地図帳にタネを蒔こう
アジテーションエッセイ第3弾は、地理の勉強のお話。
みなさん、会話ネタの勉強はされているでしょうか。
私が大学受験をしたのは何年も前のことになる。大人になると、なかなか自分の考えを吐き出す場所がなかなか無いもので、その日思いついたことをジャンル問わず人に伝えたい衝動にかられてしまう。
高校時代に兼好法師の『徒然草』を習ったが、いつの世になっても、気の赴くままに思いを吐露したいというのが人の性なのだ。
前置きはこのあたりにして、今回取り上げる科目は「地理」である。
地理というのはコストパフォーマンスのいい科目で、勉強時間に対する点数の上昇率も高く、歴史みたいに何百も固有名詞を覚える必要もない。頭の中に地球の地形を3Dで描けるようになれば、6割はとれる。非常に勉強効率のいい科目である。
しかも個人的な経験としては、社会に出て相当役立つ。もちろん日本史や世界史も役立つ、が、実社会で一番役立つのは地理ではないだろうか。
というのも初対面の人と話すときの「鉄板」ネタなのである。合コンや同僚との会話、初対面の人と話すときに一番盛り上がって、かつ、どんな人でも会話のネタを持っているというのは、地元話である。
相手の出身地に対する知識がほんの少しでもあれば、相手が勝手に地元話を広げてくれるのであるから、なんとも楽なものだ。
もちろん、これは大学生や社会人になったときに実感したもので、大学受験を意識しだした人たちにとっては
「は?会話の小ネタなんでどうでもいいんだよ。それより点数だ点数」
「会話のネタで小中高と困ったことなんてない。お前のネタが少ないだけだろう」
との文句が頭の中に湧いてくるだろう。高校生はシビアである。
しかし、多くの大学生や社会人は「会話の種」不足に困っているのである。これは初対面の人と会う機会が増えることが原因で、相手と自分の共通項を探すのに一苦労する。その点、誰にでも故郷はあるものであり、何かしらの想いを抱いているものなのだ。地元話というのは、とりあえずこの話をすれば盛り上がるという意味で「鉄板」ネタなのである。
自分の育った土地の話をすると、往々にして、その人の人生の苦労譚や価値観、経歴の話にも繋がるわけであるから、地元話をすればどんどんその人の人となりがわかってくる。
地元ネタは汎用性だけでなく、深い関係を築くのにも役立つわけである。
これほど将来話のタネになる科目というものもない・
だから、高校生よ かつて高校生だった者たちよ 地図帳にタネを蒔こう