表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ニエ=ファンデ

童話 毒まみれの世界と生きていないものたち

作者: リィズ・ブランディシュカ




 その世界はたくさんの毒に満ちている。


 だから、生きているものは生きられない。


 けれど、生きていないものなら生きていられるから。


 たくさんの、生きていないものたちで、うめつくされていた。





 生きていないものたちは、生きていないから。


 苦しんだり、辛い思いをすることはない。


 だから、毒の世界でも平気だった。





 生きていないものたちは、毒の世界を歩き回る。


 けれど、嬉しい気持ちも、楽しい気持ちも何もないから。


 歩き回っていても、何も思わない。


 そもそも、毒の世界には何もないから。


 感情を動かすものなんて何もないから。


 生きていないものたちは何も思わない。





 毒の世界にいる、生きていないものたちは、互いにコミュニケーションをとらない。


 おはようとか、こんにちはとか挨拶しない。


 だから、感情は動かない。


 誰かと会っても、何かを思う必要がない。





 だから、毒の世界には、毒以外なにもないも同然だった。


 何もなくて、毒だけがある。





 ある日。


 そんな世界に旅人が降り立ち、毒を吸い込んで命を落としそうになった。


 旅人は宇宙船から持ってきた不思議なリンゴを食べて、生きながらえたけれど、その世界には誰もいないから。


 誰かと笑ったり、悲しんだりできないから。


 結局は生きながらえても、生きていないものたちと同じになってしまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ