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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第28話 ラスボスへのご褒美

 二人三脚に出場する俺達生徒は、先生から布を渡されてペアの人と足を結ぶように指示を受ける。布はそれぞれ組別の色分けとなっているみたい。俺達が渡されたのは赤い布だ。


「私が結ぶね」


 雪村さんが率先して結んでくれる。別に断る理由はないんだけど、問題はそんなことではなく──。


「ちょっと、自由くん。足、動かすと結びにくいんだけど」


「そ、そうは言ってもだな……」


 やばいな。練習の時は制服だったからまだマシだったが、今は体操服、ハーフパンツだ。雪村さんの太ももをダイレクトに感じてしまい、超意識してしまう。こりゃ陽キャ男子が雪村さんと出場したいわけだ。


 意識すると心臓がバクバクと鼓動を鳴らし、出したくもないのに汗が出てしまう。


 汗なんか出したら、まぁた雪村さんに匂いを嗅がれてしまう。そしたら焦ってまた汗が出て──雪村さん歓喜の永久機関の完成となってしまうぞ。


「ふぃ……」


 こっちの気もしらないで、雪村さんは一仕事終えたみたいなテンションで額の汗を拭った。その時にふわりと良い匂いがしやがる。


 雪村さんの永久機関になる前に、こちらから彼女の弱点である匂いの感想を言ってやろうかと試みるが、密着状態プラス美少女の匂いでドキドキが止まらない。


「それにしても……なんか尻みたいな結びになってんぞ」


 ドキドキしているところに、俺達を繋ぐ足元の布がそう見えてしまって笑ってしまった。


「失礼なっ。ハートだよ、ハート」


 怒った様子の雪村さん。確かに言われてみればハートに見えなくもない。つうか器用だな、おい。


「自由くんと私の運命の赤い糸なんだよ♡」


 ドキンっと心臓が高鳴る。


 この子は匂いで俺をからかうだけではなく、こういうことも言ってくんの?


「あはは。赤くなってるー」


「そりゃ、おまっ、学園の三大美女様が俺みたいなぼっちにそんなこと言われたら、冗談でも赤くなるわっ!!」


「くんくん──はわぁ♡ 女子の言葉でドキドキ焦ってる男子のパルファムまじで犯罪級。ボヌール混じってるって♡♡」


 この子、わざと俺をドキドキさせて、その匂いを堪能してやがる。上級者過ぎるだろ。流石はラスボス。


「嗅ぐなっ!!」


「甘美……♡ 甘美甘美甘美──♡ かんび……♡」


「逝くなっ!! まだ始まってないぞっ!!」


「──はっ!?」


 お戻りになられた雪村さん。


「……♡ やば……自由くんと繋がってるから、一生私の匂いセンサーがリミット叩き続けてるんだけど……♡」


 足は縛られており密着。俺は雪村さんの言葉に惑わされ汗だくで匂いを放っている。変態ラスボス用の永久機関が無事に完成しちまったってわけか。


「そんなんで走れるのか?」


「こ、これは……なにか、走る、目的がない、と無理か、も」


 逝きかけながらもなんとか言葉を発しておられる。


 しかし、彼女の意見はありだと思う。


「そうだな。走る目的は必要だ。だったら一位になったらなにかご褒美とかそういうのにするか」


「ご褒美……なにくれるの?」


「うーん……バイトをいつでも休める権利とか?」


「私、カフェのバイト好きだし、働きたいから別に休みとかいらないかな」


 変態のくせに勤勉なやっちゃな。


 だったら仕方ない。出血大サービス。変態には変態をプレゼントだ。


「じゃあ、俺の匂い嗅ぎ放題、とか」


 自分で言ってて痛いなぁと思うけど、これなら雪村さんも喜ぶだろう。


 しかし、思いの他テンションは上がっておらず、スンとしてらっしゃる。


「別にいつでも嗅ぎ放題だから、特別ご褒美って感じじゃないよねー」


「誰がいつでも嗅ぎ放題だっ」


「怒ってる匂いも、さいっこー♡」


 だめだ。こいつになにを言っても通用しない。


「だったら、なにが良いんだよ」


「うーん……そうだなぁ……」


 かわいらしく、人差し指を唇に持っていき、考えること少々。


 なにか思いついたらしく、こちらにキラキラの目を向ける。


「一位になったら、私のことを佳純って呼んで」


「え……?」


 予想だにしていない解答に目をまんまる見開いてしまう。


「そんなんでいいのか?」


「だって私は自由くんを自由くんって呼んでるのに、私だけ名字で呼ばれるの悲しいもん」


「それは……」


「だから、二人三脚で一位になったら名前で呼んでね☆」


 一位になった時の褒美が決まり、ようやくと俺達の出番がやってくる。


『いちについて、よーい──』



「いやー、めっちゃ速かったな」


 俺と雪村さんの出番が終わり、ゴールのところで待機。


「それでも二位だったけどね」


 ちょっと拗ねた声を出しながら、俺と雪村さんを繋いでいたハートを解いて行く。


「あーあ。ご褒美欲しかったなー」


 うーんと伸びをしながら、「残念」とぽつりとこぼす彼女。


 そんな彼女へ一言。


「佳純」


「へ……」


 こちらの唐突な名前呼びに、彼女は伸びをするのを忘れてこちらを酷く驚いた目で見てくる。


「一位になれなかったのに、なんで?」


「べ、別に、名前で呼ぶくらい、一位のご褒美にしなくても良いと思っただけだ」


 猛烈に恥ずかしくなってしまいそっぽを向いてしまう。そんな俺を見て、彼女はやたらと嬉しそうに密着してくる。


「ほはぁ♡ やべー♡ 女子を名前呼びしたてほやほやの濃い匂いがきっちぃ♡♡♡」


「だから、嗅ぐなって!!」


「ね、もう一回。もう一回、名前で呼んで」


「いやだわ。またなんか変なこと言って匂い嗅ぐんだろ?」


「違うよー。ただ名前呼んで欲しかっただけ」


 本当にそうなのだろうか。まぁ、俺からけしかけたことだし、名前を呼ぶくらい、良いよな。


「か、すみ……」


 呼ぶくらいとか自分で思っておいて、いざ口にするとなんでこんなにも恥ずかしいんだよ、ちくしょう。


「はい。自由くん♡」


 くっそ。なんでそんな可愛い返事をしてくるんだ。そこは匂いを嗅いでくるところだろ。そんなことされたら心臓バクバクになんだよ、どちくしょうがっ。

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