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ニエ=ファンデ

童話 毒まみれの世界と生きていないものたち

作者: リィズ・ブランディシュカ




 その世界はたくさんの毒に満ちている。


 だから、生きているものは生きられない。


 けれど、生きていないものなら生きていられるから。


 たくさんの、生きていないものたちで、うめつくされていた。





 生きていないものたちは、生きていないから。


 苦しんだり、辛い思いをすることはない。


 だから、毒の世界でも平気だった。





 生きていないものたちは、毒の世界を歩き回る。


 けれど、嬉しい気持ちも、楽しい気持ちも何もないから。


 歩き回っていても、何も思わない。


 そもそも、毒の世界には何もないから。


 感情を動かすものなんて何もないから。


 生きていないものたちは何も思わない。





 毒の世界にいる、生きていないものたちは、互いにコミュニケーションをとらない。


 おはようとか、こんにちはとか挨拶しない。


 だから、感情は動かない。


 誰かと会っても、何かを思う必要がない。





 だから、毒の世界には、毒以外なにもないも同然だった。


 何もなくて、毒だけがある。





 ある日。


 そんな世界に旅人が降り立ち、毒を吸い込んで命を落としそうになった。


 旅人は宇宙船から持ってきた不思議なリンゴを食べて、生きながらえたけれど、その世界には誰もいないから。


 誰かと笑ったり、悲しんだりできないから。


 結局は生きながらえても、生きていないものたちと同じになってしまった。



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