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第一話

こういう使い方もありかな

始まりは真っ当な資源問題だったという


且つて世界は、二つの大国による統治下で、仮初とはいえ確かな平和を享受していた

その平和は、1000年の永きに亘り大過なく続いた

誰もが、事も無き平穏が続くと根拠も無く信じていた


或る時、両国で用いられていたエネルギー資源が、やがて枯渇するとの論文が発表された

両国は共に、その資源にエネルギー供給を完全に依存しきっており、その枯渇は即ち社会システムの崩壊に他ならなかった


だが、それを真摯に受け取り、その対策に奔走した者は驚くほど少なかったらしい

それも当然と言えよう

そもそも、多くの民衆にとって、変化とはただ甘受するだけのもので、自らその変化を起こそうとする事も、その変化を押し止めようとする事も、遠く浮世離れした世界の出来事であったのだから


故に、そうした変化に対応するべく動いた者達は、極少数の知識階級に限られた

そしてだからこそ、後の破局は不可避のものとして、厳然と未来に立ちはだかっていたのだ


エネルギー資源の枯渇は、唐突に訪れた訳では無かった

それは少しずつ、永年使い古してきた家具の表面に手垢の色が浮く様に

しかし確実に人々の生活を圧迫していった

先ずは生活に重要でない娯楽施設が、表向きは事業継続困難として閉鎖されていった


次に、生活消耗品の類が軒並み値上がりした

その製造コストの増大、ひいてはエネルギーそのもののコストが増した為である


そうして少しずつ、けれど確実に両国はその内情を逼迫させていった


そんな中、一方の国で一つの論文が発表された

枯渇していたエネルギー資源が、大量に埋蔵された鉱床を発見したという内容だった

それは、事前の干渉によって、もう一方の国には発表される事は無かった


つまり、発見されたエネルギー資源を独占しようとしたのだ

だが、何故かそういう情報は、完全に秘匿する事が難しい

公平性を何より重視する人間が漏らすのか

そもそも秘匿した内側に、外側の人間が居たのか

単に安直な博愛主義的に同情した者が、或いは卑劣な行いと義憤に駆られた者が


いずれにせよ、情報はもう一方の国へ漏洩した

当然の結論として、もう一方の国は迅速に採掘に乗り出した

それも、傍らに軍隊を伴って、である


結果起こったのは、情報を秘匿した側の国が派遣した採掘集団の一方的な虐殺である

この事は、当たり前に非難の嵐を呼んだ

但し、秘匿した側の国のみで

逆に虐殺した側の国では、資源の独占を非難する声が高く上がった


その時、既に多くの生活環境は、明白に悪化の一途を辿っており、両国の世論は政府の無能を誹る声で埋め尽くされていた

そうした背景があったからこそ、採掘に軍隊を伴うという選択が為され、更には先んじて採掘を開始していた相手を虐殺するという結果に至ったのだ


ともあれ、この事件を機に、両国の関係は悪化した

それも、喧々諤々議論を交わす

それを飛び越して、悪口雑言で相手を罵る

そうした段階は容易に弾き飛ばして、早々の開戦である


これが、今この世界に語られる、神話の終わりと始まりを告げた「最後の大戦」の始まりの過程である


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