、だからこそ阿鼻叫喚の地獄と化した

爆弾や銃火器の類は、そもそも配備数が少なく、またエネルギー資源枯渇に際して、そうした物は真っ先に解体されエネルギー化されていったのだから、十分な数を用意する事が出来なかったなどという問題にもならなかった


その結果、末端ではこん棒や物干し竿、箒や農機具で武装した兵士まで存在した

文字通り、石器時代の有様であったのだ


生々しく臓物を飛び散らし、咽かえる程に流された血は戦場の空気すら赤く染め、木々は茂る緑葉の代わりに血の滴る人毛人皮や千切れ飛んだ手足で彩られた


そんな戦場が、それこそ飽食の時代に爆発した人口故に、大陸各地で繰り広げられた

そして、一つの問題が発生した


水が汚染されたのだ

何でと問われれば、人血でと答えるしかない

余りに大量の血が流された結果、文字通り大地は血に染まり、地下水源すらを血で汚すに至った


事ここに至って、狂騒に駆られていた両国民の一部が落ち着きを取り戻した

このままでは人類は滅亡する

その考えに至ったのだ


それも当然の事だった

当時の両国の人口比はほぼ1対1で、均衡していた

更には、男女比、年齢分布まで同じ程度であったのだ


これはもう、超常的存在が我々人類の滅亡を企図して描いたシナリオなのではと、終末論まで流れた程だった


だが、結論から言って、それは大いなる誤りであった

戦場に一人の男が降り立ったのだ


彼の者こそ、今に伝わり、その再誕が全ての人に待望されている

救世主、その人である

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