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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第2話 青春を謳歌できるのはほんの一部の限られた人間……わかってんだよ、どちくしょう!!

 高校生になったらみんなで笑って楽しい学園生活を過ごし、泣き笑いを浮かべて卒業。みんなで、「高校生活さいこーだった☆」なんて言いながら最後の正門を後にする。


 そんなもんはね、限られた一部の人間にしか達成できない神に選ばれし一軍陽キャ集団にしか成しえない偉業なのだよ。


 夢を語るのは自由だ。プロスポーツ選手になりたい。医者になりたい。SNSの広告収入で食っていきたい。だから高校生活をうぇーいしたいと語るのも自由。しかしだね、高校生活をうぇーいで過ごすのはそれらと同等、いや、それ以上の難題なのかもしれない。


 何事もスタートダッシュというのは大事みたいで、俺みたいに受け身で過ごしていたらあっという間に取り残される。


 新作ゲームが速攻ワゴン行になるみたいな虚無感を抱きながら、新作ゲームが順調に売り上げを伸ばしているようなイケイケグループに目をやる。


「ね、佳純かすみ。あの動画、見た?」


「見た見た。ナギくん、やばいよね」


「あんなん見たらみんなでオケりたくなるでしょ。オケろーよ」


「わたしはオッケーだよ。彩芽あやめは?」


「ごめん、有紗ありさ、佳純。私、今日は用事がある」


「まじかー。しゃーない。また今度行こう」


「オケはいつでもいけるから、三人でまた行こっ」


「うん」


 まぶしっ!! 一軍陽キャグループの会話まぶしっ!!


 二年に進級して早二カ月。二年四組には学園の三大美女と呼ばれる美少女達がなんの因果か集まってしまった。


 巻髪セミロングの令和ギャル風味の美少女、水瀬有紗みなせありさ。テンション高めのノリの良いムードメーカー。司会者系美少女。ギャル担当。


 ロングヘアをサラッと下ろしている美少女、月影彩芽つきかげあやめ。口数は少ないが、キレのある言葉選びで間を取り持つモデレーター系美少女。クールビューティー担当。


 ストレートで肩下くらいの長さの清潔感のある髪をした美少女、雪村佳純ゆきむらかすみ。物腰柔らかい態度で話の流れをまとめるファシリテーター系美少女。清楚担当。


 この三人が集まると、会話の内容なんて聞こえてこないが、光に集る羽虫のように視線をそちらに向けてしまう。


「なになにー? 有紗達、カラオケでも行くんー?」


 俺みたいに遠くから羽虫みたいに見るのではなく、一軍陽キャ男子達は実行役として美少女達に集りに行った。


「じゃ、みんなで行こうぜ」


「いや」


「彩芽が行かないから行かないよ」


「同じく」


「んがー!!」


 会話の内容なんて聞こえないが、教室に陽キャの男女が集まっているだけで、とりあえず青春してまっせと言わんばかりのオーラを感じて、俺はその青春謳歌のオーラに浄化してしまいそうになる。


 ああいう連中が俺の妄想を難なくクリアするのだろうなと思うと嫉妬深いな。


 その他にも教室では様々なグループがある。さっきの青春オーラバリバリのグループ。部活仲間同士のグループ。静かめの男子だけのグループと女子だけのグループ。そしてどのグループにも属していない俺、フリーの降井ふりい自由じゆう


 ふん。高校生活に馴れ合いなんて不要。俺は店があるし忙しいんだよ!! とか強がっていた時期が俺にもありました、はい。


 泣けてくる。強がっている自分に泣けてくる。普通にみんなが羨ましくて最早うっすら涙が出て来てるわ。でも、誰も俺なんて眼中にないから気にかけてくれない悲しみのロンリネス。


 余裕で高校デビューミスってんなー。いや、正確にはミスなんてしていない。デビューをしようとして大いにスベッたわけでもなければ、自分から動こうとすらしていない俺にミスなんて言葉を使う資格はない。


 これがなんにもしなかった奴の末路。これなら思い切って高校デビューした方が良かったな。


 いや、なんにもしなかったわけじゃないよ。店がね。店があるから。なんて言い訳を一つほざいても友達が急にできるはずもないから黙っておこう。


 名前がフリーで自由なのに、行きつく先はぼっちとか自分の名前を呪うわ。ぼっちが一番の自由だって? うるせー。自由の結果がぼっちなら、敷かれたレールの上を歩く人生が良いわ。


 とかなんとか悲壮感を抱きながらも、俺はまだ救われている方だ。


「あ、あ、あの、自由く、ん……」


 教室の廊下側。一番前から一つ後ろの席。そこが俺の席。その前に座っているのは幼馴染で同じカフェで働く七式色葉。今日も長い髪は前髪と眼鏡で素顔がよく見えない。


「きょ、きょう、も、よ、よろしく、ね……」


 まだ俺には幼馴染がいる。男女別ぼっち同士の傷のなめ合いだけど。


「ああ……頼むよ」


「……」


 ぼっち同士の会話終了。


 おーい、色葉。俺の目見てみ、泣いてっから。それを話題に、「どうして泣いているの?」とか言っちゃわない? 言っちゃわないと前向いちゃったかー。前髪で見えてないんじゃないの? 幼馴染に話しかけたら、なんか泣いてる? ってならない? もし俺が色葉の立場だったら……キモいからスルーするな。うん。よし。だから色葉は正常ってわけだ。


 こうしていつも通りに俺の学園生活は過ぎていく……。


 い、いいもん!! 俺には店があるもん!! 軌道に乗っている店があるんだもん!!

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