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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第17話 小さな悩みなどラスボスの前では無と化す

 カフェふりーがアルバイト募集をかけてから数日が経過していた。求人誌に掲載するのにはお金がかかるため、店頭に募集のポスターを貼ったのと、SNSでの募集呼びかけだけにしている。そのせいか、中々応募者が集まらないらしい。昨今、企業が人手不足だと嘆いている実体験を味わっている最中だ。


 もうすぐ体育祭だから、ぼちぼちと出場種目を決めていかないといけないな。面倒くさい。そんな担任の嘆きのHRが終わった。


「彩芽ー。佳純ー。今日、しーすー食べて帰んない? お腹減ってさー」


 教室内で業界用語を放ちながら、学園の三大美女である水瀬有紗が、他の学園の三大美女である月影彩芽と雪村佳純を誘っていた。


「私は大丈夫だけど日直だからちょっと待ってて」


「りょ。佳純はいけそ?」


「ごめーん。今日はちょっと予定があって」


 なんだか嫌な予感がして視線を三大美女に向けると、雪村佳純が含みのある顔で俺を見ている気がした。おい、お前まさか、またウチの店に来る気じゃないだろうな……。ありえる……。


「まじかー。しゃーない。また今度行こー」


「うん。また私から誘うね」


 そう言い残して雪村佳純は教室を出て行った。


 ま、まぁ、ウチの店に来る気ならそれはお客さんだ。真正のラスボス級ド変態でも来てくれる客には全力を尽くさないとね。でも匂いを嗅ぐだけだったら次は容赦しない。とかなんとか構えていても、ファシリテーターを発動されて相手の思うつぼになんだよね。なんだよ、チートかよあいつ。


 そういえば、月影さんの声で思い出したが、今日、俺も日直であった。すっかり忘れていたな。まぁ、日直なんて、ほとんどやることがないんだから廃止したら良いと思うのは俺だけか。最後に5分もかからない今日一日のことを書き、それを担任に提出して終了だ。


「色葉」


 前の席で、今から教室を出て行こうとしていた色葉に一言断わりを入れておこう。


「俺、今日日直だから先にカフェに行っといてくれよ」


「あ、えと、その……手伝おうか?」


 彼女の優しさに触れたが、正直、5分もかからない日誌で手伝うもなにもないってもんだ。


「色葉も知ってるだろうけど、日直の仕事なんてないに等しいんだから気にしなくて先に行っててくれ」


 待つ必要もないだろうと遠慮の言葉を投げかけると、長い前髪の奥に幼馴染の顔が不機嫌になっていくのが目に見えてわかった。


「そ、うですか」


 せっかく気を使ったのに断られて怒っているのだろうか。最近、色葉の機嫌も悪いからな。遅れて来た反抗期ってやつか。ここは素直に手伝ってもらった方が良かったか。


 選択を間違えたと思いながら、「色葉」ともう一度名前を呼んでみせる。


「今日も一緒に頑張ろうな」


 そう言ってやると、不機嫌だった幼馴染の顔がみるみる綻んでいく。


「うんっ」


 頷くと色葉は機嫌良く教室を出て行った。


 さて、俺もさっさと日直の仕事を終わらせてバイトに向かいますか。


 机の中にしまい込んでいた日直日誌を取り出して、今日の日付を書いて、一日の出来事を書いていく。


「あ、そこの漢字間違えてる」


「ん。どこ?」


「ここ」


「あ、まじだ。さんきゅ」


 あれ? 俺、誰かと会話してんじゃん。


 そこでふと隣を見ると、ドアップの月影彩芽の顔があった。


「どあっ!?」


 ビクンと跳ねてビビった声をあげると、ベースが無表情の彼女が少し怒った様子の顔になってしまった。


「女の子の顔を見てその反応は失礼」


「いや、いつからそこにいたんだよ」


「気配を消していた」


 やっぱりこの子はアサシンかな?


 まだビビって鳴り響く心臓の音を奏でながら、指摘された漢字を直しておく。


「月影さん。日誌は俺がやっとくから先に帰っていいよ」


 ここで、約束があるんだろ、なんて言うとさっきの話を盗み聞きしていたと思われるため、お口はチャックにしておく。


「だめ。仕事はちゃんとしないといけない」


 あら。真面目な人なんだね。クールビューティーで真面目とか性癖にささる男子は多いはず。俺ももちろんささるタイプよ


「降井くんが書き終えたら貸して。私が先生に提出に行く」


「いいよ、これくらい」


「それに降井くんはカフェのバイトもある。忙しい身だから先に帰ってて良い」


「それを言うなら、月影さんだって水瀬さんと寄り道するんだろ。忙しいじゃ──」


 あ、やっべ。自分でお口チャックとか言いながら普通に言ってもうた。


「こっちはただの寄り道。そっちは社会貢献。優先度が違う──って、降井くん?」


 このままじゃ俺は美少女達の会話を盗み聞いた豚野郎だ。なんとか話を逸らさないと。


 俺はキリッと月影さんを見た。


「あやめ。俺のことはいいから早く行け(ロロック発動)」


「キュン♡♡」


 月影さんはさっきまでのクールな雰囲気を台無しにするセルフサウンドエフェクトを放った。


「お前は俺のいうことだけを聞け。わかったか?」


「ぶっふゅ♡ 久しぶりのロロック様ボイしゅ……♡ 脳内にきっくぅ♡」


「ガタガタぬかずにさっさと俺の前から消えろっ。この雌豚がっ!!」


「は、はひぃぃ♡♡ 消えましゅ♡ あやめはロロック様の前から消えるから、また罵ってくだひゃいぃぃ♡♡」


「それを決めるのは俺だ。さっさと消えろ」


「ひゃい♡」


 月影さんはぶひぶひ鳴きながら嬉しそうに俺の前から立ち去った。


 唐突なロロックだったが、雌豚を発動させてくれて良かった。これで俺が美少女の会話を盗み聞いた変態というレッテルが貼られずに済む。


 ♢


 いや、冷静に考えて、学園の三大美女になんちゅう態度を取ったんだと後悔する部分ももちろんある小心者の俺だ。


 月影さんは喜んでいるものの、唐突にやるのはやっぱり多少の罪悪感が残る。だって、あのクールビューティーに雌豚だぞ。よくもまぁそんなことが言えるな、俺。


 とかなんとかさっきのやり取りを思い出しながらカフェふりーに帰宅すると、そんな考えは全て消え去ってしまった。


「おかえりなさいませー。ご主人様☆」


 どうして雪村佳純が俺の店でメイド服を着て俺を出迎えているんだ。

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変態は、一人見つけたら三人いると思えw
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