2
「もうしょうもないことはどうでもいいから、早く俺がどうなるのか教えてくれよ。もうそれはとんでもないことが起きるんだろ? そんな予感がしてるんだ」
「ほほほ、予感的中じゃな。儂は神なんじゃが、実はとある世界の情勢が非常に悪くての。そこに行って魔王を倒してもらいたいんじゃよ」
「魔王? なんですかそれは、可愛いんですか?」
「魔王が可愛いわけないじゃろう。あいつはやばいんじゃ。とんでもない力を保有していて、異世界を滅ぼそうとしておるんじゃよ」
「そんなやつ神様の力でワンパンしちゃえばいいじゃないですか」
「それができんから困っておるんじゃよ。じゃなければこんな困っておらんじゃろちょっとは考えろこのナメクジのクソ粘液脳みそやろう。まぁそこは神の規約でできんことになっておるんじゃよ。この魔王を倒すには別の世界から人材を派遣せなばならん。そこでとんでもない魔力を保有するお主に白羽の矢が立ったというわけじゃ」
「俺にとんでもない魔力があると? そんなの普段感じたことないよ」
「当たり前じゃ。魔力とは魔法の源、地球で魔法を撃つ人間を見たことがあるか? 世界によってできることは変わってくるんじゃ。お主がもし異世界に生まれることがあれば、それはもうとんでもない魔力で無双できるということじゃの」
そんな、そんなすごすぎるだろ。流石にやばいんじゃないだろうか。何がどうやばいかはまるでわからないけど、こういう時はやばいと言っておけば大体は大丈夫のはずだ。
「やばいっすね。じゃあ僕はこれから異世界に転生するというわけですか」
「その通りじゃ。お主のすんばらしい力でしっかり無双してくるんじゃよ」
「でもこうは考えなかったんですか? 魔王を倒せるかもしれない力を持つこの僕が、魔王と同様にその力を悪用するという可能性もありますよね?」
「えぐいことを考えるのう。さすがの儂も大分震え上がったわい。もうしょんべんするときくらいは震え上がったぞい。さすがはお主じゃな。神をも凌駕してくる」
「へへ、そうでもなきゃ魔王討伐は務まらんでしょう」
「粋なやつじゃな、しかしまぁその辺は心配しておらん。なぜならそういうデータが出ておるからの」
「データですか?」
「うむ、神々が使う演算装置というものがあるんじゃがの、それによりお主の性格を診断してみたんじゃが、お主はおよそ96%の確立で真面目に依頼に取り組むと出ておる。そして真面目に取り組んだ場合92%の確立でこれを達成できるという結果もでておるんじゃ!」
「なんだよ演算装置って、そんなの絶対でたらめだろ、俺の未来なんて俺が自由に決めれるんだからそんなことわからないじゃないか。俺がやらないって決めたらその時点で0%なんだ」
「そんな簡単な話ではないわい、神々の演算装置はあらゆる情報をもとに算出される。それは地球でお主が生まれたときから死ぬまでに取っていた行動、あるいは遺伝子レベル的な趣味嗜好の傾向だったりを事細かに分析し、それを異世界のあらゆる情報と重ね合わせたりする。その他にももっといろんな膨大な情報を参照して、確立を導くんじゃよ。じゃから言ってしまえばお主がそうやって反骨心を持つというところまでも当然織り込み済みというわけじゃな」
「は、意味わかんねぇわ。とにかく俺は魔王なんて倒さない。そこまで言うんなら試してみよぜ。俺の意思と、その演算装置、どっちが上かってのをよ!」
「なんでそんなことをせねばならんのだ。そもそもお主は転生させて貰う立場なのじゃ。あまり分をわきまえんと、ポワするしかなくなるぞい」
「なんだよそれ気色悪いな。もういいよ。なんか気分が冴えねぇわ。おじさんの歳がかなり言ってるせいでガチでげんなりしてきたわ。もういいよ。もうどうだっていい。魔王がなんだ、そんなの瞬殺して普通に寝るわ」
「そうか、そう言ってくれるならありがたいの。まぁ仮にお主が拒否したとしても別の個体を用意すればいい話じゃからの。代えはいくらでもあるんじゃ」
爺さんはふぉっふぉっふぉと怪しく笑った。
俺は俺自身をぶんなぐりたくなったが、そんなことしても現実逃避はできない。
俺は諦めて爺さんをがんみすることにした。
うん、やっぱりかなりの歳だ。しわくちゃだし、もうとても見ていられない。地球でもだいたい七十くらいのおじいさんまでならなんとか直視することができたけど、それ以上となるとかなりもう見るにも耐えないくらいしわくちゃでやばかったもんなぁ。あれは目に毒だ。皮がたるんでて本当に嫌なんだよなぁ。それと一緒のような感じだろう。吐き気がする……うぅ。
「大丈夫か、なんだか体調が悪いようじゃお。かわいそうに、なでなでしてあげようか」
「きめんだよ! 触るんじゃねぇよ! 次触ろうとしたら確実にぶっ殺すからな! 拳銃で普通にばんって撃って、普通に殺してやるからな! こう見えても俺は銃の腕は超一流なんだ。スパイもやったことがあるんだぜ。それに察の偉いやつを暗殺しようとしたこともあった。これくらい最強なんだから、ガチで俺に対する口の聞き方には気をつけた方がいいぜ。まぁ全部ウソだけど」




