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ポッキーの日SS

昨年の活動報告で上げていたポッキーの日SSをこちらにて再掲。

時系列や関係は四章の頃のものです。

CASE:1

アストリッドとウォルフィ


「ウォールフィー、これ、なーんだと思いますー??」


 満面の笑みを浮かべるアストリッドが、焦げ茶色した棒状の菓子を口に咥えながらウォルフィに近付いてくる。


「確か、ポッキーとかいう菓子だろう。それがどうしたと言うんだ」

「あったりー!で、ここで主からの命令です!ウォルフィ、端っこ咥えて下さい!!」

「断る」

「えー、いーじゃないですかー。ポッキーゲームやりましょーよー。何か周りで流行っているみたいですから、一度試してみたかったんです」

「流行ってもなければ、ごく一部のバカップルがやっているだけだろうが」


 アストリッドは、えー、いーじゃないですかーと、セクハラを迫るオヤジみたいな口振りで鳶色の瞳をキラキラ輝かせている。

 一方、こいつには危機管理の意識が欠けすぎだ、と、ウォルフィは呆れ果てている。

 ウォルフィだからいいものの、これが他の者なら見た目美少女がポッキー咥えながら迫って来たら、間違いなく押し倒され兼ねないというのに。


 だんだん面倒臭くなってきたので放置してやろうかとも思った矢先、アストリッドの手に封の開いたポッキーの袋が握り締められているのに気付いた。

 瞬速でアストリッドの口元からポッキーを抜き取ると同時に、彼女の手の中からポッキーの袋を奪い取る。

 あぁっ!!と声を張り上げるアストリッドの口の中へ、袋から取り出した全てのポッキーを突っ込んだ。


「ひゃひすふんひぇすかぁ!!(何するんですかぁ!!)」

「くだらんこと抜かすから口封じしたまでだ」


 ぷんすか怒りながらも、突っ込まれたポッキーをしっかり食べることも忘れない主を尻目に、ウォルフィは抜き取ったポッキーを手にその場を後にしたのだった。






CASE:2

ウォルフィとシュネーヴィトヘン



ウォルフィは、目の前の光景を見て普段の三倍は眉間の皺を深くさせ、目付きを険しくさせた。

それもその筈、シュネーヴィトヘンこと東の魔女ロッテが焦げ茶色した棒状の菓子を咥えて立ちはだかっているからだ。


「一体お前の目的は何だ」

「別に。ちょっとした暇つぶしに付き合ってもらいたいだけよ」

「断る。お前と遊んでいる暇など俺にはない」

 シュネーヴィトヘンはつまらなさそうに鼻を鳴らす。

「据え膳を目の前にして逃げるなんて意気地なし」


 ふん、と嘲笑すらしてみせるシュネーヴィトヘンに、ウォルフィの片眉がピクリと跳ね上がった。

「俺を見縊るなよ」


 ウォルフィは一気にシュネーヴィトヘンとの距離を詰めると、へし折るようにしてポッキーに食らいつくと彼女の唇を奪い、半ば強引に押し倒した。


「ちょっと……!」


 シュネーヴィトヘンは口では嫌がりつつも、さして抵抗する様子を見せない。

 これ以上続くとここでは書けない展開に……と危ぶまれたが、ウォルフィの背中に光弾が命中。

  背後には美しい顔を悪鬼の如く恐ろしい形相に変貌させたヘドウィグが仁王立ちしていた。


「馬鹿者めが!ロッテから今すぐ離れろ!!さもなくば、ムーンに行って来い!!」

「…………」


 思わぬ邪魔が入り気がそがれた二人は、渋々起き上がったのだった。




CASE:3

リヒャルトとフリーデリーケ


「元帥、お茶をお持ちしました」

「あぁ、ありがとう」


 執務室で書類仕事を続けるリヒャルトの元へ、フリーデリーケが紅茶を運んできてくれたのだが、今日は珍しく茶菓子付きであった。

 四角い箱に入ったそれを手に取り、何となしに眺めるリヒャルトに「そう言えば……」と、思い出したようにフリーデリーケが話し出す。


「世間では一部の若者達の間で、ポッキーゲームなる遊びが流行っているとか……」

「あぁ……、確か男女が互いに」


 と言い掛けて、リヒャルトは口を噤む。

 自らの地位を省みた場合、迂闊に口に出してはいけない内容だと自重したのだ。

 一方で、自他共に鉄の女と認める厳格な彼女が、何故このような話題をいきなり持ち出したのか、も気になってはいた。


(まさか…‥、いや、彼女に限っては……)


「……元帥。何をお考えになられているか、当てましょうか」

「……いや、勘弁してくれないか」

「セクハラ問題で退任されるようなことにだけはならないで下さいね」


 一瞬の妄想を見破られ、背中に冷や汗を流すリヒャルトを、フリーデリーケは切れ上がった群青の瞳で睨みを利かせ、さりげなく牽制した――、かと思いきや。


「……隠し部屋でなら大丈夫だと思いますが……」

「……何がだね……」


 フリーデリーケの意図に困惑しきりのリヒャルトは、これはどうしたものか、と頭を抱えたのだった

お粗末様でした

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