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「急に叫ぶでない、怖いじゃろう」


「いやー、すまなかった。俺としたことが取り乱してしまった。どうかこの通り許してください」


 俺は土下座を決め込んだ。


「まぁよかろう。お主も悪気があってやったわけじゃないじゃろうしな。誰だって気の立つことはあるじゃろう。それじゃあもう異世界に転生するということでよいな? 魔王を倒してくれるということでよいな」


「どうしてそうなるんだよ! 俺はまだ一回たりともいいとは言ってないぜ!」


「きしょいのう。本当にきしょいのう。もうこの流れなのじゃ。お主は地球で死亡したんじゃよ。じゃから儂の頼みを引き受けるしかないのじゃ」


「え、おれさまってば死亡したのかよ。そんなのきてないぜ!」


「言ってなかったような言っていたような。よく覚えとらんのう。じゃからまぁここは相殺ということで構わんの。どうするのじゃ、転生するのかせんのか、どっちなんじゃい」


 俺は考えた。

 どうやら俺は地球では死んでしまったらしい。

 となればもう俺に残された道はこのまま死んだままになるか、異世界で魔王討伐という過酷な道をたどるのか、その二択だ。


「ふ、どうして運命というやつはこうも俺にきつく当たるのかねぇ。こんなもん、答えは一つしかないだろう」


「よし、それならば異世界に転生するんじゃな」


「いや、俺は異世界じゃなく、大異世界に転生する!」


「大異世界? なんじゃそりゃ、聞いたことないぞ」


「まじかよ、大異世界って言うのはな、異世界よりもとんでもない世界のことをいうんだ。これはもう全世界の常識だぜ」


「そんなもん聞いたことないぞい。お主の勝手な妄想なのではないか?」


「いいや! 大異世界は絶対にあるんだ。そうに決まってるんだよ馬鹿野郎。俺は大異世界の方がいいんだ! そっちの方がきっと興奮できる。大量のエクスタシーを感じることができると思うんだ。ついでにエロスも感じることができると思うんだよ」


「マジで何を言っておるんじゃ。頭が大分いかれておるんじゃないのか? お主がなんと言おうと儂は大異世界というのを知らんから転生させることはできんぞい。儂が転生させることができるのはリジアというごくありふれた異世界だけじゃ」


 本当に言ってるのか? 俺は大異世界じゃなく、普通の大のつかない異世界に転生しないといけないというのか。そんなのあんまりだぜ。もうどうにかなっちゃいそうだぜ。ああ、俺ってばガチでかわいそうじゃないか。本当にうわんうわん泣いちゃってもいいんじゃないか。


「くっそうおおおおおおおお!! 俺は普通の異世界に転生せざるをえないのかああああああああ!」


「そりゃそうじゃ、最初からお主はそうするしかなかったんじゃ。諦めることじゃな」


 もう俺は決意した。

 仕方がない。大異世界がだめだと言うのであれば、俺は普通に異世界に転生するしかないのだ。

 いいだろう。俺は異世界へと赴き、その魔王とやら討伐してやろうじゃないか。これは俺がきめたことで、すごいことなんだ。


「仕方ないな! 俺が魔王でもなんでも討伐してやるよ!」


「うむ、その意気じゃ! がんばがんばじゃ! ちゅっちゅっちゅじゃ!」


「どええええええええええ!!」


「よし。それでは異世界へ送るからの。お主は最強の魔法使いなんじゃ、普通にやっていけば、確率的には普通に魔王を倒せると思うからの、くれぐれもあんまり奇をてらったことはせぬような!」


 そうして俺の体はいつのまにやら光輝いていた。

 光の粒子が俺の体からぽつぽつと抜けていく。

 ああ、俺はやっぱり死んだんだ。普通の人間ではなくなっちゃったんだ。

 でも俺はこれから生き返る。

 異世界という新たな地で。

 俺は異世界人として、これからは生きていくことになるんだ……


「ちなみに最後にこれだけは言っておくが、お主をその世界での最強の人物の真隣に転生させてやるからな。まぁお主が転生した時点でその人物は二番目に最強ということになるわけじゃが。まぁ強いやつが組んだほうが確立もあがるじゃろうからな。たぶんじゃがな。ということで頑張って魔王を討伐するんじゃぞ……」


 そんなことばをぼんやりと聞きながら、俺の意識は闇へと吸い込まれていった。












「はっ!」


 俺はばっと目を開けた。


 なんだ、ここは……薄暗いぞ。

 俺はいつも寝る時は懐中電灯を顔面に照らしながら寝るというのに。

 こんなに薄暗いなんて、俺はいったいどうしちゃったんだ。


「そ、そうだ! 俺は異世界に転生したんだった!」


 俺はばっと上半身を起こした。

 俺はどうやら寝転んでいたらしい。

 体を見てみると、まぁごくふつうの異世界っぽい旅人風の服に身を包んでいるだけで、体自体は元の世界の俺の体そのままだった。


「おお、なんか実体を感じる。さっきまでと違って、地球にいたころのような、確かな身を感じるぞ。やっぱり俺は異世界に転生したんだな」


 さと思い、俺は現状を確認することにする。

 俺はどうやらベッドの上に寝かされていたらしい。結構ふかふかのいい感じのベッドだ。


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