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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第31話 ギャルの真実が暴かれてしまう

 SNSでの宣伝はバッチリオッケー。コスプレのクオリティも高い。(俺はそのままな気もするが)あとはいつも通りにキャラになりきってお客さんを出迎えるだけ。だったんだけど──。


「ちょっと、バカ兄貴!! なんで今日に限ってお客さん来ないのよ!!」


 完全に高崎(高木)莉乃になりきっている色葉が俺の胸ぐらを掴んで喚いている。


「落ち着けよ色葉」


「あたしは色葉じゃなくて莉乃って言ってるでしょ!!」


 喚いているなー。


「今日は平和でござるなー」


 こちらの喧騒とは反対に、隣に立つ牛乳瓶の蓋みたいな眼鏡をかけた美少女様が、のほほんとキャラになりきって声を発していた。


「まぁしょうがない。こういう日もあるよ」


 カウンターキッチンで洗い物をしている親父が、冷静に言ってのける。


 親父の言うことはもっともだ。この世に絶対なんてない。どれだけ良い案だろうと、どれだけクオリティが高かろうと、どれだけ準備しようと、お客さんが来るとは決して限らない。いつまでも門前市を成すとは限らず、閑古鳥が鳴く日だってある。


「むぅ……」


 色葉だって長いことカフェでバイトしているんだ。というか、閑古鳥鳥が鳴く日の方が慣れているだろうが、今日の彼女は不機嫌であった。


「バカ兄貴!! どうにかしなさいよ!!」


「無茶言うな。こればっかりはどうにもできん」


「もう……せっかく……」


 その泣きそうな声は莉乃の演技か、それとも色葉自身のものか。どちらにせよ、今の彼女を宥める手段は俺にはないみたいでちょっぴり悔しい。


 せっかくの準備が水の泡になっていると、店の中には少々陰気臭い空気が流れてしまっていた。そんな沈黙の中で、「はいはーい」と手を叩く音が聞こえてくる。親父だ。


「みんなー。ウチのお仕事はコスプレと接客だけじゃないよー。お客さんがいないなら、その時にできるお仕事してよー」


 流石は親父様。これしきのことでへこたれているようじゃカフェの経営なんてできないわな。


「特に色葉ちゃん。いつまでも拗ねてないで、こっち手伝ってよ」


「うっさいバカ親父。それからあたしは莉乃だって言ってるでしょ!!」


「お客さんがいなくてもキャラになりきるプロ根性は嬉しいけど、普通にバカ親父と言われたダメージが深い……」


 お客さんが来なくてへこたれないが、色葉の言葉には簡単にへこたれておられる。


 最後の砦である親父様も落ちてしまい、ズーンとなっているカフェふりー。そんなところで救済の鐘の音が響いた。


「「「「いらっしゃいませ!!!!」」」」


「きゃ」


 我先にも救済の鐘の音に飛び付いた結果、お客さんをビビらせてしまったようだ。


 申し訳ないと、思いつつ、新規のお客さんに目をやると──。


「ぶっふっ!!」


 牛乳瓶の蓋のような眼鏡をしていた佳純が、給食で牛乳でも吹き出したみたいなリアクションをしていた。


「やっほー、降井くん。来ちゃった☆」


 ギャルピースでご登場の水瀬有紗。彼女のギャルルンなご登場に佳純はギャフンとなっている。


「な、んで、有紗? え……?」


 あ、そっか。学園の三大美女様はお互いに自分の秘密を喋っていないんだっけか。そりゃ急に現れたら焦るわな。


 わたわたとしている佳純のことは一旦放っておくか。不幸中の幸いか、佳純の格好は素顔が良く見えていないからいくらでもフォローを入れられるだろう。


「いらっしゃいませー」


「あ、色葉──莉乃!!」


 水瀬さんへ接客しようとしていた色葉を呼び止めた。


「俺が先にお客さんの接客していいか?」


「は? あんたまじで言ってんの? あんたみたいなくそぼっちのバカ兄貴にあんなギャルを接客できるわけないでしょ」


 客の前でひっでー言われようだが、そのお客さんは俺達のやり取りを喜んで見てくれていた。


「やっば、莉乃ちゃんクオリティたっけー、ぱねぇ、えもぉ」


 適当に思い付いた言葉を適当に言い放っているように思える彼女は、そのまま俺の方を見た。


「もしかして降井くんは幸助のコスプレ?」


「まぁ、一応な」


「まんま降井くんじゃん。ウケる」


 腹を抱えてケタケタと笑う水瀬さんへ、「俺もそう思う」と返し、彼女を席へ案内する。


「このアニメ好きなの?」


 先程、莉乃と言ったり、幸助と言ったりしているため、おそらく好きなんだろうと思われるが、お冷を渡すタイミングで尋ねてみる。


「うん。特に莉乃ちゃんが好きなんだよねー。あの素直になれない感じとか、エロゲー好きなの隠してるところとか見てるとか見てると──」


 水瀬さんはプルプルと震え出し、「ああん♡」と身震いしてから俺を抱き寄せた。


「ちょ!? なんで!?」


「莉乃ちゃんの恥ずかしがってる姿とか♡ 悶えてる姿とか♡ ツンデレな姿見ると、抱きしめてよしよししたくなっちゃう♡」


「待て待て!! それなら莉乃ちゃんを抱きしめろ!! 俺は幸助だぞ!! なにを幸助にばぶみを発動させてんだ!!」


「莉乃ちゃんをいきなり抱きしめるのはダメっしょ」


「俺だってダメだろうが!!」


「ほんとにダメでちゅかー? そう言いながらもありさお姉ちゃんのおっぱいを堪能していまちぇんかー?」


 くっ。このギャル、見透かしてやがる。実際、ちょっとラッキーと思っている自分がいる。


「そこまででござるよ」


 そう言いながら、俺と水瀬さんを引き剥がす牛乳瓶の蓋のような眼鏡をした少女。


「そこの変態ギャルビッチなお客様。当店の店員にお触りは禁止でござる」


 全部お前にブーメランに返ってきているぞ、佳純。つうか助けてくれたその気持ちは嬉しいが、そんなに接近したらバレちまうぞ。


「誰が変態ギャルビッチだしっ!! つうかその声──」


 流石はいつも学園でずっと一緒にいるだけのことはある。水瀬さんは佳純の正体に勘ずいたみたい。彼女の眼鏡を取り外そうとする。


「あ、ちょ、まっ──!?」


 慌てて抵抗するが、咄嗟のことで反応が遅れた佳純の抵抗虚しく、水瀬さんに眼鏡を取られて佳純の正体が露わになる。


「な、な、な、なんで……か、しゅみ、が?」


 口をパクパクとして上手く喋れない水瀬さんに対し、佳純は困惑した様子で言ってのける。


「えと……私もぎゅってする? ありさお姉ちゃん」


 さっすが変態のラスボス様こと佳純様。フォローを入れたつもりだろうが、結果的に自分の変態具合は棚上げの右ストレートを水瀬さんに放っておられる。


 水瀬さんは涙目になって俺の方を睨み付ける。


「話し合いを要求するっ!!」


 そりゃそうなりますよねー。

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