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凸凹主従のハロウィン

昨年の活動報告に掲載したハロウィンSSを加筆・改稿したものです。

背景真っ白、本編の世界観からやや逸脱した内容、最初から最後までアホです。

細かい事気にしない方のみ、どうぞ。

「トリ~ック・オア~・トリ~トォォォ~!!!!」

「…………」


やけに間延びさせた口調に、わざとらしいまでの嗄れ声。

まるで、某耳なし青色機械猫が怪しい、もとい、便利な発明品を出現させる時の声みたいだが、ちっとも似ていない。

などと思いながら振り返ったウォルフィの右眼は、一瞬にして険しくなった。

背後には、某耳なし青色機械猫の着ぐるみで仮装した彼の主アストリッドが、両手に掲げたどら焼きを交互に頬張りながら佇んでいたからだ。

着ぐるみと言っても、某耳なし青色(以下略)の顔のパーツが描かれたフード、怪しい発明品が次から次へと飛び出てくるポケット等が取り付けられているだけの安っぽい寝間着であったが。


「ウォルフィ~、お菓子~、お菓子をプリ~ズ~、プリ~ズ~~!!」

「普通に話せ」

「お菓子が欲しいドララ!くれなきゃイタズラするドラララ!!」

「何故そうなる」


他の者ならば愛らしい笑顔に騙さ……、否、魅了され、アホな口調ですらも許せてしまうだろうが、ウォルフィにとってはただ苛立ちばかりを覚えるのみ。


「おかしいな~。語尾にドララつけたら、マドンナ様は『いやん、アスちゃん、かんわいい~!!』ってどら焼き10個もくれたのに、ドララ」

「無理矢理語尾につけなくてもいい」

「ちなみに貰ったどら焼きはほぼ全部食べたドララ。今持ってる二個で最後ドラララ」

「そんなことは聞いていない。それよりも普通に……」

「あれー、おかしいドララ。この喋り方でリヒャルト様にお菓子強請ったら、ゴデ〇バの限定ショコ〇キ〇ーくれたドラララ」


コテンとあざとく小首を傾げてみせるアストリッドに、『元帥閣下はどこまでこいつに甘いんだ……。そういうのはこの馬鹿じゃなくて、日頃の労いでポテンテ少佐にやるべきでは……』と、軽く眩暈すら覚え始めていた。


「自分は知ってるドララ。ヤスミンさんにはお徳用プレッツェルとザッハトルテワンホールあげてたって、ドララ」

「それがどうした」

「大事な娘さんにあげるお菓子があるからには、大事な主の分も当然用意していますよねぇー、じゃない!ドララ!!とにかく!!な~んでもいいから~、お~か~し~!!お菓子くれなきゃ~、また猫に変えるドララ~!!」


とうとう、某耳なし(以下略)の似ていない声真似と語尾がドララ、のコンボ技を繰り出してきやがった。

北部でのトラウマを掘り起こされただけでなく、ウザさが極限に達したウォルフィは渋々、ヒョウ柄フロックコートのポケットからチロ〇チ〇コを取り出し、アストリッドの眼前に放り投げた。

お返しでヤスミンから貰ったものだが致し方ない。

両手に花ならぬ、両手にどら焼き状態だったのがいつの間にか跡形もなく消失していたので(と言うか、食われていた)、アストリッドは難無く両手でチ〇ルチ〇コを受け取った。


「一個だけぇぇ?!ドケチ!!」

「くれてやっただけでも感謝しろ」


青紫色の隻眼に蔑みを存分に込め、ようやく素の口調に戻ってくれた主をウォルフィは冷たく見下ろしたのだった。


(終)

ちなみに、ドララはミニ○ラのイメージで(ミニ〇ラはひたすらドララしか言わないけど)、耳なし青色機械猫の声は初代の方でお願いします。

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