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勇者撃沈  作者: 丁太郎
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02 勇者 vs 聖女

 大魔王を倒すため勇者と聖女は旅を続ける。

 まずは各国で勇者の認定を受けなければならない。

 今は一つ目の国「ワーロック」を目指している二人。

 そこには賢者の啓示を受けた者がいるという。

 今二人はワーロックの国境近くの町にいた。


「勇者様ー!」


 私を呼ぶのは「聖女」アリシア、私が預かる大魔王討伐パーティーのヒーラーだ。

 パーティーといっても今は私とアリシアの二人だけだが。


「どうした?」


「勇者様、一緒にお散歩しませんか?」


「かまわないが、一つ頼みがある」


「何でしょう?勇者様」


「その勇者様というのをやめてくれないか」


「どうしてでしょう?カッコいいじゃないですか」


 首をかしげるアリシア。


 ぐ! カワイイ! なんて可憐なのだ!


 私はアリシアに惚れている。

 10歳も年下だというのに一目惚れだった。

 一緒に散歩は願ったり叶ったりだ。

 少しでも距離を縮めたい。

 しかし、それはそれとして、私は物事は合理的に進める主義だ。

 毅然と自分の意見を言わなければアリシアには伝わらない。

 その事がここ数日でよくわかった。


「周囲に勇者と知られてしまうと、行く先々で身動きが取りにくくなってしまう」


「この町の困りごとを解決してあげたら素敵だと思いませんか?皆に勇者様を知ってもらったら頼みにくると思うんです」


 アリシアはにっこり笑う。

 その笑顔は反則だ、心が折れそうになる。

 しかし、ここは譲る訳にはいかない。


「それでは100年経っても魔王は討てまい。アリシアもそれでは困るだろう?私たちは魔王討伐の為の行動を優先するべきだと思う」


「勇者様って呼べないのは寂しいです。それに何とお呼びすればいいですか?」


「レオンと呼んでほしい」


 自然な流れで名前呼びを勧める。

 しかし自己紹介した際、名のった筈。

 覚えられていないのはなかなかにショックだ。


「じゃぁ 間をとって 勇者レオン様では?」


 うっ!それは恥ずかしい。

 更にいえば痛々しい。

 あと間は取っていない。

 足しただけだ。


「アリシアの敬意には感謝するが、却下で」


「えー! 折角カッコいいのに勿体無いですよ。じゃぁ 騎士様で」


「勇者じゃなければいいさ。ともかく歩こう」


 結局名前は呼んでくれないようだ。

 それなりに精神ダメージを受けたが私も大人、微塵にも顔に出す事はない。

 背中では泣くがね。

 騎士でも厄介ごとは持ち込まれるだろうが、勇者よりはましだろう。

 それにしても呼び方一つで時間を浪費している。

 アリシアも改めて欲しいものだ。




 私達は大通りに出てみた。

 アリシアが早速何かを見つけたようだ。


「勇者様! 人だかりができています。行ってみましょう」


 アリシアは走り出す。

 結局勇者と呼ばれた。

 今までの会話は何だったのか?そして嫌な予感がする。

 私も行った方がよさそうだ。

 アリシアの暴走を止めないとならない。

 私が人だかりの中をかき分けて行くと、中心にいる比較的年配の男とアリシアが話している。

 男は私を見ると頭を下げてきた。


「勇者様、この度は個人的なお願いをお引受け下さり誠にありがとうございます!」


「勇者様 この方の息子さんが森に入ったまま戻らないらしいの。頑張って探しましょう!」


 アリシアは決意を漲らせている。

 そんなアリシアもカワイイと思ってしまった。


 もう子供でも猫でも探してやるさ。


 了


ーーーーーーーーーーーーーーー


winner 聖女


決まり手:スキル『三歩歩くと忘れる』


ストーリーはこんな感じで進みます。

がんばれ勇者!

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