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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第48話 初めての温もり

 ご飯を食べた後にもう一度軽く勉強をすると、いつの間にか日付が変わりそうな時間となってしまった。


 月影さんの家の客室を使っても良いということなので、そこにあるベッドに寝転ぶと今日も一日お疲れ様でした。


「──そんな簡単に寝れるかっ」


 客室で声を出しながら、そのまま何度も寝返りを打つ。


「ぬぉぉぉん」


 いや、無理だろ。もう、さっきからずっと月影さんの裸がチラついているから。あんなもんを思春期男子の前に出すんじゃねぇよ。三日三晩のおかずになるよ。いや、三日三晩で収まるかっ、ぼけっ!! ティッシュ!! 今すぐ俺にティッシュをくれー!!


 一体、何分くらい悶えていたのだろうか。


 明確に脳が刻んでいる月影さんの裸体。こういう時の記憶力を勉強に持っていければ、俺は最難関の大学にだって合格できるだろうに、男っていう生命体は残念な生き物である。


 ひつじだ。ひつじを数えよう。


 ひつじが一匹。


『降井くん♡ ぶひぃ♡』


 ひつじが二匹。


『もっと罵って♡ ぶひひぃ♡』


 ひつじが三匹。


『ああん♡ 快感っ♡』


「てめぇは雌豚だろうがっ!!」


「!?」


 脳内にどうしても出て来る月影さんにツッコミを入れると、目の前でビクリとする本物の雌豚さんの姿が暗がりでわかってしまう。


「こっそり入ったのに、バレてしまいましたぁ♡」


 やっべぇ。ドMスイッチ入ってしまったみたいだ。


「こっしょりぃ♡ 忍びこんだぁ♡ あやめにぃお仕置きですよねぇ♡」


「やかましっ!! 夜中にこっそり忍び込んでくんなっ!! 今のお前を見てるとこっちの理性が持たないんだよ!!」


「もたにゃいの? 理性もたにゃい? ぶひひー♡ わらしぃ、エロ同人みたいにめちゃめちゃにされちゃう♡♡」


「嬉しそうに言ってくんなっ!! 本気でやったらどうする気だっ!!」


 こっちはマジだってのに、月影さんはとろけそうな顔をしながらこちらのベッドに座ってくる。


「はぁ♡ はぁ♡ おしょわないの?」


 一瞬、俺は発情しそうになるが、グッと堪えてそのまま彼女に背を向けて寝転がる。


「ど、どどど、童貞なめんなっ!! この後どうして良いかわっかんねぇから!! 童貞は妄想の中なら最強だけど、実際女の子を目の前にしたらなんもできねぇから!!」


 自分で恥ずかしいことを言っているのは百も承知だが、このまま流れで彼女を襲うより何倍もマシだと自分に言い聞かせて素数を数え始める。


 ──461。4─6─3のダブルプレーが一番好きとか、野球で一番好きなアウトの取り方を考えていても、月影さんはまだベッドにいやがる。


「寝ないのかよ」


 中々出て行かない月影さんに問いかけると、あちらさんのドMスイッチはすっかりOFFになっている様子。


「お礼言いたくて」


「お礼? 勉強の?」


「もちろんそれも。でも、それだけじゃない」


 少し間を置いてから彼女が礼を言ってくれる。


「チャーハン。すごくおいしかった。ありがとう」


 一体、なんの礼だと思ったらそんなことか。


「礼を言われるほど、おいしい出来とは言えなかったぞ」


 自分で食べてもおいしいと感じなかったため、率直な自分の意見を述べたが、彼女は首を横にふるふると振った。


「今まで食べた料理の中で一番おいしかった」


「おいおい。流石にそれはオーバーだろ」


「そんなことない。降井くんのチャーハンが一番」


 あれか。今まで庶民の食べ物を食べたことないボンボンが、カップ麺を食べて世界一おいしいと思う現象か。


「私は今まで手料理を食べたことがない。いつもご飯はコンビニか出前」


 それは晩ご飯の時にも言っていたな。おそらく両親が共働きで料理をする時間がなかったのだろう。


「お店じゃなく、家のキッチンで誰かが作ってくれて、出来立ての手料理というのを初めて経験した。コンビニや出前とは違って、どこか温かい気持ちになった。あれほどおいしい料理は他にない。だからまた作って欲しい」


 そんな言い方されちまったら、選択肢なんてないに等しいだろ。


「俺なんかで良ければいつでも作ってやるよ」


 寝返りを打ち、彼女の方を見る。


「ほんと!?」


 その時の彼女の顔ときたら、幼い少女が親からおもちゃでも買ってもらう時みたいな顔をしてくるもんだか、こっちまでほっこりしちまうじゃねぇかよ。


「ああ。別に料理くらいで良ければ」


「ふふ。やた」


 喜ぶ姿を見て、世のお父さんが娘にメロメロになる理由が少しばかりだがわかったような気がする。こりゃ俺に娘が出来たらメロメロになっちまうんだろうな。


「それじゃ、遠慮なくお願いするね。《《自由》》くん」


 嬉しそうな弾む声で、ナチュラルに俺の名前を呼ばれてしまい、少しばかり照れてしまう。照れ隠しのように再度寝返りを打つと、「むぅ」と拗ねた声を出されてしまう。


「名前で呼び返してくれないの? 佳純と有紗だけなの?」


「たまにドSボイスの時に呼んでるだろ」


「あれも良い。快感」


 素直だねぇ、この子。


「でも今はドSボイスじゃなくて、自由くんとして呼び返して欲しい」


 なんだよ、そのかわいい要求。そんなもん呼ぶしかないじゃないか。


「……もう寝よう。彩芽。明日も学校だし」


「うん」


 彼女の要望に応えてやると、次の瞬間に俺のベッドの中に入ってくる。


「ちょ!? なにしてんの!?」


「自由くんが寝ようって言うから、ベッドイン」


「自分のベッドにインしろよ」


「このベッドもある意味では私のベッド」


「反論できねぇ!!」


「ふふ」


 楽しそうに笑う月影さんは本当にそのまま俺のベッドに居座りやがる。


「自由くんと私。同じ匂いだね」


「ねぇ。なんでそんなドキドキすること言うの? お前ドMなのに、なんでSっ気出して来てんの?」


「お父様のドMを引き継いだけど、たまにお母様のSっ毛も曝け出すサラブレッド」


「聞きたかなかったよ!! そんな情報!!」


「私がドMなのは、夜な夜な二人が──」


「ストップ彩芽。それ以上は夜中のテンションだろうがやめておこう。まじで」


「り」


 流石に他人の両親の性癖まで聞きたくはない。それを理解してくれた彩芽も変態だがモラルはあるようだ。いや、ここまで話したからモラルもくそもねぇけど。


「こうやって誰かと寝るのって良いね」


「なぁ。なんで今日に限ってSっ気出すんだよ。それ以上言われると眠れなくなるだろうが」


「いや。今のは下ネタではなく、誰かと眠るなんて初体験なピュアな感想」


「発言がややこしいんだよ。今のもアウト寄りのアウト発言だぞ」


「そう、なのかな……」


 彩芽の声はそのまま薄くなっていく。


「でも、ほんと、に、温かい、から……」


 そして、そのまま寝息を立てて眠ってしまった。


「5歳児かよ……ったく……」


 でも、誰かと眠るとすぐに眠れるというのはわかる気がする。俺も小さい頃死んだ母さんと一緒に寝ていた。あの時の温もりというのを今でも肌が覚えている。あの感覚を経験していない彩芽が少し不憫に思えてしまうな。


 恋人じゃないけど、邪な気持ちを抱かなければこのまま一緒のベッドで──。


 寝れるかっ!!


 こんな美少女と一緒に寝たら理性がどうにかなるわっ!! つうか、こいつはよくもまぁぐっすり、グースカピーできんなっ、どちくしょうがっ。


 結局、俺はソファーを借りて眠ることにした。

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